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人を愛した少女

ウィッシュ((意味不


今回も暗いです。

ていうかこの連載でギャグとかありません。

だってある意味精神障害者の独白だもの、これ。


今回のお話は、まあつまり「ナルシシズム」(であってたっけ?)

まああれだ、私だって人から愛されたいわけだ、うん。

部屋に転がる屍


人を拒絶する黒の布で造られた

包容力を思わせるゆるやかな服を着た少女は


やっと得た後悔と安息を、その瞼の下で噛締めているのだろうか。



「死んじゃったわね。」

「そうだね。」


隣で『疑問』がぽつりと呟く。

その言葉は主の居ない部屋でよく響いた。


「悲しいね。」


自分の言葉に答えるものは、何も無かった。



少女はただ血を流し

彼女はただ涙を流す


どれもこれも、何一つとして同じでない

同じ行動を取っていない。


似ているようで、全てが違う。



全てを平等に愛することは不可能だ。

少女は結局それに最期まで気がつくことが出来なかった。



「彼女は、博愛主義の具現だったの?」


『疑問』はいつも当たり前に正しそうなことを問う

正しそうでいて本当のところは分からない、それが彼女自身だから。


「違うよ。」


今回の彼女の問いの答えは、間違いだった。





「彼女は、ただ愛されたかったんだよ。」










【君が嫌いだと思う人数以上に、君は嫌われているんだよ。】

【だから、好かれたいと望むなら周りの人たちを好きになりなさい。】


幼い頃、周りの大人が自分たちを戒めるために言った言葉。


周りの人間達は、皆それを忘れ

忘れていながらもそれぞれがその言葉を心の奥底で光らせ続けた。



自分だけだ。

自分だけ、忘れもせず、納得もせず、実践もしなかった。


自分だけ




成長して、自分は気づいた。

自分は周りから厭われていると。

同時に、自分は悟った。

自分は周りの人間が嫌いなんだと。


だから、愛そうとした。


愛せば愛すほど、自分は周りの人間から愛されるはずだと信じて





「でも違ったんだ」


自分が嫌いになれば、相手は自分のことを嫌う。

人を嫌いになる自分なんて、周りの人間も嫌いになる


 【君が嫌いだと思う人数以上に、君は嫌われる】


そうだ、この言葉は正しい。そしてその逆は



成立しない。



例え自分が周りの人間を愛したとして

周りが自分を愛すという確証はなんら無い。

自分の愛が伝わる確証は全く無い。



人は、臆病な生き物だ


自分に対する悪意には敏感でも、好意には鈍感だ。




 私はこんなにみんなを愛してるのに

 なんで周りの人は私を愛してくれないの?



叫んだって無駄だよ


だってそれが人なんだから。




そうだ、彼女は被害者だ。

人の愛の被害者なんだ――――――








「間違ってる。間違ってるわ。」


突然、それまで黙っていた疑問が口を開いた。


「愛されたいために愛すなんておかしい。

 そんなの、本当に周りの人を愛してるわけじゃないじゃない。


 結局、自分のことが好きなだけじゃない!」



彼女の声に呼応するように、部屋が崩れていく。

足場が無くなり、身体が宙に浮いてもなお

彼女は仁王立ちで自分を睨みつけていた。


「あの子もあんたも、ただ自分がちやほやされたいだけじゃない

 ただの自己愛者ナルシストじゃない!」


完全に部屋が崩れ、この部屋の主の心で埋まった空間の中

疑問は叫ぶ。



気が狂いそうな羨望

狂おしいほどの愛への欲望


そんな中で、彼女はとても輝いていた。







「そうかもしれないね。」


それでも自分は、そんなことを思った自分を認めず


ただこの部屋のドアを開けた。



「さあ、次のところへ行こうか。」




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