ワクワクが先立って
12歳までは学校があります
次の朝
起床してみると両親は昨晩話し合っていたのだろう、僕にこう言った。
「ギフトは残念だったけど、人間はそれが全てじゃないからね。確かにみんなと一緒に外に旅に出るのは難しいかもしれない。でも、帰ってくる場所でみんなを待つのもいいのかも知れないよ?」
そう、僕は友達と冒険者になり、色んな国を見て回ろうと約束していたのだ。
しかしこのギフトでは一緒には旅に出られない。そう判断してのこの言葉だった。
僕はふと思う。
両親は僕が見つけたあの可能性についてまだ何も知らないこと。
まだ友達にはギフトについて何も知られていないこと。
これは僕にとってはとても好都合な事だ。
もちろん今すぐに旅に出ることは不可能だろう、だがまだ10歳の誕生日を迎えていない友達もいるのだ。旅に出る約束だって13歳になったらと言う物で、つまり僕にはまだまだ時間がある。
両親が僕に説得を試みるのを聞き流しながら僕はそんなことを考えていたのだが、父は何も言わない僕を見て今は納得してくれたのだと思い込んだようだった。
それから朝食を食べ、いつもの習慣になっている素振りを始めた。
「1、2、3、4…」
正中に構えた木刀を前に向かって振り下ろすだけのトレーニングだけど、おかげで体も丈夫になり同年代の友達よりも体力もついたと思う。そんなことを思いつつ60回目に差し掛かった時
剣術を習得しました
…あれ?今まで素振りで剣術を習得出来たことは一度も無かったはずだけど…
成長XXXの効果かもしれない。とにかく剣術が1つスタックされたのだ。スキルは習得できるとすぐに効果が体に反映される。体の動かし方や魔力の練り方をあらかじめ知っていたかのごとく突然振る舞えるようになるのだ。
前よりも木刀の重心がどこにあるのかを感じ取れるようになった僕は素振りの速度を上げることにした。
「…198、199、200」
いつもは30分ほどかかるのだが、途中から
剣術Lv1(+1)
になったからだろうか、今日は20分ちょっとで終わってしまった。
素振りを終えて戻ってくると
「あら、今日は早いのね?」
と母に言われたのでいつもよりもペースを上げたことだけを伝えた。
ギフトのことでがっかりすると思っていた息子がいつもと変わらない日々をすごしてくれることに胸をなで下ろしつつも、どこか違和感のあるその様子に
「何かいいことでもあった?」
などと聞いてくるので僕は
「ちょっとだけね」
と応えたが、内心は秘密がばれたのではと焦っていた。
そうして
「まだ早いけど行って来ます」と僕は足早に学校へ逃げるのだった。
ギフト
スキル習得制限Ⅰ
成長XXX
スキルスタック
スキル
瞑想Lv1(+9) (260%)
剣術Lv1(+1) (110%)
スキルスタックの説明
本来のスキルはLvが上昇すると最新の物だけが適用されるため
剣術Lv1が剣攻撃に105%の補正
剣術Lv2が110%の補正をかける物とすると
剣術Lv2が適用され110%補正の剣となる。
スキルスタックでは
Lv1を複数習得しそれぞれの効果を適用するので
剣術Lv1(+1)では
105%×105%≒110%
剣術Lv1(+2)では
105%×105%×105%≒116%
というように累乗されて効果が適用されていきます
また、数値として明文化されていない要素も複数適用されています(体が動かしやすくなる、の記載など)