第11話 ハゲズラからのジジイ
あー、納得はいかんはな。まぁ分かってるんだけど、
「いやぁ、ちょっと話聞いてくれる?実はさ・・・」
っとここまであった事をざっくり所々濁しながら話す。この学園から出て、在るところに行かなければならなくて、急いで逃げてきたせいで、お金がなくて、途中の宿も無いことを伝えた。
そして、話終えると同時に同時にアルや他の生徒達が走って来た。少し離れたところで野次馬やってる。
「・・・ってなわけでお金ちょーだい。」
取り敢えず、こちらの要求を伝えた。
「そこは分かったが、何で俺らが解散しなくちゃなんねーんだよ!それにアーティファクトも諦めろってなんだ!」
ウウウウウウウウウウウウウウウウ!!
サイレンが鳴り響く。急がないと面倒だな。
「じゃあ聞くけど、僕がここから外に出たとして君たちはここを攻めるとしよう。もしくは、他の対策を考えるために一度帰還してドンとお話して今回の事を話すとしよう。では、ここで問題です。」
ハゲズラ達はすごく睨んでます。 いい加減、敵意見せるの止めてくんないかな?普通に現実受け入れようよ。
「一つ、僕がいないとしてもこの学園には最強と言われる《あの方》がいる。そして、それに連なる最強の《部隊》が存在する。あっ、因みに僕はこの学園の下っぱだよ?そんな化け物が居る所をを攻められるでしょうか?二つ、今から帰還したとして僕1人に全員死にかけて、挙げ句の果てには手ぶらでただいましたらドンはどんな対応するかな?・・・では、ヒントです。アーティファクトを盗れるほどの装備や人材で、動いたのに結果はこれ。さて、答えは何かな?」
「「「「「「・・・・・・」」」」」」
超早口で話した。あっ、《あの方》とか《部隊》とかぶっちゃけブラフですよ?そんな人知りませんよ?でも、自分達より強いヤツが目の前にいて、それよりも強いヤツがいれば・・・まぁ、普通に手は出さないでしょ。それに、これに懲りてしっかりと、ハゲズラでも頑張れるってとこ見せればいいと思うんだけどねぇ。
「・・・そ、それは・・・っ」
「あの・・・《白式》が!?」
「お・・・終わりだ・・・」
「あの、《断刀部隊》が・・・ははっこんなことするんじゃなかった・・・」
おー、やっぱり勝負に勝つと言葉を信じ込んでくれるね。心理操作は実に簡単だな。
にしても《白式》とか言ってるね。《断刀部隊》ってのは《白式》って人のの部隊かな?なんだ、やっぱ最強って言われる位の人が居るんだね。なら、虎の威を借りようかね。
え?その後なにか言われるんじゃないかって?
ふふっ、気にしたらいけないよ?
「でも、今なら色々と上手く、安全に、そして何よりやり直す為に、ここから君たちを出してあげられるかもしれないよ?」
「・・・なんだと?」
「俺達!たすかんのか!?」
「まぁ待ちなよ。でもさっきも言ったよね?勝負に負けたときの条件。」
「この騒ぎの終了と解散だな?」
「それとお金。」
ハゲズラは頷く。
「君たちは人生をやり直したいが為にここまでの行動に及んだ。でもやり直す方法を、間違っていた。今の自分の姿をを認めず、感情と固執と差別がこの状況を招いた。なら本当に何をやり直すべきだったか分かるかな?」
「・・・分からねぇ」
「それが今の君たちの限界だよ。無くなったものを探すことは出来ても壊れたものや、失ったものは、もう取り戻せない。それをまず自覚しないと。そして、髪があるからっていい男とは限らないよ?僕は、何か仕事や、やりがいのあることに対して頑張ってるほうが、かなりかっこいいと思うよ。そう思わない?」
「「「「「・・・・・・」」」」」
スゲー目が輝いてるハゲズラ。自分で気に食わないから指摘してやろうと、思ってやったけど・・・
こんな眼差し受けると全員経験値に変えてやろうかと思うぐらいに気持ち悪い!
「・・・俺らが間違ってた・・・」
「あぁ、そうだな。あいつの言うとおりだ。」
「なんでそんな事に気づけなかったんだ!俺は!」
・・・まぁ、反省したみたいだしいっか。
これで一段落だね。
「・・・玄関がうるさいと思うたら、お主ら何しとる?」
後ろから声がした。何か・・・後ろから車に突っ込まれる様な・・・何と言うか、危険な信号を感じた気がした。
全力で振り向くと、そこには白髪ロン毛で長い髭のローブ姿をしたじいさんがいた。その脇にはたんこぶ作って、泣き顔のルーノが抱えられていた。
・・・怒られてた?
あれ?てか、この人どこから来たの?
「はぁ・・・ルーノや、ワシは言うたよな?任せると・・・してこれはなんじゃ?ルーノの友達かなにかかの?」
もしかして、ルーノに、任せるっていったってことは、この人が校長?
「わ・・・私は悪くないもん!急にそこのミヤビがモンスターボックスから出てきてから、うちの生徒と決闘して逃げ出したから、私は思いっきり蹴りを入れようとしただけだもん!それに、そこのハゲズラは知らないもん!だから私は悪くな・・・!」
「ほぉ・・・その蹴りがワシの顔面にクリティカルだったのは、蹴った本人が悪いのではなく、あのミヤビとやらが悪いと言うのか?」
ルーノに対して凄く冷たい目線で見る。
「ひっ!」
「まったく・・・回復が使えなかったなら顔張らしながらの登場じゃったぞ?・・・して、玄関にいる・・・残念無念な奴らの対処も、自分は悪くないと言うのじゃな?」
残念無念と言われたハゲズラは色んな反応してた。怒ってるヤツ。ガーンってなってるヤツ。とても恐れている様なヤツ。
「そ・・・それはぁ・・・そのぉ」
「はぁ・・・帰ったらお仕置きじゃ!」
ルーノは一気に青ざめて震えていた。お仕置きってなにするの?
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!あれは嫌!絶対嫌!あんな人が居ないところに放置なんて嫌!」
「うるさいのう。お仕置きは絶対じゃから安心しとくのじゃ。ただのダンジョンじゃ。」
「なにも安心出来る感じしないよ!?身の危険とジジイのウザさしか感じないんだけど!?ジジイの人でなし!禿げ隠し!」
頭に指を指しながらルーノが逆ギレ。よく身内でも学校の最高責任者にキレれるね。俺なら怖くて出来ないね。
「な!なぜばれた・・・じゃなくて!最後神隠しみたいにワシの事を罵倒するでない!」
事実だったんかーい!禿げ隠しってもはや妖怪じゃん!てゆーか、ハゲズラの皆さんもさっきまで死ぬほど欲しかったアーティファクトを使ったヤツが、まさか《禿げ隠し》と言われるとは思わってなかったみたいでほっとしながら、全員、哀れみの視線を向けていた。さっきまで残念無念呼ばわりだったのにここにきて、おうむ返しとは、かなりあのじいさんダサいね。
「髪隠しじゃない!禿げ隠しだもん!」
「文字がもはや何を隠してるのか分からんじゃろが!」
じいさん顔真っ赤で怒ってる。
この流れを見るに普通なら気が緩むだろうけど緩めたらいけないと思った。
なんせ彼は・・・ずっと魔方陣を自分の下に展開したままなのだ。
気は抜けない。




