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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
4章 レティシアの学校生活

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8話 野外学習 依頼


 建築ギルドの授業を受けた翌日、私達のクラスは学校の大門前に集まっていました。

 今日は野外学習だそうで、冒険者ギルドに行って授業をするそうです。

 冒険者志望の人達は冒険者ギルドの授業を楽しみにしていたのか、嬉しそうにしています。弱いレギールも同じみたいでソワソワしています。

 そういえば、冒険者ギルドの先生はどんな人なのでしょう?

 暫く待つと、ガタイの大きな冒険者っぽい人と、良く知る人物が歩いてきます。


「あれ? 脳筋戦士さんじゃないですか」

「ん? んんぅっ!? レティシアじゃないか。それにエレンとカチュアまで。こんな所で何をしているんだ? それにお前達の服……」


 今日は冒険者ギルドに行くので、制服を着ていない人もいますが、私達は制服姿です。


「私達はこの学校に通っているんです。脳筋戦士さんはお仕事ですか?」

「あぁ。今日は学校の生徒の引率と聞いてきたんだがな……。お前は学ぶどころか歴戦の猛者だろうが……なんで学校に通っているんだ?」

「グローリアさんに通えと言われたのですよ。今日は脳筋戦士さんも授業を受けるんですか?」

「いや。俺はあくまで引率だ。生徒が無茶をしないように監視役だな。ギルド学校の教師は俺の友人でな。今日は格安で引率を頼まれたんだ。簡単な仕事だから、仕事内容を考えれば破格の依頼料なんだがな」

「そうなのですか?」

「あぁ……。ほら、お前はここの生徒だろう? 冒険者ギルドの先生が話し始めるから黙って聞いていろ」


 脳筋戦士さんにそう言われたので前を見ます。

 脳筋戦士さんのお友達と呼んでいた人が話を始めました。


「俺は冒険者ギルドの教師リベルタだ。冒険者ギルドの授業は今日が初めてだ。初日の今日はお前達の実力を見る意味で一つ特別な依頼を受ける」


 特別な依頼ですか……。ギルド学校はどれほど強力な魔物を用意しているのでしょうね……。

 私がソワソワしていると、脳筋戦士さんが私の頭を軽く小突きます。


「なんですか?」

「お前が何を考えているのかは知らないが、お前が喜ぶような依頼じゃないぞ」

「はて? そうなのですか?」

「そりゃそうだろう。学校の生徒には、生産職志望の連中もいるんだぞ。言わば戦えない連中だ。そんな奴等を連れて危険な依頼を受けさせるわけがないだろう」


 ふむ。

 確かにその通りかもしれませんね。


「それで、結局はどんな依頼なんですか?」

「新米冒険者が必ず受けると言われているゴブリン退治だ。ただし、普通のゴブリン退治とは違い群れが確認されているゴブリン退治だ」


 脳筋戦士さんがそう言うと、レギールや他の冒険者はため息を吐きます。


「なんだよ、雑魚のゴブリンかよぉ……」


 ゴブリンという魔物は聞いた事は無いですが、あの弱すぎるレギールですら雑魚と言うくらいなのですから、本当に雑魚なのでしょう。戦った事はありませんが、そんなのが数万体いようとすぐに殺しきれます。


「レギール。お前はゴブリンを倒した事があるか?」

「当たり前だ!」


 リベルタ先生の問いにレギールは馬鹿にされたと思ったのか、少し怒っているようです。

 しかし、リベルタ先生が「そのゴブリンは群れていたか?」と聞くと、レギールは黙りこんでしまいました。


「いや……単独だ」

「正直な話、単独のゴブリンくらいなら、それなりの生産職の奴でも倒せるさ。この中で一番強い奴……レティシア、お前に聞くのは失礼かもしれないが、ゴブリンを倒した事があるか?」

「倒した事があるかは、わかりません。そもそも、ゴブリンがどんな生き物かすら知りませんから」


 私の返答にリベルタ先生だけではなく、脳筋戦士さんも驚いていました。


「な、何? お前はゴブリンを知らないのか?」

「魔物の名前などに興味がないだけです。どんな特徴か教えてください。もしかしたら倒した事があるかもしれません」


 私の言葉に冒険者志望の男達が笑います。

 はぁ……、殴り殺していいですかねぇ……。

 私がイラついていると、脳筋戦士さんがレギールに近付きます。


「おい。お前、ゴブリンの特徴を言ってみろ」

「え? お、俺が? まぁ、良いけどよぉ……。ゴブリンは緑色の肌で身長はレティシアくらいの大きさだ。ボロボロの服を着ている事が多く、鼻と耳が大きく髪の毛は茶色ってのが特徴だ」

「あぁ、正解だ」


 ふむ。

 倒したかどうかを聞かければほとんど覚えていませんが、今の話を聞く限り、似た(・・)特徴を持った魔物なら倒した気がします。

 あの魔物は肉は臭くて食用になりませんし、骨などももろくて何の役にも立ちませんでした。


「あぁ。あの弱いゴミですか。利用価値もないので、いつも焼き尽くしていました」

「なに!?」


 私がそう答えると、生徒の一人が駆け寄ってきます。彼女は何者でしょうか?


「焼き尽くすですって?」

「貴女は?」

「私は魔術ギルド志望のヘクセといいますわ。貴女はゴブリンを焼き尽くすほどの魔法を使えるのですか?」

「はい。とはいっても〈フレイム〉ですけど」

「な!? 初級魔法の〈フレイム〉で魔物を焼き尽くすほどの威力はあり得ません!?」

「そうですか? 込める魔力の量で威力は変わりますよ」


 そもそも、私は初級魔法しか使えません。まぁ、今は【創造】の力で作ろうと思えば作れますから、使えない事は無いと思いますが……。


「おいおい。学長から強いとは聞いていたが、魔物を焼き尽くすほどの魔法を使えるとはな……。おい、ロブスト。レティシアの周りの二人はどうなんだ?」


 リベルタ先生は脳筋戦士さんに私達の強さを聞いています。

 しかし、強いと聞いていたですか……。シュラークさんはカンダタさんからどこまで聞いたのでしょうか?

 

 リベルタ先生は脳筋戦士さんにしつこく質問をしていましたが、適当にあしらわれていました。


「そんな事よりも、さっさと依頼を受けに行くぞ」

「あ、あぁ……」


 リベルタ先生は少し納得のいかなそうなお顔をしながら、私達を冒険者ギルドへと案内してくれます。

 

 ギルドに到着するとリベルタ先生は私達に冒険者ギルドでの注意事項を話し始めました。


「じゃあ、今制服を着ていない奴等も、ちゃんと制服を着ろよ。それから、個別に依頼を頼まれても受けるんじゃないぞ。受けた瞬間、学校を退学だ」

「な、なんだと?」「退学って……少し厳しくないか?」


 たいがく?

 たいがくとは何でしょう?

 エレンに意味を聞いてみると、学校を辞めさせられるそうです。依頼を受けただけで退学とは……随分と厳しいですね。


「お前等も入学の時に聞いていると思うが、昔、生徒が勝手に依頼を受ける事があってな。その生徒は不相応の依頼を受け死んだ。それからずいぶん経って色々と依頼を受ける時に制約をかけるようになったが、今でもたまに学生だった冒険者が死ぬという事例がある」

「それはどうしてですか? 制服を作る事でそのような事例は無くなったのでしょう?」

「いや、学校が休みの時に勝手に仕事を受ける馬鹿がいるんだよ。ギルド学校で知識を得て、強くなったと調子に乗るんだろうな。レギール、お前みたいな奴がそうやって死ぬんだよ」

「え? い。いや、俺は死なねぇし」


 レギールはそう言っていますが、一番調子に乗りそうなのがレギールですから……。


「死にますね」

「ひぃいいいい!」


 はて?

 私は笑顔でそう忠告してあげただけなのに、レギールは青い顔で逃げてしまいました。

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