参考書籍って高いよね
日曜日、俺は未来と駅前の書店に来ていた。
アニマルブックを買うと大見得を切ったからだ。
「うーん、高い……」
「高いですね……」
目の前にはマゼンタや黄緑の背表紙が並んでいる。
試しに比較的薄いやつを抜き出して裏を見ると……
「2800円! この薄さで!」
「こっちなんて五桁ですよ」
そう言いながら未来は大判の分厚い本を取り出している。
予想以上に高いようだ、高校生の小遣いで買うには少々というか大分きつい。
「大体どの本もネットワークは多かれ少なかれ書いてるな、昔はまったく書いてないのが普通だったのに」
「時代の流れってやつですよ。あとスマホ関係の本、ここ以外もたくさんでてますねえ」
そこかしこにスマホプログラミングの本がある。
IPhoneなんてMacが無いと開発できないのにやたらおいてある、windowsとMacOSの世間でのシェアはどうなっているのだろう。
「それにしても……これはどうかと思うんですよね……」
未来がJavaの棚を見ながらそうつぶやく、俺もその棚を見てみると……
「ああ、これはしょうがないだろう」
その棚にはJavaとJavaScriptが混ぜておいてある。知らない人からすれば似たようなものなんだろうか?
「で、お目当ての本は見つかったか?」
「うーん、ネットワーク専門の本はここにはないみたいですね。C言語とLinuxの組み合わせでサーバを立てるようなのもありますけど……」
「これなんてどうだ? Node.jsとJavaScriptでネットワークアプリを作るってやつ」
「Pythonじゃないですけどいいんですか? お兄ちゃんJSあんまり好きじゃなさそうだし……」
「いや、別に嫌いって訳じゃないぞ、デバッグが面倒なだけで」
JSのデバッグは困難を極める、なにせいい加減に書いても動いてしまう。
どこかで突然バグが出るからどこがおかしいのかも分からないのが困る。
「ありがとうお兄ちゃん! じゃあこれにするね!」
おっ、Pythonの本、日本語版でたんだな、ついでに買っとくか。
俺も一冊分厚い本を手に取りレジに向かう。
未来の分と一緒に会計を済ませて店を出る。
「お兄ちゃん、私がアプリ作ったら初めての利用者になってくださいね」
「ようはベータテストだろ、いいぞ」
「もう……お兄ちゃんは分かってないですね」
ちょっと不機嫌になりながらも、笑顔で家路につく。
電車に揺られながら、そういえばここ何日か作りかけのエディタほっぽりだしてるな、などと考えていた。




