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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
5章 魔国エスペランサ編

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40話 四天王ケン


 クランヌさんから、自身が神族の血を持っているという秘密を聞いた次の日になり、予定通りにクランヌさんとシャンテさんの婚約パーティーが行われました。


 昨日、クランヌさんの部屋から帰ってきた私に、「エスペランサの料理は独特の味がするから、苦手な人は苦手かもね」と姫様が言っていました。実際に、婚約パーティーで出されている料理は少し味が濃かったですが、とても美味しかったですし、エレンも同じ事を言っていました。しかし、カチュアさんは「少し濃すぎますね。健康の為にはもう少し薄味にした方が良いでしょう」と言っていました。流石は、私達のご飯を担当してくれているだけあって、私達の健康を気遣ってくれています。


 パーティーが始まって三十分。

 クランヌさんとシャンテさんが壇上に現れました。

 シャンテさんの登場に、会場が騒めきだしました。

 クランヌさんは会場の皆さんに「今紹介するので、少し静かにしてくれるか?」と言ってから、シャンテさんを皆さんに紹介します。

 昨日会った時も綺麗な人だと思っていましたが、今日はドレスを着て、綺麗に着飾っていて更に綺麗です。

 そんなシャンテさんを見て、姫様も驚いていました。


「姫様? シャンテさんを知っているんですか?」

「この場にいる権力者で彼女を知らない人はいないと思うわ。しかし、クランヌ陛下の結婚相手が、あのシャンテ姫とは驚いたわね……」


 シャンテさんは、そこまで有名な人だったのでしょうか?

 その事を聞いてみると、シャンテさんは医療大国メディアの聖女と呼ばれた姫君だそうです。

 なぜ、ここまで騒ぎになっているのかを聞いてみると、シャンテさんは各国からの縁談が来るのが嫌で、メディアから失踪したそうです。だから、この場に現れた事に驚いたそうです。他の人達も、同じ気持ちなのだろうとの事です。


 周りを見てみると、殆どの方が驚いた反応を見せていたのですが、レッグさんは涼しい顔をしていました。


「レッグさんは知っていたんですか?」

「あぁ……。クランヌ陛下から一度相談を受けた事があったんだよ。その時は俺も驚いたぜ。何しろ、医療大国メディアの姫君捜索はギルドでも依頼がでていたからな」

「どうして、私には言ってくれなかったの?」


 レッグさんが懐かしむように思い出を話してくれているのを見て、姫様は少し面白くないようでした。レッグさんがシャンテさんの事を姫様にも秘密にしていたのが許せなかったのでしょう。

 その後は、膨れる姫様をレッグさんが必死に宥めていました。


 シャンテさんの紹介が終わってしばらくした後、マジックさんが突如壇上に上がりました。

 すると、ブレインが壇上に結界を張ります。


「エレン様……。あれって……」

「うん。衝撃や魔力をかき消す結界だね。あの魔法陣があれば、壇上で爆発があったとしても、こっちには影響が出ないだろうね。でも、マジックという四天王さんは何をするんだろうね。レティ、知ってる?」

「私も詳しくは聞いていませんが、余興と言っていましたし、大体何をするのかは見当はついています」


 マジックさんの余興というのは、紫頭との模擬戦でしょう。クランヌさんを除いて、エスペランサ最強のマジックさんと互角に戦えば、四天王として受け入れられるでしょう。

 しかし、下手をすれば、紫頭は受け入れられないかもしれません。そもそも、今の時点でマジックさんの方が強いと思うのですが……。

 シーラさんに壇上に連れてこられた紫頭は、状況が呑み込めず焦っている様です。


「ちょ、ちょっと……。マジック様、これはなんなんですか!?」

「余興だよ。余興……。今から、俺とお前が模擬戦をする。それでお前の実力を皆に見てもらう。いい考えだろう?」

「な、なんでそんな事を!?」


 紫頭は、焦りながらマジックさんに抗議していますが、マジックさんは聞く耳を持ちません。

 突如、四天王筆頭のマジックさんと模擬戦をする事になった紫頭に注目も集まっていますが、警備の兵士達からすれば、シーラさんの方に興味が出ている様です。


「え? あの赤毛の女の人って誰?」「あのカッコいい女の人は一体?」「なぜ、あの女がブレイン様の隣にいるんだ?」


 やはり、パワーの姿じゃなくなったシーラさんの事が気になるのでしょう。


「ちょ、ちょっと待て……。この魔力……、それに赤い髪の毛……。もしかして……」


 兵士達がザワザワし始めたので、クランヌさんがシーラさんの前に立ちます。そして、シーラさんがパワーと同一人物だという事と、今までの姿は呪われていた事を、説明しました。

 クランヌさんがシーラさんの事を話した結果、婚約パーティーに来ている人達よりも、警備に当たっている兵士達の方が驚いていました。

 私は兵士の一人になぜ驚いているのかを聞くと、パワーだった頃のシーラさんは、寡黙で滅多に口を開く事は無かったそうです。

 しかし、四天王という立場なので、兵士に指示する事もあったそうですが、声に違和感があったそうです。

 シーラさんの声はパワーの時もそう変わりませんでした。声を聞いた兵士は、もしかしたら、四天王パワーは女性ではないのかと疑っていたそうです。そしてその話が大きくなって、パワーは女という噂話はあったそうです。

 そして、今回シーラさんの本当の姿が明らかになった事で、噂が本当だったと、目の前の兵士は驚いていたそうです。


 兵士達が動揺している中、クランヌさんが余興の説明を始めます。

 

「このパーティーの余興として、四天王筆頭のマジックと、新四天王候補のケンで模擬戦を行う」

「えぇー!?」


 クランヌさんの言葉に兵士よりも紫頭の方が驚いている様でした。

 その後の「ちなみにケンは、四天王シーラの恋人だ」との言葉に、兵士達からは悲鳴に近い声が上がります。


「ちょ、ちょっと……。マジック様もクランヌ様も……、一体何を?」

「ケン。お前を四天王に置くために、ここで俺と模擬戦をしてもらう。このエスペランサで俺よりも……、いや、俺とまともに戦える者はいない。しかし、お前なら俺と互角に戦えるだろう?」

「い、いや……」


 互角ですか……。

 確かに、経験則や総合力で言えば、マジックさんの強さの方が上ですが、力やスピードは紫頭の方が上です。

 そう考えたら、本気でやり合えば、どちらが勝つか分かりませんね。


「さて、剣を抜け」


 マジックさんは自分の聖剣を抜きます。アレはかなり本気ですね。


「はぁ……。分かりましたよ……」


 紫頭も自分の魔剣を抜きます。

 紫頭がやる気になったのを見て、マジックさんは嬉しそうにします。そして、紫頭に斬りかかりました。



 戦闘が始まると、兵士達はマジックさんの応援を始めました。しかし、一時間戦いが続いた結果、兵士達の視線は紫頭の強さに釘付けになっていました。

 ……そして。


 二時間後、立っていたのは紫頭でした。

 最初はマジックさんが押していたのですが、長期戦になった結果、紫頭が勝つ事になりました。

 この模擬戦の結果、紫頭は四天王として受け入れられる事となりました。


これで五章は終わりです。

次回は六章『教会編』です。

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