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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
5章 魔国エスペランサ編

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32話 赤い髪


 ハヤイとの戦闘を終えた俺は、目の前の光景を呆然と見ていた。


 う、嘘だろ……。

 レティシアがグラーズに一方的に追い詰められている? ま、まさか、反撃すらできないのか!?

 グラーズがレティシアに斧を振り下ろす。


 バキィ!?


「ば、馬鹿な!? その体の硬さは何だ!? 貴様は人間ではないのか!?」


 グラーズの斧はレティシアの肩に直撃したが、逆に斧が砕けた。少ない魔力で防いだのか!?

 しかし、前から思っていたが、レティシアの魔力の回復速度は極端に遅くないか?

 いつものレティシアならば、すぐに反撃に移るはずだが、今はその場でジッとしている。


 や、やばい!!

 レティシアの奴、意識が朦朧としていないか!?


「レティシア!!」


 呼びかけにも反応しない!? 助けに入るか!?

 し、しかし……。


「きはっ」


 え?

 今、アイツ笑ったか?


 や、やばい!?

 グラーズに蹴られた!!


 レティシアは地面に寝転がりながら……笑っていた。


「きははははははははは!!」

「不気味な子供だな……。死にそうになって気でも触れたか!?」


 レティシアはフラフラしながら立ち上がる。全身血塗れだ……。アイツ……大丈夫か?

 い、いや……。ちょっと待て……。


 魔力の使い過ぎで真っ白になっていた髪の毛が、血で赤く染まっているのだが、アレは血がついて赤くなっているんじゃなく……髪の毛そのものが、真っ赤に染まっている。


「きはははははは!! 久しぶりに外に(・・)出てこれたわよぉおおおおお!!」


 レティシアが、グラーズに斬りかかる。な、なんだあの速度は!?


「むっ!?」


 グラーズは、斧でレティシアの攻撃を受け止めたが、強力な威力に少しよろめいた。

 グラーズは一瞬で態勢を整え、レティシアに攻撃しようとするが、もうそこにレティシアはいない。

 レティシアは、グラーズの背後に回っていた。


「ど、どこに行っ……がっ!?」


 レティシアの剣がグラーズの脳天に直撃する。

 しかし、グラーズからは血が出ないんだな。レティシアは肩の鎧の様な外装を引き剥がす。すると、グラーズの体の内部が見えたが……アレは生物ではないのか、血が全く出ずに、中には魔法具の様なモノが詰め込まれている。

 もしかして、グラーズはゴーレムなのか!?


「ちょ、ちょこまかと!?」

「お前……。やっぱり機械かぁああああああ!!」


 レティシアは、内部が見えている肩に手を突っ込み、内部から紐のようなモノを抉り出し、引き千切った。その瞬間に、グラーズの腕が力を無くしたようにだらんと下がる。肩の内部から、雷のようなモノが発生している。


「お前は誰に作られたぁああああ!? ベアトリーチェかぁあああああ?」

「ぐっ……」


 あ、アイツ……、何を言っているんだ?

 しかし、グラーズも言い淀んでいる。

 動きの止まったグラーズを今のレティシアが見逃すわけがない。

 次は足の付け根の外装を引き剥がし、内部から再び紐を千切り抜く。


「がぁああああ!?」

「恐らくだが、ここにも大事なケーブルがあるんだよなぁあああ!!」


 グラーズは、その場に崩れ落ちる。

 レティシアは無防備になった後頭部を何度も剣で殴り続ける。


「きはっ!! きははははははははは!!」


 グラーズは頭から血が噴き出す事も無く、だんだんと頭の形が変形していく。本当に硬いんだな。


「く、クソっ……。出力を百パーセントに……がっ!?」


 レティシアの手刀が、背中を貫く。そして、魔宝玉を取り出した。いや……アレは魔宝玉か? 箱のようなモノを取り出した。


「お前のエネルギー増殖炉は……ここかぁあああああ!!」

「や、やめろぉおおおおおお!!」

「これを砕いたら、お前は死ぬかぁああああああ!?」


 レティシアは、箱を握り潰した……。


 いや、そもそもアイツの変貌は何だ!?

 言葉遣いも全く変わり、グラーズの体の事を機械と言っていた。

 そもそも機械って何だ!?

 グラーズの体の中の紐の事もケーブルと呼んでいた。レティシアは何を知っているんだ!?

 


≪レティシア視点≫


 真っ白な空。

 周りも真っ白です。

 ここは……どこですかね?

 私はグラーズと戦っていて、魔力が足りずにピンチになったんですよね。

 しかし……。あのグラーズという生き物は何なのですかね?

 魔力は感じますが、生物とは思えません。


「ゴーレムでしょうか?」

「教えてやろうか?」

「はて?」


 声がした方を見ると、赤い髪の毛の女の人が立っています。エレンくらいの歳でしょうか……。額に角が生えていますが、胸は大きくありません。

 しかし、どこかで見た事のある人ですねぇ……。


「貴女は誰ですか?」

「お前は私だよ」

「はて?」


 この人の言っている意味が分かりません。

 私が貴女?


「意味が分からないので死んでください」

「きははははは。鬼神おにがみである私に向かって随分な言い草だ。お前こそ……死にたいのか?」

「はい? 私が死ぬのですか?」

「そうだな。少なくても、グラーズの相手は、今のお前には無理だ。グラーズは異世界の機械兵だ」

「きかいへい? それは何ですか?」

「どうやらベアトリーチェが異世界から持ち出してきたんだな……。きはははは」


 異世界のモノですか……。

 しかし、この人は偉そうですねぇ……。


「もう一度聞きますが、貴女は何者ですか?」

「だから、私はお前だ。私の名はレティシア。お前が普通に成長した姿と言った方がいいだろうな……」

「そうなのですか? それは残念です」

「なに?」

「胸は大きくならなかったという事でしょう?」

「きはははは。そこはツッコむな……。泣きたくなる……。さて、決着を付けようか?」

「はて?」

「この体は私のモノにしてやる。現に、今、グラーズを追い詰めているのは私だ。お前じゃない」

「そうなのですか?」


 ふむ。目の前の私は私ではないのですね……。


「分かりました。では、貴女が死んでください」

「きはははは。それでこそ、私だ!!」

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