表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
4章 レティシアの学校生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/325

26話 神獣種との戦い 


「さて、次はレティシアちゃんね」

「はい」


 獅子王を簡単に倒したカチュアちゃんには驚いたけど、今度はそう簡単にはいかないわよ。

 しかし、レティシアちゃんは全く動じていないわ……。

 

 さて、準備をしましょうか。


「エレンちゃん、結界魔法は使えるかしら?」

「え? はい」

「そう。聖女(・・)の力を使ってでも最高の結界を作ってくれない?」


 レティシアちゃんと今から出てくる魔物との戦いは、凄まじいモノになるはずよ。神聖魔法を使ってもらってでも結界を張ってもらわないと、こちらまで殺されるかもしれないわ。


「え? ら、ラロさん。一体何をするつもりだ!?」


 聖女の力まで使うと聞いて、リベルタも焦っているわね。

 それもそうでしょう。リベルタの様な、普通のAランク(・・・・・・)には獅子王でも命懸けで戦わなきゃいけない相手。焦るのも仕方ないわ。

 しかも、今から出てくる魔物は……この世界には存在しない魔物……。いえ、存在してしまえば、この世界は終わっているはずの魔物よ……。

 そんな化け物とレティシアちゃんを戦わせるのは不本意だけど……。これも命令なのよ……。

 グランドマスター……。何を考えてこの魔物を用意したのかしら……。

 いえ……。考えるまでもないわね。

 グランドマスターはレティシアちゃんを殺したいのでしょう。

 ……そこまで手に入れたいのね……。


 でも、エレンちゃんは【鬼神の巫女】

 恐らくだけど、グランドマスターがエレンちゃんを手に入れても無意味になるでしょうね。

 でも、よく考えれば、グランドマスターやアブゾルにはエレンちゃんの本当のクラスは見えていないから、これからもエレンちゃんを狙い続けるんでしょうね。


「ラロさん!? もしレティシアが死んだらどうするんだ!?」


 リベルタは教師として本気で心配しているわね。しかし、当の本人は気にもしていないみたいだけど……。


「リベルタ。自分の生徒を信じなさい」


 まぁ、無茶な事を言っているんだけどね……。


「エレンちゃん、お願いね。さて、レティシアちゃん。準備は良い?」

「え? 大丈夫ですよ」

「そう……」


 本当に、何も臆していないわね。

 さて、レティシアちゃんは勝てるかしら……。


 この世界とは別の世界には、今からレティシアちゃんと戦う魔物を一撃で倒す本物の化け物達がいるわ。

 グランドマスターやアブゾルもその化け物と同種。私も奴等と肩を並べたいと思うけど、まだまだ壁を超えられないのが現実よね……。


「レティシアちゃん。これから戦う魔物の種別は神獣種というの。この世界で最強の魔物……王種のさらに上の魔物よ」

「さらに上ですか……。楽しみですねぇ……」


 楽しみね……。

 レティシアちゃんは楽しみなのかニコニコしているけど、その顔がいつまで続けられるかしら……。


「じゃあ、檻を潰すわよ」

「いいですよ」


 私は檻を地面に叩きつけ、すぐにエレンちゃんの結界内に避難する。


「はて? 何を結界に逃げているんですか?」

「私でも神獣種の相手は難しいからね。もちろん、勝てないわけではないわよ」

「そうなのですか?」


 レティシアちゃんはすぐに潰された檻に視線を移した。

 封魔の檻からは、金のタテガミを持った、成人男性くらいの身長の獣人が立っている。

 見た目は獅子王の方が強そうだと思うでしょうけど、身体からあふれる魔力は獅子王とは桁が違う。


「レティシアちゃん。この魔物の名前はベルヴァ。獣人系の魔物の中でも最強の類の魔物よ」

「そうですね。禍々しい魔力を感じます」


 レティシアちゃんはベルヴァを前にしてもまったく動揺していない。

 実はタロウにもレティシアと戦う魔物の事は話していない。


「おい。アレは大丈夫なのか? こんな所でレティシアに死なれても困るんだがな……」

「あら? 憎い相手の心配?」

「心配じゃないさ……。ただ、アレが神獣種を倒したとしても、負けたとしても、どちらにしても俺にとっては面白くない」

「どうしてかしら?」

「神獣種に単独で勝てるのならば、それはもう手が届かない存在になっちまう……。もし負けて殺されちまったら、もう戦えない……。面白くないな」


 手の届かない存在ね……。

 意外ね……。

 タロウはそう簡単に諦めるとは思えないんだけど、どうしてそんな事を言ったのかしら……。


「それは本音ですか?」

「何がだ?」

「貴方に何があったのかは知りませんが、下衆だった性格が少しだけ変わったのは事実です。でも、そんなに簡単に諦められるのならば、ここまで恨んでいないでしょう。貴方はしつこい性格のはずです」

「ふん……」


 カチュアちゃんも同じ事を考えたみたいね。

 私も当然同じ気持ちよ。


「タロウ。本音は?」

「あん? 別に手が届かなくなれば、そこまで駆け上がればいいだけだ。ただ、時間がかかるのが面倒だと思っただけだ」


 これも嘘だと思うけど……、今は良いでしょう。

 この授業が終わったら、タロウとは一度ちゃんと話をする必要がありそうね……。

 

 さて、いつの間にかレティシアちゃんとベルヴァの戦いが始まっているわね。

 あれ? 

 レティシアちゃんはベルヴァの攻撃を避けてばかりいるわ。反撃ができないのかしら……。

 でも、余裕そうに避けているように見えるんだけど……。なにを企んでいるのかしら……?


 ん?

 カチュアちゃんが剣を仕舞ってしまったわね。エレンちゃんも安心した顔をしているし……。


「二人共、心配していないの?」

「はい?」「え?」


 二人に声をかけると、意外そうな顔をされたわ。どうしてかしら?


「レティシア様が苦戦している様に見えますか?」

「うん。レティはもう勝てるという確信があるから、どうやって倒そうかと考えている最中だね……」


 勝てると確信?

 な、何を言っているの?

 確かにレティシアちゃんなら神獣種、ベルヴァを倒すと思っていたわ。でも、最低限苦戦すると思っているのよ?

 それを……。


「レティシア様が反撃を始めますね」

「うん。魔力を使い始めたね」


 魔力を!?

 い、今まで身体能力だけで避けていたの!?


 レティシアちゃんはベルヴァの拳を殴り返したわ。

 いくら何でも、身体の大きさからいって力負けするはずよ。


「がぁ!?」

 

 ベルヴァが小さく悲鳴を上げる。力負けしたって事!?

 ベルヴァは危機を感じたのか、後ろに下がろうとするけど、レティシアちゃんが足を掴んでいるから逃げられないみたい……。な、何をするの?


「えい!」

「えい!」

「えい!」


 あ……。ベルヴァを地面に叩きつけ始めたわ。それも一度じゃなく何度も……。


「あはははは」


 わ、笑っている……。

 ……。


 ベルヴァは、レティシアちゃんに散々痛めつけられて、最後は焼き尽くされた……。


 ……。

 神獣種を一方的に殺したわね……。


 はぁ……。

 グランドマスターもアレの相手をするとか、本物の馬鹿ね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ