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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
4章 レティシアの学校生活

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46話 仮面の下


「ぐはぁ!?」


 ベアトリーチェの生み出した光の剣は、術者の体を貫き、当初の目標である私に襲いかかって来ます。

 

 ……まぁ、所詮は直線攻撃なので当たる事はありませんけど、なぜベアトリーチェは避けられなかったのですかね?

 私はボロボロになったベアトリーチェを見ます。

 ふむ。

 まだ、一度目なので五体満足みたいですが……腕は折れていますかね。

 ベアトリーチェは私を睨みつけています。

 いいのですか? 光の剣はまだ消えていませんよ。


 光の剣は、相変わらず私めがけて襲いかかって来ます。

 まぁ、何度襲ってきても一緒ですよ。私は再び、ベアトリーチェの背後に立ち、背中を蹴ります。


「な!?」


 私に蹴られて、ベアトリーチェは驚いているみたいですが、一度で済むわけないでしょう?


「ぎゃああああ!!」


 ベアトリーチェは再び光の剣にくし刺しにされます。

 でも、まだまだ終わりませんよぉー!!


 私は何度も何度もベアトリーチェの背後に回っては光の剣に向かって蹴り飛ばします。

 

 それを十回ほど繰り返した結果、右腕と右足が無くなり、腹部に大きな穴をあけたベアトリーチェが浮いていました。あ、羽はとっくに穴だらけですよ。

 しかし、不思議な事もあるモノです。体もボロボロなのに、仮面には傷がついていません。


 そもそも、なぜ外れないんですかねぇ……。

 ふーむ。


 私はベアトリーチェに掴みかかろうとしたが、身体をすり抜けてしまいました。光の剣が無くなったからでしょうか?

 うーん。ずるっこいです。


「く、クソっ。人間風情が私の体を傷付けるとは……」


 ベアトリーチェの体が修復されていきます。これが、超回復ですか?

 そう思っていたのですが、魔力の流れを感じたので、ゴスペルヒールを使ったのでしょう。聖女が使えるのであれば、神が使えてもおかしくありません。

 しかし、厄介ですね。

 攻撃時にこちらの攻撃が通用する事は分かりましたが、こちらが気付いているのに、気付かれているでしょう。

 これでベアトリーチェは迂闊に攻撃してこないかもしれません。

 では、どうしましょう?


 最初は神だから攻撃が当たらないと思っていましたが、ちゃんと実態がある事は確認しました。

 それなのに、すり抜けるという事は……。


 私はベアトリーチェの能力を視ます。

 神の能力を視れるかは分かりませんが、試してみる価値があるでしょう。


「!?」


 霞ががったように視えくなってしまいました。

 それに気づいたベアトリーチェの口角が吊り上がります。


「何を視ようとしているのかな? まさかと思うけど、神の能力を視れるとでも思ったかい?」 

「はい。視えると思っていましたが、視えませんねぇ」


 これは嘘です。

 確かに、今は視えませんが、一瞬だけいくつかの能力が視えました。

 そのうちの一つに気になるものがありましたね。


【攻撃透過】


 これは、攻撃を透過するという事でしょう。これを破壊すれば、ベアトリーチェに攻撃を当てる事ができるという事です。

 しかし、気になる事もあります。

 それは攻撃の時には、この特殊能力の効果が無くなっている事です。

 私もそうですけど、【身体超強化】以外の特殊能力を同時に使う事は可能です。

 ベアトリーチェもこの特殊能力を使いながら、攻撃をしてくれば、私を簡単に倒せたはずです。

 それに、もう一つ気になる事があります。

 先程、ベアトリーチェは私の剣を受け止めましたよね。しかし、ベアトリーチェは攻撃してきませんでした。

 正直な話、あの一撃は当たる訳が無いと思って攻撃したのは確かです……。

 ……!?

 もしかして……。


 私は気になる事を試す為に、ゆっくりとベアトリーチェに近付きます。ベアトリーチェは攻撃が効かないと思っているのか動こうともしません。

 神というのは、人間を馬鹿にしていちいち油断するのですね。それが全ての間違いです。

 私は剣を収めて、ベアトリーチェの首に手を回します。


「抱擁かい? 君は見た目が可愛らしいが、性格が腐りきっているからね。あまり嬉しくはないなぁ……」

「そうですか? 私としては自称神様に抱きつけるのですから、面白いですよ?」

「ふん。君が何を考えているかは知らないが、離れてくれないかい?」

「嫌です」


 ここで首を絞めようとしたら、多分すり抜けるのでしょう。私はベアトリーチェの後頭部にそっと手を置きます。


「何をするつもりだい?」

「え? 分かっているでしょう? もう、目安はついていますよ。【破壊】!!」

「なっ!?」


 これさえ破壊できれば、ベアトリーチェに攻撃を与える事ができるはずです。


「馬鹿め! たかが人間のお前に神の能力を破壊できるわけがないだろう!?」

「はて? 私は【神殺し】ですよ。神の天敵ですよ。だから【神殺し】の【破壊】の力で充分に破壊できると思っています」

「や、止めろ……」

「いっやで~す」


 もしかしたら、魔力を込めた瞬間、すり抜けるかもしれません。そうなってしまえば、もうチャンスはないでしょう。

 一回限りです。私は魔力を込めます。すると、ベアトリーチェの中で何かが割れる音がしました。


「な!?」


 私はベアトリーチェの腹部を蹴り離れ、ファフニールを取り出し、ベアトリーチェの頭に振り下ろします。


「くそっ。なめるな!」


 ベアトリーチェはファフニールの刃先を掴みます。


「やや? まさか、今のを反応されると思いませんでしたよ。でも……」


 この程度で済ますとも?


 私はもう一度ベアトリーチェの腹部を蹴りつけます。


「ぐっ……」


 ベアトリーチェは剣を離します。その瞬間、私はベアトリーチェを剣で薙ぎ払います。


「がっ!?」

「【攻撃透過】が無くなったら、ちゃんと攻撃が当たるようになりましたね。さて、今からが戦闘の始まりですよ」

「くっ!? 舐めるなよ、人間風情が!!」


 ベアトリーチェの羽が銀色から黒く染まります。魔力も荒ぶっています。これが神の本気ですか?

 楽しくなってきました。


「キサマは血の一滴すらこの世に残さん!!」

「あはははは。ここからが一番楽しいんですよ!! いきますよ!!」


 私はあの力を発動(・・)させました。


≪ドゥラーク視点≫


 レティシアがとても楽しそうにしている。

 目が金色に変わり、そして黒い魔力を放ち始めた。


「レティシアの奴、あの力を使い始めたな」

「あ、あれが?」

「……」


 ヨルムンガンドはレティシアの変化に驚いているが、エレンは、レティシアの変化に驚いていない。どういう事だ?


「エレン、お前はレティシアの変化に驚かないのか?」

「そうか。ようやく理解したよ。あれが【鬼神(・・)】なんだ」

「なに!?」


 エレンは何を言っているんだ?

 【鬼神】……。確か、リディアが「【神殺し】の横に【鬼神】って書いてあるよ」と言っていた。

 まさか、あの力の正体が【鬼神】の力とは思わなかった。

 ……。

 ちょっと待てよ……。

 という事は、レティシアも神の類なのか!?


 俺は、レティシアの動きを目で追う。しかし、レティシアの動きが更に速くなる事で、目で追えなくなった……。

 

 しかし、レティシアがベアトリーチェを攻撃しているのは確かだ。ベアトリーチェは、黒い魔力の剣を取り出し、何かを防いでいる。

 一瞬、火花が出ていたから、レティシアが攻撃しているんだろう。

 ベアトリーチェもレティシアの攻撃に対応できないのか、攻撃できずに防戦一方のようだ。


「く、クソっ!? に、人間風情がぁあああああ!!」

「うるさいですねぇ!!」


 レティシアの剣がベアトリーチェの仮面に振り下ろされる。

 パキィ!!


 今のは!?

 まさか、レティシアの奴、執拗に頭を狙っていると思っていたが、まさか仮面を割ろうとしていたのか!?


 ベアトリーチェの仮面が粉々に割れる。

 その仮面の下は目鼻の整った……、この世のものとは思えないほどの美しい顔だった。

 あ、あれが女神か……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ドゥラーク、《女神》に謝れ!
[良い点] レティシアの抱擁…エレンとカチュアの殺意ポイントがMAXになりました!(笑)まあレティシア自身が始末をつけるでしょうから、ちょっと抑えて…。 ジゼルも途中から何者かの意図の中にあったらしい…
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