第2話 ショタからの神!
「まぁ今は楽しんでるよ?」
ふと思った。
この少年がこの現状を作り出したのだと。
そしてそんな不思議な質問をする少年をじっと見る、
「では次は何かするの?この世界に退屈しない?」
雅は笑いながら答えた。
「ははっ。確かに暇になるかもね。
次は何しようかな。」
目の前の彼は目を見開いていた。
そして嬉しくて仕方がないようだ。
飛んで跳ねて俺に近寄った。
そして更に興味が沸くことを言った。
「君!もし暇なら趣味でもつくらない?
すごく面白いことがあるんだ!」
そう、趣味だ。
趣味を新しく作る。
まさに今の俺にとってほしいものだった。
彼は俺からすこし離れて話を続けた。
「実はこの世界と違う世界に僕はいたんだ。
そこで僕は《魔王》としてそこにいた。
でも死んでしまったんだ。
僕には、どうすることも出来なかった。
ただ・・・皆が楽しくあって欲しかったんだ。
・・・ただ、それだけだった。」
彼、魔王は悲しい表情になり俯いた。
「だから・・・悔しいんだ・・・なにかもっと出来なかったのかってずっと思っていた。
楽しくなるために色々と模索と提案と実行、なかなかうまくは
いかなかったんだ。」
確かに難しい問題だ。
彼の目標が《みんなで》楽しく、なのだ。
これは《夢》なのだと思った。
「それなら俺がやる趣味とはかなり違うと思うけど?」
「うん、確かに違うと思う。
でも、見てみたいんだ!君が作る趣味で
どう変わるのか!」
彼は笑顔で続けた。
「君に会った時はっきり確信したよ!君のその《趣味》を僕のいた世界にばらまいてくれないかな?僕の能力をつかって!」
「んー・・・」
俺は少し悩んだ。
ホントに楽しいのか?
あっちの世界でやってけるか?
あの子何歳かな?
「どんな事ができるの?」
「そうだねぇ・・・例えば見たことのない躍りや音楽、娯楽や
仕事、色々な知識を披露するとか!」
「それってこっちでもできるよ?」
「でもそれって普通の人なら出来るんでしょ?
君みたいに非常識な能力を周りは理解できないことって
あるんじゃない?
それに魔法もあるから更におもしろいよ!」
俺は驚いた。
何故自分が困っていることをさらりと当てたのだ。
そして興味も引かれた。
全く知らない世界で0から始められると言うこと。
そして何より剣やら魔法まである。
やることが沢山あるのだ。
だか、俺はそこまで楽観視していない。
いい話には裏があるからだ。
「でも、俺って見た目どーりなんかスゲー力とかないよ?
それにそっちの世界は結構危険がいっぱいだったりすんじゃないの?」
雅の質問は当たり前だ。
魔王が存在する世界に平和だけなどは無いと、誰が聞いても
そう思うだろう。
「うん。確かに魔物や魔法や剣とかあるから確かに
危ないとこではあるかな。」
「へぇ~。」
「たま~に戦争とかあるけど多分まだまだ先の話だよ。」
まさに危険が危ないのだ。
彼はすこし申し訳なさそうに話を続けた。
「僕の能力・・・スキルって向こうの世界では
言うんだけど、このスキルがあれば必ずうまくいくとは保証できないんだ。はっきり言ってこの能力は人を選ぶものなんだ。実際問題、僕はこのスキルを使いこなせてなかったと思うよ
・・・でも!君なら得意分野でもありそうだからね!。」
いや、自信なくすようなこと言っといて
君ならやれるってのは正直怪しい。
何てことを考えていると
彼は右手の人差し指先で上から下に軽く振ると
黒いA4位の半透明のウィンドウが現れた。
するとそこには白文字でまるでゲームのステータス画面のようなものが書かれていた。
種族: 死霊
名前: ノア・グラム
性別: 男
年齢: 192
レベル: 102
体力: 1800
攻撃力: 9400
魔力: 19000
防御力: 6000
俊敏力: 8500
幸運: 25
スキル: トランス・夢幻
称号: 魔王・ショタ
「おー!すげー!ゲームそのものじゃん!」
怪しいことを忘れるほどに感激した。
「ゲーム?ってなにかな?・・・まぁいいや
今出したのかステータス。これが自分の強さや
スキルが確認できるんだ。そしてスキルの
使い方なんだけど・・・」
彼は異世界の常識、ステータスの意味、スキルの
使い方を雅に教えた。
それはまさにゲームなのだ。
レベルがあり、数値が強ければ基本勝つ。
だか当然操るのは本人なのだ。
レベルが高くても動かし方を知らなければ
意味がないのだ。
そのまた逆もしかり。
俺は全て聞き終わるとニヤッと笑った。
行くことを決めたのだ。
「じゃあ説明は終わり。そろそろ時間だから
今からあっちの世界に繋ぐね。」
彼はそういうと右手の人差し指を縦に振ると
空間に亀裂がはしり、1人通れるくらいの
白い穴があいた。
「ここからは君だけでいくんだ。僕はこれで
サヨナラだ。」
「・・・わかった。」
「あっ、後、最後になんだけど僕のお願いは
気が向いたらでも構わないから。」
「そんなに重要じゃなかったの?」
普通に考えてそれならもはや俺じゃなくても
誰でもいいじゃんと思う俺。
「あははっ、なにいってんのさ。君だから
気の向くままにやってほしいと思ったんだ。
そっちの方が僕的には面白そうだもん!」
雅は彼とまた笑った。
仲間以外に楽しく話せたことが新鮮だったのだ。
「・・・っとそろそろ時間だから、割れ目に
入ってね。」
雅は割れ目へと向かう。そしてお互いに手を
振った。
「ノア、またね。」
「うん、またね!ミヤビ!」
すると、白い光が包み込みそのまま
白い空間に変わった。
これから異世界の旅が始まるのだ。
「ようこそ!妾はステムと言う!神じゃ!」
「・・・。」
「・・・む?聞こえぬのか!?妾が話し
かけてるのに!?」
「・・・。」
「ふっふっふっ!妾に惚れたな?まぁわかる、
妾はかわいいからの!そうであろう!?」
「・・・。」
「あっ!それとも運命に結ばれたものだと
おもっとるのか!?」
「・・・。」
「・・・そろそろ泣くぞ!?」
目の前にふんぞり返った幼女が涙目でこちらを
見ていた。
どうやら異世界じゃないみたいだ。
倒したら経験値もらえないかな?
感想どしどしまってます!