遊園地のカップル
この話は(一文除き)会話文のみです。あらかじめご了承ください。
「ああ、くそっ、彼女と遊園地に来たってのにはぐれちまった。仕方が無い、電話をしよう」
状況説明終わり。
「…あ、もしもーし、どこいんの~?」
「ここだ。」
「うをおぉ!?」
「どうした、いきなり大声をあげて?」
「いきなり後ろから声をかけるからだ!」
「まったく、私が後ろからこっそり近づいたというのに、全然気づかないんだな、君は」
「お前今こっそりって言ったな?」
「細かい事を気にする男はもてないぞ?」
「お前がいるから十分だ」
「もう…遊園地でそんなことを言わないで、恥ずかしい。まぁ私も君のそんなところが好きなわけだが」
「ありがとよ」
「まぁ、そんなことより出会えてよかった。迷子になったかと思うと泣きそうになったよ」
「そんなこと扱いしていいのか?ってかたまには女の子らしいんだな」
「いや、君が迷子になったかと思うと、君の知能レベルに泣きそうになってたんだ」
「やかましい!ってか俺が迷子なんじゃねぇ、お前が迷子だったんだ」
「何をいう。私は人ごみに流されて、とりあえずジュースを買って、広場に着いて、やっとのことで迷子になった君を見つけたんだぞ?」
「人ごみに流されたのは迷子って言うんだ。俺は微動だにしなかったから迷子じゃねぇ。ってかなぜ途中でジュースを買った?」
「のどが渇いたからに決まっているだろう」
「俺は走り回ってお前を探してたんだぞ、おかげで喉がカラカラだ。俺を見習え。そしてジュースを分けろ」
「君は女子に向かって間接キスを強要するのか?最低だな、見損なったよ」
「いや、恋人なんだからそこは許してくれよ!」
「そもそもなぜ走り回ったんだ?」
「お前が心配だからに決まってるだろう」
「もう…遊園地でそんなことを言わないで、恥ずかしい。まぁ私も君のそんなところが好きなわけだが」
「ありがとよ」
「まぁそんな瑣末事はどうでもいいとして、私ぐらい落ち着いて、いつもよりゆっくり歩けば喉が渇くことは無かっただろう」
「さっきより流し方がひどいな。ってかなぜいつもよりゆっくり歩いたんだ。そんなことよりジュースをくれ」
「まぁ自販機を見てダッシュしてしまい、そのせいで喉が渇いて全部飲んでしまったんだ。すまない」
「『俺<ジュース』と言いたいんだな、お前は?」
「まぁ捉え方によってはな」
「他にどんな捉え方があるんだよ!?」
「というか、君はなぜ電話をしなかったんだ?私からは何回もかけたというのに」
「ああ、それは単純に気づかなかったんだ。焦ってたからすっかり携帯があるのを忘れてた」
「まったく、普通そんなに焦るのかな?」
「すまない、お前が心配だったんだよ」
「もう…遊園地でそんなことを言わ」
「もういい、それ以上はくどいぞ」
「ふむ、それもそうだな」
「だからといってあっさり引き下がって欲しくはなかったな」
「男のわがままは見苦しいぞ」
「わがままなのかこれ…」
「まぁ、気にするな。さて、じゃあそろそろ…」
「おんやぁお嬢ちゃん、探し人はみつかったのかい!」
「え…あ、おじいちゃん」
「え?知り合い?」
「おお、あんたがこの子の連れの子かい。いやぁ見つかってよかった」
「さっきそこであったの…」
「へぇ、そうなんだ」
「いやぁしかし、さっきまであんな泣きそうな顔しっとたから、見つかってほんまよかった!」
「へ?泣きそうな?」
「ちょ、おじいちゃん!」
「いやね、孫がお化け屋敷から帰ってくるの待っとったら、このお嬢ちゃんが泣きそうな顔しとってね。事情を聞いたから、とりあえず電話してみぃって言うたんやけど繋がらんかってなぁ。いやぁ、ほんま、見つかってよかった」
「もう、おじいちゃんやめてください!」
「そんなことがあったんですか、ありがとうございます」
「いやいや気にせんでな。ほんなら、もうはぐれんときやー」
「良い人だったんだね」
「うん、すごく良い人だった…」
「…それにしても……泣きそうな顔ねぇ?」
「も、もうその話は終わりにしないか?」
「電話も気づいてなかったんだねぇ~?」
「ぐ…し、しつこい男は嫌われるぞ!?」
「お前がいるから十分だ」
「む…むぅ…」
「ははは、照れるな照れるな、かわいいやつめ」
「も、もぅ…」
「……」
「や、やめ、頭をなでるな!」
「いや、ほんと、かわいいなぁ~って思って」
「もうやめてーーーー!!」
「まったく、君は人の失敗をおちょくりすぎだ。悪い癖だぞ」
「すいません、こればっかりは治りません」
「まったく…じゃあジェットコースターでもいこうか」
「いや、お化け屋敷に行こう」
「いや、それはやめておこう。怖いのは嫌だ」
「だから行くんだ。少しは女の子らしいところを生で見てみたい」
「わかった、今から女の子らしくするから、お化け屋敷だけは勘弁してくれ」
「ほほう、やってみよ」
「いくぞ?」
「おう」
「キャピキャピ☆」
「……」
「キャピキャピ☆」
「よし、いこう」
「すまない、本当にすまなかった。謝るから。謝るから勘弁してくれ」
「…そんなに嫌なのか?」
「正直、冗談抜きで発狂すると思う」
「じゃあ、ジェットコースターにするか」
「ああ、それがいい」
「よし、んじゃいこう」
「…ありがとう」
「おう」
「……これ」
「ん?」
「ジュース。…まだ少し残ってるから」
「…ありがとな」
「ねぇ…………私、君のこと、本当に好きだからね?」
「安心しろ、俺もだよ」
お読みいただきありがとうございます。
どうしても恋愛ものが書きたくなり、書いてみたところコメディーが乱入してしまった結果でございます。読みにくいなぁ~…
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