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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
4章 レティシアの学校生活

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36話 新しい武器


 グラヴィとの戦闘の後、ギルガさんやグローリアさんは「もう、学校に行かなくてもいいと」と言っていましたが、エレンの安全は、私やカチュアさんが一緒にいれば問題ありませんし、エレンやカチュアさんが危険だと感じれば、私はすぐに分かります。それに、まだまだ覚える事は多いですし、毎日が結構楽しいですから、まだ学校に通っています。


 今日も授業が終わり、帰ろうとしたところ、イラージュ先生に止められてしまいました。


「レティシアちゃん。学長と今後の学校の事を話をしたいのだけど、一緒に来てくれない?」

「分かりました。その前にエレンとカチュアさんを家に送り届けていいですか?」

「そうね……。グ……に狙われているモノね……」


 イラージュ先生も一度グラヴィに襲われていますから、エレンの事も理解してくれています。

 しかし、学校内の人間はグラヴィの事を忘れてしまっているので、イラージュ先生も安易に名前を出さないようにしているみたいです。

 もし、名前を出している事が、記憶を操作している者にバレてしまえば、厄介ですからね。



 エレン達を家に帰した後、面倒ですがもう一度学校に戻ります。私がイラージュ先生の自室に戻ると、イラージュ先生が飲み物を出してくれました。


「レティシアちゃん。学長とは私が話をするから、貴女はできるだけ口を挟まないで」

「何か考えがあるのですか?」

「そうね。もしかしたらだけど、彼女も操られている……もしくは自分は無害だとアピールしてくる可能性もあるわ。もし、私達が下手を撃てば、エレンちゃん達が危険になるわ」

「そこまでのリスクがあるのなら、なぜシュラークさんと話を?」

「危険だけど、アイツが学校内で襲って来ないという保証はないわ。そうなった時、操られているとはいえ生徒達を殺させるわけにはいかないわ」

「なるほど。もしもの時は大事ですよね」


 一番最初にグラヴィと対峙した時に、周りの生徒を盾にされました。

 私としては気にもならないのですが、でも、あの時にグラヴィが取った行動は有効でした。

 そもそも、次に戦うグラヴィは巨竜です。それこそ被害がどれだけ出るか分かったモノじゃありません。

 私とイラージュ先生の二人は学長室を訪ねます。


「いらっしゃい」


 シュラークさんはいつものように私達を部屋に招いてくれました。

 そして……。


「今日は、どういった用事かな? あ、レティシア君。学校には慣れたかい?」

「はい」


 その言葉と同時に一枚の紙を見せてきます。そこには(私が操られているのは分かっている。言葉は聞かれているかもしれない)と書かれていました。

 

 イラージュさんが言っていた可能性もあるのでしょうか? しかし、シュラークさんの目を見る限り、嘘を言っているようには見えません。


「そうね。実は治療の授業の事で相談があるのよ」

「そうなのかい?」


 二人は治療の授業のやり取りをしながら、筆談を続けています。

 書いてある内容は、生徒の避難経路の見直しなどを要請している様です。

 イラージュ先生はシュラークさんをあまり信じていないのでしょう。となると、これくらいしか要請できないのでしょう。


「じゃあ、私達は帰るわ。治療の授業の事を検討しておいてね」

「えぇ。お疲れ様。またくるといい」


 私達は学長室から出ます。

 盗聴の魔法具を作っておいて良かったのですが、イラージュ先生からそれは駄目と言われました。


「どこで、状況が変わるか分からないから、痕跡は残さない方が良さそうよ」

「はぁ……」


 痕跡など残しはしませんが、相手は神です。

 私達が知らない魔法技術を使ってくるかもしれません。


「それよりも、どうして私をレティシアちゃん達の家に連れてきたの?」

「はい。イラージュ先生もいつ狙われるか分かりません。だから、この家で匿った方がいいという判断です」

「そうなの?」

「はい。この家は私が結界を何重にも張り、妨害魔法、消音魔法などが掛けられています。それよりも、筆談です」

「あら? 私を疑っているの?」

「いえ、イラージュ先生を疑ってはいません。ただ、グランドマスター……。会った事はありませんが、何やらキナ臭いです」

「そうね。それは否定しないわ。レティシアちゃん。私の筆談の内容を覚えている?」

「はい。主に生徒の逃走経路の確認ですよね。当然です。逃げられても困りますから」

「そうよ。だからこそ、この情報は別に洩らしていいのよ。ただ、牽制しただけ」

「牽制ですか? どういう事ですか?」


 イラージュ先生が言うには、グラヴィの情報や色々な物を持っている私達をグランドマスターが襲うわけがないと判断しています。

 しかし、元々味方とは思っていませんから、襲ってきたら一人残らず殺しますからね。

 イラージュ先生と話をしていると、エレンと一緒にドゥラークさんがやってきました。


「よぉ、レティシア」

「アレ? ドゥラークさん、どうしたんですか?」

「おぅ。エレンに相談事があってな。それに、お前が作る武器を見たくてな……。って、そこのリビングの壁に立てかけている赤い物体か?」


 物体とは、失礼な話です。


「これが私の新しい武器です。カッコいいでしょ?」

「おいおい。こんなモノ、振り回せるのか?」


 確か、人間は自分の体よりも大きな武器は持てないのでしたね。

 ただ、私は簡単に持てます。

 私はこん棒を持ち上げます。当然片手でです。


「マジか……。それにどうして赤色なんだ?」

「これは、私の【創造】の力を使って作ったヒヒイロカネという鉱石で作ったんです。この赤色、敵の血がついても気にならないですよ」

「お前……。結構えげつない事を考えているな」


 えげつないとは失礼です。

 でも、これはまだ完成ではないんですよね。

 棍棒では殴り潰す事はできても、両断する事ができないです。何かいい形はないですかね?


「ドゥラークさん。何かいい案はありませんか?」

「何がだ?」

「だから、良い武器の形です」

「だから、どういう意味だ!?」


 ふむ。

 理解してくれなくて困ります。


「レティシアちゃん。ちゃんと話をしないと理解できないわよ」

「おぅ。お前は話が通じるな。それで、お前は何でこの家にいるんだ?」

「あ、暫くこの家で匿うんです」

「なに? お前等、一応女なんだから男を家に住ませるのはどうかと思うんだが……」


 はて?

 あ、もしかして……。


「ドゥラークさん。イラージュ先生は女性ですよ?」

「なに!?」


 ドゥラークさんは驚愕した顔で止まっています。

 イラージュさんももう説明するのが面倒になったのか呆れていました……。

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