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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
5章 魔国エスペランサ編

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39話 クランヌの秘密


「神族を察知する能力ですか……。その能力の事をマジックさんにも話していないのは、何か意味があったんですか?」


 クランヌさんは、アブゾルと出会った事すらマジックさんには話していないと言っていました。もしかしたら、何か隠さなければいけない事情でもあったのでしょうか?


 私はクランヌさんが話し始めるのを待っていました。

 すると、クランヌさんの部屋にとても綺麗な女性が入ってきました。


「……!? く……クランヌ様……。こんな密室でこんな幼い少女を連れ込んで……」

「クランヌさん。私はとても失礼な事を言われていますか?」

「はは、シャンテ。何を勘違いしているかは知らないが、この子がレティシア嬢だ。昨日話しただろう?」

「ハッ!? この子が……」


 シャンテさんと呼ばれた女性は私を抱きしめます。


「レティシアちゃん。エスペランサを守ってくれてありがとう。あ、自己紹介がまだだったわね。私はシャンテ。クランヌ様の妻よ」


 この人がそうですか。

 確か、どこかの国のお姫様でしたっけ?


「はい。私がレティシアです。よろしくお願いしますね」


 しかし、お姫様というのは不思議な人達です。姫様もシャンテさんもとても良い匂いがしました。


「シャンテ。今はレティシア嬢と大事な話をしている……。今は部屋を出て行ってくれないか?」

「嫌ですわ。私はクランヌ様の秘密を知っていますし、話す内容は大体想像は付きますわ。だから、いても問題ありませんわ」

「はぁ……。分かったよ……」


 ふむ。

 なかなか頑固なお姫様の様です。

 シャンテさんはお姫様なのに、私達のお茶のおかわりを淹れてくれます。


「では、話を戻そう。レティシア嬢、神族は、必ずと言っていい程、同族を察知する能力を持っていると聞く。アブゾル様も、当然の様にその能力を持っていた」

「はて? でしたら、ベアトリーチェには、アブゾルの居場所が分かるという事でしょうか?」

「さぁ、それはどうだろうな。そのベアトリーチェが本物の神族ならば察知能力を持っているだろうな……。しかし、気になる事もある。レティシア、お前はエラールセでベアトリーチェと戦ったのだろう? ブレインが調べていたから、その事は知っているから隠さなくていい」

「知っている? ブレインはジゼルと戦った時までしか知らないんじゃないですか?」

「いや、アイツはベアトリーチェと戦った事も知っていたみたいだな。【創造】の力の事も、【再生】の力の事もな……。しかし、私達にはその事を報告しなかった。私に話してくれたのも、昨日の夜だったんだ」


 ブレインが隠していた?

 なぜ隠す必要があったのでしょう?


「アイツから詳しく聞いてはいないが、ブレインは私の秘密を知っていたようだ。しかし、私が誰にも話していないのを察して、【神殺し】の事を黙っていようと思ったのだろう」

「……秘密ですか? それは一体何なのでしょう?」


 クランヌさんは立ち上がります。

 そして魔力を高め始めました。するとクランヌさんの背中に白い羽のようなモノが見えました。しかも……。


「これは神族と同じ魔力ですか? いえ、ベアトリーチェは神気と言っていましたね。もしかして、クランヌさんも神族なのですか?」

「そう見えるだろうな。しかし、私は神族ではない。何代も前の爺さんだか、婆さんだかは知らんが、先祖に神族の血が流れていたらしい」

「そうなのですか? だから、神族の事も分かるという事ですね?」

「あぁ。そうなるな」

「しかし、なぜ昔の先祖に神族がいるからと言って隠す必要が? 教会は魔族を忌み嫌っていないと聞きましたよ?」

「あぁ……。しかし、魔族の側には人間を……。そして神アブゾルに意味もなく恨みを持っている者もいる。そんな彼等が私の秘密を知ってみろ……。間違いなく、私を糾弾し、この国を危険にさらすだろう。人間の姫君であるシャンテを妻として迎えるというだけで、別の魔国からの圧力があったんだ」


 なるほど。

 魔族と人間の関係にはまだまだ溝があるのですね。


「ところで、その秘密を私に話したのはなぜですか?」

「あぁ。エラールセの学校で、ベアトリーチェという神族と戦っていたのだろう? しかし、私はエラールセに神族の気配を感じる事はできなかった。そして、暫くしてから、神族の気配を感じた」

「……。グランドマスターですか?」

「気付いていたのか?」

「気付くというよりも、そう思っていただけです。しかし、今ので何か謎が解けそうです」

「どういう事だ?」

「グランドマスターは一度死んでいました。だから気配を察知できていなかったのでしょう。そして、ベアトリーチェは神族じゃない。しかし、気になる事もあります」

「気になる事?」

「はい。ベアトリーチェの体からも神気というモノが発せられていました。という事は、彼女も神族……。もしくは、クランヌさんと同じ人種という事でしょうか?」

「それは分からない……。だがな……」

「はい?」

「レティシア嬢はベアトリーチェから神気を発していたと言うが、私達は神気を察知する事で、別の神族の存在を察知している。だから……」

「なるほど……」


 ふむ。

 私の戦ったベアトリーチェは本物の神族では無かった。

 いえ、もしかしたらベアトリーチェという人物は存在しなかった?

 しかし、グラーズもグラヴィもベアトリーチェを崇拝していた。

 ……。


「レティシア。さっきも言ったが、これだけは覚えておいた方がいい。今現在、この世界に神族は二人しかいない。一人はアブゾル様……。もう一人は今もエラールセにいる」

「はい。それは心に刻んでおきます」


 今もエラールセにいるという事は、グランドマスターで間違いないでしょう。

 しかし、そうなるとベアトリーチェは一体何者なのでしょう?

 もしかしたら、グランドマスターの正体がベアトリーチェなのでしょうか?

 しかし、グランドマスターの仮面の下は傷だらけでした。それにグラヴィとの戦いのときには死んでいたそうですし、どういう事でしょうか?


「レティシア嬢。もし機会があればアブゾールに行ってみるといい。もしかしたら、アブゾル様から接触があるかもしれない」

「会ってどうなりますか?」

「そうだな。私よりも神族の話に詳しい。だから、ベアトリーチェの事も何かわかるかもしれない」


 確かに、今の時点で謎が多すぎます。

 

 しかし、一つだけ分かった事は……。

 グランドマスターが神族だという事……。これはかなり重要かもしれませんし、一度、本人に確認を取った方がいいかもしれませんね。

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