PCは不滅だ! 無くならんよ!
「AndroidのUIは操作が大変だと思うんですよ!」
突然未来がそんなアジテーションを始めた。
「なんだ突然? 別にiOSとそんな変わんないだろ」
「ユーザーとしてじゃなく開発者に優しくないって話です!」
「そうかなあ……」
Androidアプリは作ってみたことがあるがJavaは楽だなあと言う感想しかなかった。
「Oracleという邪悪な企業がJavaを乗っ取ったときに言語を変えておくべきだったと思うんですよ。appleとかObjective-Cを重い切って捨てたじゃないですか」
Objective-Cはホント勘弁して欲しい。
「でも今までの開発者を捨てるわけにも……」
「だってアレはJavaじゃなく『Javaのような何か』ですよ」
「そんな人にはCordovaがあるじゃん。Unityとかもゲームならいけるし……」
Webviewを使ったアプリならWebの知識だけでアプリが作れる。
ゲームエンジンのUnityならプログラミングは簡単だ。
「C#とかいうSmalltalkの早さと、Cの安全性を併せ持った言語は好きじゃないです」
「わがままだなあ……」
C#がJavaの後出しなのはさておき、それなりにいいと思うのだが。
「っていうか、Androidのどこがそんなに気にくわないんだ?」
「自由度がないんですよアレ。UIはメインスレッドで扱うのにネットワークをメインスレッドで回したら落ちたりするんですよ!」
「お行儀のいいコードを書けばいいんじゃないか?」
「そんな正論で返さないで!」
正論なのは認めるのか……
「俺はスマホアプリは専門外だからよくわかんないんだよ」
「お兄ちゃん、今はスマホの時代ですよ。みんなPCを持ってないどころか自宅に固定回線もないのが当たり前の時代なんですよ、おとなしく勉強しましょう」
最近の若いもんは固定回線契約してないってマジなんですか!?
たしかにみんなスマホでネット見てるよなあ……時代の流れ、か。
「スマホアプリはPCアプリと違ってカオス感がないんだよなあ。Googleやappleが審査してるからなあ……」
「時代の違いを理解せよ、ですよ。さあお兄ちゃんもJava書きましょう!」
「悪いけど今は作ってるのがあるからそっちが一段落したらな」
「しょうがないですねえ……待ってますよ」
——
自室に入りMacBookをスリープから復帰させる、Pycharmを開いてコードを眺める。
「みんなスマホ、か。使ってくれる人いないのかなあ?」
そんな疑問をこのスクリプトにパッチを投げてくれるMiraiさんに聞いてみる。
「何が流行っても結局はソースをPCで書くんだから需要はなくならないと思いますよ」
すぐにそんな返答が返ってきた。
そうだな、少なくとも今は開発をPCでやらなきゃならないんだから需要はなくなんないな……よし、もうちょっとこれを保守するか!
俺はスマホを置き安心してPCに向き直るのだった。




