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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
5章 魔国エスペランサ編

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27話 ゴブリン城の壊滅


 マジック……。いえ、お孫さんのいる御方を呼び捨てにするのは駄目ですね。これからは、マジックさんと呼びましょう。


「レティシア嬢。ブレインとヘクセ嬢の事は後でじっくり話を練ろう……」

「はい。そうですね、マジックさん」

「ん?」


 私がマジックさんと敬称を付けて呼ぶと、紫頭は不思議そうな顔をしていました。

 そんな私達を見て、ヘクセさんは慌て始めます。


「いえ、そ、そこまでしていただかなくても……」

「それは後のお楽しみだな。ケンの報告では、ゴブリン共の城は空間魔法によって作られているのだろう? どうやって攻め落とすんだ?」

「あぁ。その点はご安心を……」


 昨日の戦闘でグラーズに逃げられたのは、相当頭に来ましたから、昨日の夜に対策魔法をちゃんと作っておきました。

 ふふふ……。

 あのふざけたゴブリン魔王。今度は逃がしませんよぉ……。

 私が楽しみで笑っていると、紫頭が声をかけてきました。


「レティシア、ヘクセちゃんに一人で戦わせると言っていたが、俺はやはり反対だ。危険すぎる」

「そ、そうだった……。後も何も、生きて帰れる保証がないんだ……」


 ヘクセさんは気の抜けた顔でその場に座り込んでしまいます。何をそんなに悲観的になっているのでしょう?


「命の危険はないですよ? ヘクセさんには一方的に魔法を撃ちこんでもらうだけですから」

「一方的と言われても、私の魔力では、ゴブリンの軍勢を倒しきるのは無理ですよぉ!?」


 確かに、今のヘクセさんの魔力はCランクの冒険者と比べれば随分と低いです。しかし、そんな事は問題ではありません。


「レティシア。ヘクセちゃんに何を作った?」


 流石は、紫頭です。同じリーン・レイの一員ですから、やはり気付きましたか。

 そうです。私は既にヘクセさんの能力を作っちゃっています。


「へ? 私に何かを作ったって? そういえば、ヒヒイロカネの腕輪……あれ? 赤い腕輪が黒い色になっている……」


 ヘクセさんが大事につけていた腕輪が、黒く七色に光っています。これはベアトリーチェと戦っている時に精神操作耐性にと作ったヒヒイロカネの腕輪ですね。しかし……、あの色は……。


「レティイロカネに進化したみたいですね」

「レティイロカネ? あぁ、あのドワーフのおっさんが名付けた変な鉱石か。そういや、俺達の剣の色も、レティイロカネの名を聞いてから、黒っぽく進化していたなぁ……。元はお前が作った武具だ。レティイロカネという名は、お前の作ったモノ全てに影響が出ているみたいだな。明るい緑色だったドゥラークの第三段階の龍鱗も、深い緑の龍鱗に変わっていたからな」

「そうなのですか?」


 それは一度見てみたいですねぇ……。強くなっているのでしょうか?


「ヘクセさん。腕輪の色が変わりましたけど、効果は変わりませんから安心してください」

「え? じゃあ、作ったというのは?」


 そういえば、ヘクセさんには【創造】の力の話をしましたっけ?

 いえ、していないはずです。もしくは覚えていないのでどうでもいいです。


「おい。以前にイラージュから聞いたが、ヘクセちゃんに【魔力超強化】を作ったと言っていたな。お前はホイホイ作るが、アレは熟練の魔導士でなければ扱えないはずだ。ヘクセちゃん。【魔力超強化】を扱えるかい?」

「え? あの、イラージュ先生と一緒に勉強していた時に、覚えた魔法ですよね。アレは使い方が分からず、今も使えません」

「そうだろうな。レティシア、超強化系の特殊能力は扱うのも難しいんだ。ヘクセちゃんには、まだ扱いきれないんだ。それがヘクセちゃんが戦えない理由にもなるだろう?」

「はて? ヘクセさんにはすでに【魔力超強化】はありませんよ?」

「なに?」

「そんなモノ、とっくに破壊しました」


 仕えない特殊能力は、ヘクセさんの体の負担になると思い、別の能力を作った時に破壊しました。


「おい。まさかと思うが、美徳を作ったんじゃないだろうな……」

「超強化が使えないのに、更に扱いの難しい美徳系を作るわけないじゃないですか。いずれは強力な能力を作る予定ですが、今はヘクセさんが扱える能力だけを作りました。作ったのは【魔力消費軽減】【圧縮魔法】【四大属性強化】の三つです。ヘクセさんのお家に忍び込んで、寝ているヘクセさんにバレないように、能力を作りました」

「え? えぇー!?」


 勝手に忍び込んだことに驚いている様ですが、そんな事はどうでもいいです。

 ヘクセさんの能力の使い方は後で教えるとして、マジックさんに目的の場所まで連れて行ってもらわなければいけません。


「マジックさん。コバルテの屋敷を一望できる場所はありますか?」

「ん? なぜだ?」

「ある目的の為です。できれば崖の上に行けるといいのですが、そこには行けますか?」


 私はコバルテの屋敷が一望できそうな崖を指差します。


「あぁ。あの崖なら大丈夫だ。確か、偵察に使っていた場所だ」

「早くそこに行きましょう」


 私達は、コバルテの屋敷を見下ろせる場所にやってきました。まぁ、今はゴブリン達のお城があるのですが……。

 ここならば問題ありません。

 ……と、その前にやる事があります。


 昨日の夜に作っておいた、空間を完全に固定する魔法を使います。

 こうする事で、空間魔法で逃げる事はできません。


「お、おい。レティシア、髪の毛が……」


 はて?

 私は髪の毛を見ます。

 あぁ、また灰色になっちゃっていますね。

 お城全体に魔法をかけなければいけないので、魔力の消費は大きいです。そのせいでしょう。


「まぁ、いつもの魔力切れです。そのうち戻りますよ」


 グラーズと戦うのに、魔力は必要ありませんしね。


「ヘクセさん」

「ひゃい!?」


 はて?

 何か緊張していませんか?


「い、いまから、あそこに一人で行けばいいの?」

「はて? 死にたいのなら止めませんが……自殺願望でもあるのですか?」

「で、でも、一人でゴブリンと戦えって……」

「はい。でも、ヘクセさんは魔導士ですよね? ゴブリンの前に姿を出す必要はありませんよ」

「へ?」

「魔導士なのですから、ここから魔法を撃ちこめばいいじゃないですか。あのお城は空間を固定してありますから、魔法を撃ちこめば一気にゴブリン共を殺せますよ」

「いや、私はそんなに強力な魔法は使えないよ!?」


 私はヘクセさんに特殊能力の使い方を教えます。

 ヘクセさんは魔導士の授業は優秀でしたので、すぐに使い方を覚えました。


「魔力を圧縮して……。私の使える最大の魔法……」


 ヘクセさんの掌に小さな炎の玉が生まれます。

 しかし、その小さな炎の玉には圧縮された魔力が集まっています。


「クリムゾン!!」


 ヘクセさんの放った炎魔法〈クリムゾン〉がお城に向かって飛んでいき、当たった瞬間大爆発を起こします。

 確か、クリムゾンというのは炎魔法の上級の魔法でしたっけ? 思っていたよりも威力が大きいですねぇ……。これはヘクセさんのポテンシャルの高さがなせるモノでしょうか?


「ヘクセさん。もう一度撃ち込んで……。いえ、お城の全てを吹き飛ばすつもりで魔力が尽きるまで打ち込んでください」

「え!? う、うん!!」


 ヘクセさんは何度もクリムゾンを打ち込みます。

 ゴブリンのお城があった場所は何度も大爆発を起こし、元のお城の原型は無くなり、瓦礫の山になっていた。


「あはははは。思ったよりも派手に吹き飛びましたねー。とても面白いです」


 私がけらけら笑っていると、魔力切れを起こしたヘクセさんはその場に倒れてしまいます。それを見たケンがシーラさんをチラッと見ます。


「シーラ。ヘクセちゃんを頼む」

「あぁ」


 シーラさんは、パワー状態からシーラさんに戻り、ヘクセさんを抱きかかえます。


「城が無くなったから、俺達の出番はねぇかな?」

「いえ、そうでもなさそうですよ」


 城の瓦礫から、ゴブリン共がわらわらと現れます。中には周り雑魚ゴブリンとは違い、強そうなゴブリンが数匹と、グラーズもいました。


「あははは。まるでゴブリンが虫みたいですねぇ……。アレを全部潰してしまえばクランヌさんの心配事も晴れるでしょう」


 さて、面白い遊びの始まりですよぅ。

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