学校にて
町の中で魔法ぶっぱはご法度です。
※生活魔法はOK
僕の住む町にある学校はあくまで学校である。王都にある学園ではない。ここでは学問というよりかは商人に足元を見られないようにするための簡単な取引の練習や護身術、生活で使う程度の計算、そのほか動物や魔物の解体などを教えてくれる。
少し早く学校に着いた僕は、案の定先に居た教室の友人たちに昨日貰ったであろうギフトについて聞かれた。
「あんまり人に教える物じゃないって分かってるけど気になっちゃって」
「俺たちもギフト貰ったら教えるからさ」
「差し支えない範囲でいいから…」
と僕のことを囲むのはいつもの面子である
グレース、フォン、ジェイドだ。
「まあそんなに焦るなよ。ちゃんと喋っても問題ない範囲くらいで教えてやるさ」
成長XXXは値が高いだけでさして珍しいギフトではないので成長だけは教えてあげた。
「数値高すぎ」
最初に応えたのはグレースだ。灰色の髪をした女の子で誰とでもサバサバ話すのに意外としっかり考えてる子だ。ーここだけの話僕はちょっとグレースのことが気になってたりする。
「くぅ~!俺も早く10歳にならねえかな!」
とバカ正直に羨ましがってるのはフォン。こいつは濃紺の髪を刈り上げにした男の子だ。家がはす向かいというのもあり学校に来る前から仲がいい。性格は話し方からも分かるように素直でまっすぐなヤツだが若干思考が足りないときもあると感じる。でも凄く頼りになる良いヤツだと思ってる。
「数値って何で決まるんだろうね…」
ちょっと自信なさげに話すこの子がジェイド。名前の通り薄翠の髪をゆるく結った女の子だ。彼女は引っ込み思案でいつもおどおどしているが、実はかなり頭がいい。僕も計算の宿題で何度かお世話になっている。
その後も3人に囲まれるようにして質問を捌いているとふと頭の中に
並列思考を習得しました
と声が聞こえた。並列思考は実は意外と持ってる人が多いと座学で聞いた事がある。大層な名前をしているがよほどの高レベルでも無い限り、『上手にながら作業ができるようになる』程度の力しか発揮しないためだ。逆に言えば、ながら作業をしていれば自然と習得してしまうのである。
並列思考Lv1を覚えたことで3人にそれぞれ受け答えをしながら授業の開始までゆっくりすごすのだった。
お昼休み
食堂でご飯を買う者や自宅からお弁当を持ってくる者、近くで食べてくる者など様々いるが、僕たち4人はお弁当組だ。
「なあなあ、学校卒業したらやっぱり旅、出てみたいよな?」
「その話はいつもしてるでしょ」
「フォンはその間何かしたいことがあるのかな…?」
よく旅に出る計画については話すのだが、僕がギフトを授かったことでその話が急に現実味を帯びてきた。
「ジェイドも聞いてたけどなんかやっときたいことでもあるのか?」
フォンの歯切れが悪い一言に僕とジェイドは何かあるのかと疑問を返す。すると
「旅に出るまで少し鍛えとかねえか?」
「あら、フォンのくせにマトモな事言うじゃない」
確かに、ほぼ子どもの僕たちは遠足に行くのではないのだ。大人たちに守られながらどこか町の外に出るのではなく、自分たちで自分たちの身を守り周りのことをやらなくてはならないのだ。
「それもそうだよな。で、何か案とかあるのか?」
「いや、なんも考えてない!」
やはりフォンはバカだった。
「午後は時間あるし、いろいろできるんじゃないかな…」
とジェイド。
それから4人で話をまとめた結果、僕とフォンは体力づくりや武器の練習、グレースとジェイドは魔力を練る練習と応急処置の勉強をして、週末はお互いに覚えたことなどを教え合うことを決めたのだった。
ギフト
スキル習得制限Ⅰ
成長XXX
スキルスタック
スキル
剣術Lv1(+1) (110%)
瞑想Lv1(+9) (135%)
並列思考Lv1
次話あたりから主人公が強くなり始めます