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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
4章 レティシアの学校生活

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5話 忠告


 シュラークさんに怒られて、疲れたので今日は家に帰る事にしました。

 しかし、シュラークさんには困ります。喧嘩を売って来た馬鹿な人の腕の骨を砕いたからといって、人を問題児扱いするなんて酷い話です。


 私達は家に入ると、ソファーに座り寛ぎます。


「今日はなぜか疲れました」

「うーん。今日は学長さんのところに連れていかれたから尚更かな。ほら。レティ、制服から着替えて」

「あ、はい」


 私は自室でいつもの服に着替えようとしましたが、カチュアさんに止められます。

 

「エレン様。今日は疲れたので早めにお風呂を沸かしますね。レティシア様もここで待っていてください」

「あ、うん。カチュアさん、お願いね」


 お風呂ですか? アレは苦手です。


「私はお風呂はどうでもいいです。もう寝ますね……」


 私が逃げようとすると、エレンに腕を掴まれてしまいます。


「は、離してください」

「レティ、一緒にお風呂に入るよ」

「え? 嫌です」

「だーめ。レティは本当にお風呂が嫌いなんだから。放っておいたら、身体を綺麗にする魔法を使って、お風呂に入ろうとしないでしょう!」

「え? 嫌です」

「二回言ってもダメ! カチュアさん。お風呂の準備をお願いね。私はレティを説得するから」

「分かりました」


 私は幼い頃から熱いお風呂が苦手です。できれば入りたくありません。体を綺麗にするのは〈体洗浄〉の魔法を使えばいいですし、たまに水浴びすればそれでいいです。


「熱いお湯は嫌いです。水浴びで充分です」

「だーめ」


 お風呂の用意ができてしまい、私はエレンとカチュアさんにお風呂に連れていかれてしまいます。

 

 そして、お風呂から上がった私は急激に眠くなりました……。

 お風呂に……入ると……眠って……しまいます……。




 全く。

 まさか、初日からシュラーク殿から苦情が来るとは思わなかった……。

 アイツ……生徒の一人の腕の骨を砕いたそうじゃないか……。

 何を考えているんだ……?

 そもそも、エレンとカチュアはどうしたんだ……。あの二人なら、レティシアを止められると信じていたんだがな。

 まぁ、起こってしまった事は仕方がない。事情を聴く必要があるな……。


 まだ、夜は遅くはない。

 シュラーク殿の愚痴を聞かされていたら、こんな時間になってしまったが、アイツ等の家に灯りもついているし起きているだろう。

 俺はアイツ等の家の扉をノックする。


「おい。レティシア、いるか?」

「はーい」


 ん?

 この声は……。


 出てきたのはエレンだった。


「あ、カンダタさん。今日の夜に来るって言っていましたね。どうしよう……」

「エレンがでてくるとは珍しいな。何かあったのか?」

「いえ、レティ……もう寝ちゃったんですよね」


 寝た?

 アイツには夜に行くと言ったはずなんだが……普通寝るか?


「授業などで疲れていたから、お風呂に入れたんですが、お風呂から上がったら寝てしまいました。レティはお風呂上りは確実に寝るのに忘れていましたよ……」


 風呂上がりに確実に寝るって……、アイツは子供か……。いや、確かに見た目は子供だが……。


「まぁ、いい。お前とカチュアだけでも聞いておいてくれ」

「はい。どうぞ」


 俺はエレンに案内されリビングに通される。対面にはエレンとカチュア、少し離れたソファーでレティシアが眠っていた。

 ただ寝てるだけだと可愛らしい子供にしか見えない。


 いかんいかん。

 見た目に騙されるわけにはいかんな。


「そこで幸せそうに寝ているレティシアが、早速問題を起こしたそうだな。学長が愚痴ってきたぞ……」

「問題ではありません。アレは相手が悪いのです。レティ様は私を守ってくれただけです」


 カチュアが事の経緯を話してくれた。

 しかし……、ギルド学校か……。

 噂通りと言えば噂通りだな。


「なるほどなぁ……。確かにレティシアはなりが小さいからなぁ……。それに比べギルド学校は年齢制限のない学校だ。子供はあまりギルド学校に行かないからなぁ……。馬鹿にしたがるアホも多いんだろうよ」

「はは……」


 俺とエレンは眠るレティシアを見てため息を吐く。


「レティシアの見た目がああである以上、これからも同じような問題が起こるかもしれんな。その事については学長に相談しておく。それよりもエレン、カチュア、お前ら二人に言っておく事がある。お前等の特殊能力を学校ではあまり使うな。お前等の特殊能力は強力過ぎる。特にレティシアの能力は異常だ……。もちろん、エレンの聖女の力、カチュアの美徳の力も強力だからな」

「確かにエレン様の聖女の力は隠した方が良いでしょう。色々と問題が起こりそうです。ですが、私達がAランクというのはバレていますよ」

「なに?」

「私がバラしましたし」

「おまっ!? 何してんだよ」


 おいおい。

 冒険者ランクAランクの奴はギルド学校普通は通っていないんだぞ。Aランクというだけで注目の的じゃないか。

 しかし、カチュアが自分からランクを言いふらすとは思えないな……。


「何があった?」

「いえ、たかがCランクでいい気になっていたアホ勇者候補がいたので、黙らせるために話しました」

「勇者候補?」


 ギルド学校に勇者候補なんていたか?

 うーむ。

 勇者といえば教会だが、そんな奴がいたならば冒険者ギルドに報告があるはずだ。それなのに報告は受けていない。

 もしかして名のある冒険者が調子に乗っているのか?


「そいつの名前は?」 

「はい。レギールという名です」

「は? レギール? 聞いた事もねぇな……」


 Cランクになって初めて一人前の冒険者となれる。逆に言ってしまえば一番数の多いランクでもある。冒険者の殆どがCランクとDランクで占めている。

 どちらにしても勇者候補を名乗っている以上、教会関係者の可能性が高いな……。


「わかった。そいつの事は調べておく」

「え? 雑魚ですよ?」

「勇者候補を名乗っている以上、教会と関係あるかもしれん。安心しろ、ギルドの上には報告はしない」

「え? 何の話ですか?」

「……いや、何でもない」


 おっと。

 こいつ等にはグランドマスターの事を話していなかった。知らないのであればそれでいい……。

 しかし、ギルドだけでも厄介になりかねないのに、教会までかかわってくるとしたら鬱陶しいな……。一度陛下と相談した方がいいかもしれないな……。


「俺が言いたい事は特殊能力を使うなって事だ。特にレティシアには強く言っておいてくれ」

「わかりました」

「じゃあ、俺は帰る」

「セルカに帰るの? セルカならここから転移魔法陣に乗った方が……」

「いや、あと一週間はエラールセのギルド宿舎に泊まっている。何かあったらギルドに来いよ」

「分かりました」


 レティシア達の家を後にした俺は、その足で、あの三人の事を相談するために学長の家に向かった。

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