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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
4章 レティシアの学校生活

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25話 獅子王


「それで……。急にレティシアちゃんが一緒に来て欲しいって言ってきたと思ったら……。あんたがいたのね」

「久しぶりね。バケモノ(・・・・)

「本当にね。オカマ」


 イラージュ先生とラロは出会うなり睨み合っています。どうやら仲が悪いようです。

 私からすれば、両方とも危険だと思うのですが……。


 イラージュ先生は、怪我人の状況を見てため息を吐きます。


「それよりもこの状況は何? なぜ、全員怪我をしているの?」

「上級魔物と戦った結果よ。でも、部位欠損はしていないから、あんたでも治せるでしょう?」


 確かに生徒達は怪我をしていますが、部位欠損や、死にかけているわけではありません。

 まぁ、部位欠損をしていたとしても、イラージュ先生はゴスペルヒールが使えるようになっているので、問題はありませんが……。どうやら、その事をイラージュ先生は話したくないのでしょうか、ラロの言葉を肯定します。


「……そうね。とりあえず怪我している生徒を並ばせてくれない。怪我の酷い者から治していくわ」


 部位欠損をしていないとはいえ、骨折や放っておけば失血死しかねない者もいるのも事実です。


 イラージュ先生が生徒を治療している間に、タロウがカチュアさんとエレンを呼びます。


「なんですか? 馴れ馴れしく呼ばないでください。殺しますよ」


 カチュアさんはタロウを睨んでいます。しかし、タロウは気にした様子はありません。


「お前とエレンの二人で魔物と戦ってもらう。とはいえ、エレンは後衛だから、実質、お前一人で戦う事になる。準備をしておけ」

「何を偉そうに……。私は貴方がやってきた事を許したわけではない……」

「別に許さなくても構わないさ。ただし、今日はラロお姉さまの授業だからな。従ってもらう」

「くっ……」


 カチュアさんはタロウを睨みつけています。エレンもあまりいい顔をしていないみたいですね……。

 お二人の気持ちもわからなくはありません。タロウが今は更生していようと、マリテさんやファビエの女性に酷い事をした事実は変わりません。


「文句は後で聞いてやる。だから、さっさと準備してくれないか?」

「……分かりました」


 カチュアさんは自分の剣を取り出します。

 おや?

 カチュアさんの剣がまた進化していますね。

 前はカチュアさんよりも大きかったですけど、今はカチュアさんよりも少し小さくなっています。しかし、剣の輝きは今まで以上ですね。


「ん? その剣……聖剣とは違うな……。どちらかというと神剣の類か?」

「レティシア様が作ってくれたのです」

「そうか……」


 タロウが今のを聞いて何かを考えている様です。

 何を考えているのかはどうでもいいですが、この情報もグランドマスターに洩れるのでしょうか?

 まぁ……別にいいですけど。


「まぁ、いい。お前が戦う魔物は、さっきの連中が戦った上級魔物とは違う……。王種と呼ばれる魔物だ」

「王種?」

「あぁ。魔物の中でも上位に属する魔物だ。当然レティシアが戦う魔物はそれよりも更に強力な魔物になる」


 更に強力……。魔王とでも戦わせるつもりですか?

 まぁ、倒す自信はありますけど、そんな魔物を簡単に捕らえてくるタロウ達もかなり強いという事になりますね。


「分かりました。さっさとその魔物を出してください。エレン様は下がっておいてくださいね」

「うん……」


 タロウは先程と同じように檻を踏みつぶします。

 しかし、タロウは先程までと違い、すぐにその場から離れました。

 潰された檻からは、燃えるような真っ赤なタテガミを持ったカチュアさんの三倍くらいの大きさの獣人が現れました。


「その魔物は王種の獅子王だ。お前に倒せるかな?」


 ふむ。

 初めて見る魔物ですが、かなり強そうですね。

 ですが、カチュアさんの力を考えれば何も問題はないでしょう。


「がぁあああああああ!!」


 獅子王は、咆哮を上げながら一番近くにいたカチュアさんに襲い掛かります。

 獅子王の動きはかなり速く、リベルタ先生イラージュ先生や生徒達が獅子王を見て悲鳴を上げています。しかし、カチュアさんは一切焦っていません。


「……【堅固・勇気・不死鳥】」


 カチュアさんの剣が青い炎に包まれます。そして、襲いかかる獅子王を一気に両断してしまいます。


「がっ!?」


 獅子王は、真っ二つにされながらも、カチュアさんを殴ろうとしてきます。しかし、カチュアさんがそんな遅い攻撃を喰らうはずがありません。カチュアさんの剣は獅子王の腕をも斬り飛ばし燃やし尽くしてしました。

 獅子王はそのまま燃え尽きてしまい、炎が消えるとそこには小さな子猫が座っていました。


「にゃーん」


 はて?

 なぜ子猫がいるのでしょうか?

 

 子猫は、カチュアさんの足元にすり寄っていきます。


「……。レティシア様どうしましょう?」

「はい?」

「獅子王が転生して子猫になってしまいました」


 そういえば、カチュアさんの美徳には転生の力もありましたね。

 まぁ、転生したものは仕方ありません。


「うちにはもうペットが二匹……いえ、三匹いますから問題ないでしょう。一匹増えるだけです」

「はい。がんばって育てます」


 カチュアさんはそう言って、子猫を抱きかかえました。この子の名前をシシオーと名付けました。

 このシシオーが、あんな進化をするなんてこの時は思っていませんでした……。


≪ラロ視点≫

 

 私は目の前で起こった事を整理できずにいた。


 グランドマスターから、ジゼルが作り出した大罪の一人を倒したとは聞いていたけど、ジゼルが作り出した大罪は未完成だったとも聞いていたから、そこまでの強さじゃないと思っていたのだけど……。

 王種、獅子王はこの世界では上位に位置する魔物よ……。こいつを倒せるという事は、この世界でも最強に属するという事になる……。


 私は【神眼】でカチュアのステータスを確認する。

 ……。

 ……。

 そういう事ね……。


 グランドマスターは勘違いしているのね。

 でも、それは仕方ないかもしれないわ。グランドマスターはギルドカードの情報しか知らないはず。

 この情報は、それぞれの力で改変されているわ……。


 だからこそ、グランドマスターもアブゾルも勘違いして、【神の巫女】であるエレンとカチュアを欲しがっているのね……。


 この事実を知ったグランドマスターがどういう反応をするのか楽しみね……。 

ペットが一匹増えました。

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