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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
5章 魔国エスペランサ編

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33話 赤い私


 強いですねぇ~。

 赤い私には、私の攻撃が通用しません。

 流石は私と言ったところですか……。

 私は赤い私の攻撃を避け続けています。


「やるじゃねぇか。鬼神おにがみである私に対して、ここまで戦えるとはな……」

「そうですか? 褒めて頂き光栄ですね」


 【鬼神おにがみ】ですか。

 そう言えば、私のクラスに追加されていましたねぇ……。

 とはいえ、本当に強いですねぇ……。

 赤い私のせいで、【神殺し】の能力も使えませんし、他の特殊能力も使えません。相手は全ての能力を使ってくるのがムカつきます。


「しかし……。鬼神()の力がないお前など、ただの子供だと思っていたが……。これはどういう事だ?」

「何を言っているのでしょう?」


 私は私に斬りかかります。

 ファフニールは普通に使えますし、赤い私は普通の剣を持っています。


「貴女はレティイロカネを使っていないんですね」

「あぁ……。あの変な名前の鉱石だろう? 私の剣には反映されなかったようだな……」

「そうですか」


 何度か、剣を交えた感想ですが、私の剣の方が硬度は高いようです。現に赤い私の剣は刃こぼれしています。ただ、【再生】の能力で直しているのでしょう。


「いちいち、剣が直されるのは気に入りませんねぇ……。【再生】ですか?」

「そうだ。だが、今までのお前の敵はお前と同じ気持ちだったんじゃないのか?」

「さぁ? まぁ、興味はありませんけど」


 赤い私は、私の持つ能力を全て行使して、私に襲い掛かります。ですが、今は使えないとはいえ、私の能力です。対処法はちゃんと考えています。


「きはははは。思っていたよりも粘るじゃないか。能力の無いお前など、すぐに倒せると思っていたんだがな」


 ふむ。

 むしろ、赤い私の方の表情に焦りが出ているような気がします。

 さっきまでは防戦一方でしたが、今は攻めに転じられそうです。

 さっきの赤い私の動きを真似します。


「えいっ!」

「がっ!?」


 赤い私に初めて攻撃が当たりましたよ。これは、もしかしたら勝てるんじゃないですか?


 私は、赤い私を攻め込みます。赤い私に少しずつですが、ダメージを与える事ができてきました。もう少しです。

 しかし、赤い私が後ろに下がり、掌を前に出します。


「待て!?」

「はて? 負けそうになったから、今度は命乞いですか?」

「違う……。私とお前の決着は……今じゃない」

「はて? 負けた時の言い訳ですか?」

「違う!! 聞け!!」

「はい」


 聞けと言われたので、私は剣を納めます。赤い私も剣をどこかに消しました。


「私がお前に勝てば、【鬼神おにがみ】の力を完璧に使える。しかし、今のお前は精神的に幼すぎる。たとえ私に勝ったとしても、お前は【鬼神おにがみ】の力に飲み込まれるだろう」

「誰が幼いですか」

「お前だ。グラーズとの戦いが終わったら、ジゼルを捜せ」


 ジゼル?

 ジゼルは死んだのじゃないですか? 私が殺しましたし……。


「ジゼルは死にましたよ? 魔神の力を得て、私と戦いましたけど?」


 ジゼルが死んだというと、赤い私は何かを考えている様でしたが……、私にエスペランサから、とても離れた村を訪ねる様に言われました。


「そんな所に一体何が?」

「行けば分かる。そこに行けば、お前の力について理解できるはずだ」

「そうなのですか? なぜ、貴女がそんな事を知っているのですか?」

「……。今は言えん。そこで私とお前の本当の戦いが待っている……」

「そうですか……」

「さて、今はお前に力を貸してやる……。いや、お前の力だけで、グラーズにトドメを刺す事は可能だろう」

「貴女と遊んでいた結果、随分と時間が経ってしまいましたが、あっちは全滅していないでしょうね」

「大丈夫だ。今の私達の戦いに使った時間は……。向こうの時間の一瞬だ」

「都合のいい話ですね」

「きははは。それを異世界の言葉で〈ご都合主義〉って言うんだよ。覚えておけ」


 ご都合主義ですか。

 意味は分かりませんが、とてもいい言葉だと思います。


「分かりました。では、起きるとしましょう……」




 私は目を覚まします。手には砕かれた箱の欠片がありました。

 赤かった髪は元の黒に戻っています。


「がぁあああああ!! エネルギー増殖炉が無くとも、貴様を殺す事は可能だぁあああああ!!」


 グラーズの外装が真っ赤に染まっています。

 ……でも。


 私はグラーズの顎を剣で殴り上げた後、背後に回り後頭部に剣を振り下ろします。

 おや?

 随分と速く動けましたよ。


「がぁああああ!!」


 グラーズは私を捕まえようとしますが、捕まるわけがありません。グラーズの隙を見つけて剣で殴ります。


「べ、ベアトリーチェ様ぁああああ!! この子供は……!? この悪魔の子はぁああああ!?」

「うるさいです!!」


 私はグラーズの胸を剣で貫きます。


「ぎゃぁああああ!! が……が……」


 そして、グラーズの頭を掴みます。


「ぎ、ギザマは……。ギザマぁあああああ!!」

「もう黙ってください。不快です」

「あぐ……ま……のご……」

「【破壊】!!」


 赤い私はグラーズを機械と言っていました。よく分かりませんが、生物ではなさそうです。

 【破壊】が生物には効かない事は証明済みですが、機械という作られたモノにならば効くでしょう。

 私が【破壊】の力を使うと、グラーズは一度だけビクッとした後、霧散してしまいました。

 終わりました……。


 私は足に力が入らず、その場に倒れますが、紫頭に支えられました。


「疲れました。エレン達の所へ運んでください」

「あぁ……。分かったよ。ただ、あの力について、後でちゃんと説明してくれよ」


 説明と言われても、よく分かりません。

 そういえば、赤い人がある村に行けと言っていましたね……。都合よく、その村に行く依頼を見つけて、行ってみるとしましょう……。


 ……とりあえず、今は眠いです……。



















≪赤いレティシア視点≫


 グラーズを倒したか……。

 まぁ、当然と言えば当然か……。



 アイツは、鬼神()の力を使えなければ、何もできない子供だと思っていた……。

 しかし、無能力状態でアイツは私と互角に戦った。


 私は本気じゃなかった……。

 

「きはははは。私の記憶に残る(・・・・・)ベアトリーチェは苦戦するだろうな……。アイツの本当の強さは【神殺し】の能力じゃない……。アイツの本当の強さは……その【成長力】と【応用力】だ……。【神殺し】にだけに警戒していたら、痛い目を見るだろうな……。きははははは!!」



 全てを知ったアイツが、私と対峙する時が今から楽しみだ……。

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