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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
4章 レティシアの学校生活

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17話 考察


 イラージュ先生は信頼できる人物です。

 まず、私が一番聞きたいのはSランクについてです。

 このSランクというのは謎が多すぎます。


「そもそもSランクとは本当は何なのですか?」

「それは私にもわからないわ」


 イラージュ先生でも分からないのですか……。以前にアセールが、Sランクの役割はグランドマスターが決めると言っていましたね。なぜグランドマスターにその権限があるのかは知りませんが、私もSランクなのにグランドマスターは私には接触してきません。これはどういう事でしょうか……。

 それに忘れがちですが、ジゼルのSランクだったと聞きました。それなのに役割を与えられてなかった……?


「イラージュ先生もSランクだそうですが、グランドマスターから何かの役割を与えられているんですか?」

「え? なんの事? 私は治療師としてこの学校に雇われているだけで、役割なんて与えられてないわよ」

「役割を与えられていない? おかしいですねぇ……。アセールは「Sランクになったらグランドマスターから役目を与えられる」と言っていました。貴女にも役割があるんじゃないんですか?」

「役割ねぇ……。レティシアちゃん。あまりアセールを信じない方がいいわよ」


 私も同じ気持ちなので無言でうなずきますが、彼からは悪意というモノは感じませんでした。

 確かに彼からはジゼルに作られた七つの大罪と同じ臭いはしましたが、危険を感じたという訳ではありません。


「アセールを含む、それぞれのギルドのSランクはさっきレティシアちゃんが言った通り作られていると考えた方がいいわ」

「作られた……ですか」

「作られたという事は、グランドマスターが神様って言う事? 神様以外に人間は作れないと思うんだけど……」


 エレンが言う事も分かりますが、そもそも神に人間を作る事は可能なのでしょうか?

 仮にグランドマスターが神アブゾルだとして、なぜSランク等というモノを作るのでしょうか……。

 もし、人間そのものを作り出せるのならばランクを作るよりも都合のいい人間を作り出せばいいと思うのですが……。


 いえ、一番の疑問点は目の前のイラージュ先生です。

 イラージュ先生はギルド側の人間でありながら、グランドマスターに不信感を持っています。もしグランドマスターが都合よく人間を作り変えたり、精神操作を使えるのなら、イラージュ先生も改造してしまえばいいのです。


「確かにね。でも、私はアブゾルに人間が作り出せると思えないわ。レティシアちゃん達はこの世界の成り立ちについて調べたり勉強した事はある?」

「ありません」「ありません」

「私は家にいる時に家庭教師から教わりました」


 私とカチュアさんは教わっていないと言い、エレンは少しだけ教わったと答えます。

 Sランクと世界の成り立ちに何の関係があるのでしょうか……。


「エレンちゃん。三人の中で唯一勉強した貴女に聞くけど、神がこの世界を作り人間を作った伝承があるという記述はあった? 少なくとも私は世界の成り立ちを研究していたけど、そういう記述があった記憶がないわ」

「私もない……。でも、神というくらいだからそれくらいは……」

「レティシアちゃんはどう思うの?」


 ふむ。

 ここで私に振りますか……。


「確かに悩ましい所ですよね。でも、魔神と化したジゼルは七つの大罪を作り出していましたよ」


 サタナスはタロウをベースとして作られていましたが、その他は作り出したのでしょう。

 しかし、カチュアさんが作り出したという事に疑問を持ちます。


「確かにジゼルが作り出した大罪は、それぞれの因縁を持つモノが作り変えられていましたね……。しかし、どうやって作っていたのでしょうね」


 ふむ……。

 こんな事ならジゼルを生かしておいても良かったかもしれません。


「結論を出すのが難しいですね。そう言えばイラージュさんはどうやってSランクになったのですか?」

「私は自然によ。私はこう見えても百歳近いのよ。治療師を極めようと結構無茶をしてね、気付いたら不老になっていたわ……。それでギルドカードを見たらSランクになっていたわ」

「私と同じようなモノですか……。そう言えば、エレンもSランクなんですよね?」

「うん」


 エレンの冒険者カードにはランクSと書かれています。そしてカチュアさんの冒険者カードにもランクSと書かれていました。


「カチュアさんもSランクだったんですね。そういえば、カチュアさんはクラスが【神騎士】になっていましたよね」

「はい。不本意ですが……」


 そうなるとますますSランクの意味が分からなくなります。


「考え方を変えたらいいんじゃないかしら……」

「考え方を?」

「えぇ。もともと人間の限界を超えた者……。もしくはある一定の技術を超えた者がSランクになると考えて……いえ、それ以外にも何らかの資格が必要になると考えて……。私達には幸か不幸かその資格があったと……」

「ふむ……。しかし、そう考えるとなぜグランドマスターに使命を与える権限があるのかが、分からなくなってしまいます」

「そうね……」


 Sランクが自然発症するモノならば、グランドマスターがアブゾルでもない限り……。


「やはりそうなのでしょうか……」

「なにが?」

「グランドマスターの正体がアブゾルだという事です」

「恐らくそうでしょうね……。だからこそ、人工的にSランクを作る事ができるのだと思うわ……」

「え?」


 人工的にSランクを?

 その発想はありませんでした。


「そういう事ですか。ようやく納得しました」

「なにが?」

「つまりは、グランドマスターが役割を与えているSランクはグランドマスターが作り出したSランクなんですよ。アセールやシュラークさんがそうです」


 私がそう話すとイラージュ先生が驚愕の顔になります。エレン達も驚いている様です。


「グランドマスターが人間を作り出したと思っていましたが、ある一定の条件を満たした者を何らかの能力で強制的に不老にしてSランクを作り出したと思われます」


 アセールは条件を不老のみだと言っていました。しかも不老になるにはある一定の技術を極める事だと……。

 もしそれが条件ならリーン・レイのみなさんも不老になっていてもおかしくないはずです。特にそう思うのは、グローリアさんです。

 あの人は、私から見ても人間の能力をはるかに大きく超えているように思えます。でも不老ではありません。

 という事は、別の条件もあるという事です。


 そこで私達を考えてみます。

 私やエレン達は突然Sランクになっています。何の前兆も無くです。

 どちらにしても一度確認を取る必要がありますね。


「分かりました……。この話は今日の夜に続きを話しましょう。私達だけではダメかもしれません」

「どういう事?」

「その件は別の人の能力が必要になります」


 私は連絡用の魔宝玉を取り出し、リディアさんにある事を頼んでおきます。

 これで準備オッケーです。


「さて、当初の目的であるセデルさんを生き返らせましょう。全ての話はそれからです……」

うーん。

平凡な学校生活を書こうと思ったのにどんどんと違う方向に話が進みだしたぞぉ……。あぁ、怖い怖い……。

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