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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
5章 魔国エスペランサ編

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36話 ハヤイの両親

一部間違えていたので修正しました。指摘してくださってありがとうございます。


 エスペランサ城の一番最奥にある、クランヌさんの自室にやってきました。報告などをする時は、執務室とか謁見室で話をするのが普通だと思っていましたが、ブレインの話では、今回の様に、あまり人に聞かれたくない話などは、クランヌさんの自室で話をする事になっているそうです。

 紫頭に連れられてクランヌさんの自室の前に行くと、マジックさんが扉の前で待っていてくれました。


「ブレインから聞いていますか?」

「あぁ。聞いている。入ってくれ」


 部屋の中に入ると、クランヌさんとブレイン、それにシーラさんの他に、ハヤイと同じ髪の毛の色をした壮年の男性と、優しそうな女性がいました。


「クランヌさん。そちらの方々は?」

「あぁ、ハヤイの両親だ」


 これがハヤイの両親ですか……。思っていたのとは違いますね。

 こうやって目の前にすると、シーラさんが、「ハヤイの両親を無能というのをやめてくれ」といった理由が良く分かります。この二人からは、とても知性的な雰囲気を感じます。


 ハヤイの両親は、私と紫頭を見るなり、深く頭を下げました。


「レティシア殿、ケン殿、我が愚息が多大な迷惑をかけた……。何と詫びたらいいのか……」


 はて?

 なぜ、謝られているのでしょうか?

 

「まず、お詫びと言われても、私は貴方がたには何もされていませんよ? 紫頭は何かされましたか?」


 紫頭は、一瞬だけ私を見て理解してくれたのか「そうだな。ハヤイの奴はもう大人だ……。ハヤイの両親が謝る必要はない」

「し、しかし……」

「ただ、これだけは言っておかなければいけない……。もし、ハヤイが再び俺達の前に現れたら、その時は……。それは許して欲しい……」


 紫頭は、少し言い辛そうにしていましたが、今後エスペランサに所属するのなら、エスペランサを裏切ったハヤイを許すわけにはいかないでしょう。


「そうですな……。愚息はエスペランサで散々好き勝手していた……。クランヌ様の温情で四天王にして貰ったというのに……。そして、今回の裏切りは、例え親であっても、もう擁護はできない……。もし、再びハヤイがエスペランサの敵として現れたのであれば……その時は……」

「あぁ……」


 ハヤイの両親は、最後まで謝っていました。

 ハヤイの両親が出て行った後、私はブレインに近付き、腹を殴ります。


「ぐっ!? な、何しやがる!?」

「なぜハヤイの両親に、裏切りの事を話したのですか?」

「いや、こちらにも事情があってな……。今後のハヤイの両親達の立ち位置を考えたら、話しておいた方がいいと判断したんだよ」


 そう言われても納得できないので、もう一度ブレインを殴ろうとしましたが、ちゃんとした理由も教えてくれました。

 どうやら、貴族というのはどこの国でも同じみたいで、こういった家族の不始末をつついて攻撃してくるそうです。ブレイン達は、ハヤイの両親に爵位を返上させる事で、周りの貴族を納得させ、ハヤイの家族を守る事になると言っていました。


「まぁ、良いです。それよりもクランヌさんに言っておきたい事があります」

「なんだ?」

「紫頭の処遇です」


 私がそう言うと、ブレインが口を挟んできます。


「処遇? こいつは何かやったのか? ならば、ケン。四天王になってくれるか? 俺達としては、お前が戻ってくれるのなら、心強い」


 ブレインがそう言うと、私以外の皆さんの目が胡散臭いモノを見る目になっていました。


 しかし、紫頭は決意しているみたいなので、クランヌさんに跪きます。


「はい。今回の事で、俺もエスペランサに残らなければいけないと感じました。……正直に言えば、シーラを守りたいという気持ちがかなり強いです。もし、俺がいない時に、今回みたいな事で、シーラだけでなく、クランヌ様やマジック様、……ブレイン様が死んでしまったら、悔やんでも悔やみきれないですから……」

「し、しかし、ケン!?」


 シーラさんは顔を真っ赤にして、紫頭に掴みかかります。


「お前は冒険者になるのが夢と言っていたではないか!? 今では、夢も叶って立派な冒険者になったんじゃないか!?」

「そうだな。だが、もう冒険者になっちまったからな、次は大好きなエスペランサを守る為に頑張るさ」

「で、でも……」

 

 シーラさんは目に涙を浮かべています。どう考えてもハッピーエンドだと思うのですが、シーラさんはどうして喜ばないのでしょう?


「ケン。本当に良いんだな……」

「はい。ただし、四天王になるというのは考えさせてくれませんか?」

「なぜだ?」

「一度はエスペランサを出た身です。それなのに四天王という立場になってしまえば、今までエスペランサを守って来た兵士達に示しがつきません。だから、シーラの下に付こうかと思っています」

「そ、それは……」


 シーラさん。嬉しそうですね。

 そうですか……。これが愛という奴ですね。


 しかし、紫頭の言う事も分かります。

 紫頭がいきなり現れて、四天王という兵士さん達に命令する立場になってしまえば、兵士達からも文句が出てくるかもしれません。


「そうか。その事については、俺に任せてもらおう」


 口を開いたのは、マジックさんでした。

 マジックさんはブレインを近くに呼び、何かを話しています。そして、マジックさんの言葉にブレインは一度だけ驚き、悪い顔で笑っていました。


「よし。それは面白そうだ……」

「あぁ。面白い余興(・・)になるだろう?」


 余興ですか……。

 まぁ、この人達が何をしようとどうでもいいですが……。


「さて、ケンの事はマジック達に任せるとして、レティシア嬢、そろそろシーラに能力を作ってやってくれないか?」

「分かりました」


 シーラさんは赤い顔でボーっと紫頭を見ていますが、こっちを見てもらわないといけません。


「シーラさん」

「へ? あ、なに?」

「今から貴女の能力を、いくつか改造して、作り直します」


 私は、驚くシーラさんの胸に手を当てました。


 うーん。大きい……です。

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[気になる点] >私は赤い顔でボーっと紫頭を見ていますが、こっちを見てもらわないといけません。 なんでレティシアがパープルヘッドにボーっとすんのよ!
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