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百物語  作者: 奏 いろは
3/9

二本目:ランニング夫婦

じゃあ時計回りだから、次はゆうじな。



ああ。

えーと、これは俺の体験談なんだが…


ある寒い冬の日のことだ。俺は自転車で塾から家に帰る途中で猫を轢いてしまった。 真っ暗な道をライトをつけずに運転していたから、何かがいるということさえわからなかった。野良だったらいいけど、と思いながら近寄って見ると、それは首輪をつけていた。俺は怖くなって、猫をそのままにして帰ってしまった。


それから二週間くらいあと、俺が塾から帰る時間帯にランニングをする夫婦を見かけるようになった。冬になるとランニングをする人は増えるから、別に何とも思わなかった。

でも2日か3日くらい経って、あれ、おかしいな、と違和感を感じるようになった。他のランニングをしている人 の横を通り過ぎる時は、息切れの音が聞こえるのに、その夫婦からは音が聞こえない。それどころか、呼吸をしているのかと不安になるほど胸が上下していないのだ。そんなことを思うようになってから、俺は通り過ぎる時、その夫婦をちらっと伺うなどをするようになった。


俺は夫婦を観察しているうちに、彼らの走るスピードがだんだん速くなっているのに気がついた。でも呼吸音はしない。

ある日、夫婦の側を横切ると、妻の方が俺をギロリと睨んできた。俺は何だこいつ、とぞっとして、それからその道を通らないようにしようと思った。


でも、道を変えたその日、俺の目の前にその夫婦が現れた。

その時は何でこいつらがここにいるんだ、とパニックになりかけた。何とかこらえて、スピードを上げて通り過ぎる。通り過ぎた瞬間、夫婦が俺の方を180度首を回転させて振り向いた。

んで、猛スピードで俺の方まで揃って走ってきた。


あ、なんかさっきの話とかぶってる?まあいいか。


もちろん俺は全速力でこいで逃げたわけよ。追いつかれないように無駄に道を行ったりきたり曲がったりして、奴らを撒いた。

そして、無事家に到着。

あんときは本当にホッとした。

いつも持ってる鍵で玄関の鍵をあけた。

そして「ただいま〜」と言いながらドアを開けると、




………奴らがいた…。



2人揃って俺んちの玄関に立っていた。2人とも無表情で俺を見ている。



「え…な、んで…?」


顔面蒼白の俺に奴らはニヤリと笑った。夫の方が手に何か首輪らしきものを持っている。


そいつらはゆっくりと俺に歩み寄り、



そして俺は……







あ、ちなみに、この話は俺のじゃなくて友達の体験談だった。










そういって蝋燭の火を消した。
















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