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私の居場所を見つけてください。  作者: 葉方萌生
第一章 廃病院からの誘い

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□「岩手県某市にあった“清葉病院”を知っていますか?」/ヨミの国チャンネル(2025/8/21)

00:00/13:02「ホラこんばんは~ヤミコです。今日も深夜に『ヨミの国チャンネル』が始まるよ~」

 

ヒューヒュー、テレ、テレレレ、ヒュッヒュッ~(オープニング)


00:30/13:02「さて、早速今日もお便りをご紹介します。あ、その前にすみません……電気がちょっとチカチカしてるのは蛍光灯が切れたからで……直さないといけないんですけど、新しいものがないので明日には交換しておきます。なので今日はちょっと見づらいと思うのですが、このままで失礼します……」


01:02/13:02「ヨミの国ネーム、“シンちゃん”さん。ありがとうございます。それではお便りを読み上げます。『一週間前に僕が体験した恐怖の出来事です。8月12日から15日まで、岩手県にある母方の実家に帰省していました。ドがつくほどの田舎で、田んぼと畑以外ほとんど何もない町です。そんな場所に三日も滞在するのは、僕にとって正直苦痛でした。でも、祖母も祖父ももうそう長くはないだろうし、会っておきたいという気持ちはもちろんあったから、母と一緒に泊まることにしました。一日目、案の定何もやることがなく、祖父母の家でゴロゴロとしながらスマホをいじっていました。母に叱られて庭の掃除をしたり洗濯物を手伝ったりはしましたけどね。やることといえばそれぐらいで、畑仕事も、祖父母は手手伝わなくていいというので、本当に家に引きこもっていました。二日目も確か、同じような一日を過ごしたと思います。でも、二日目の夜。いい加減翌日も引きこもってそのまま祖父母の家を後にするのも気が引けたので、せっかくなのでこの町を探検(・・)しようと思い立って、スマホでちょいと調べてみました。』」


04:25/13:02「『調べたのはこの町にある“心霊スポット”です。まあ、まさか本当にあるとは思っていませんでしたけどね。もしあったらラッキー、みたいな。なんでも、大学でオカルトサークルに所属しているので、この手の話は大好物なんですよ。ていうか、なんでもっと早く思い付かなかったんだろうって自分のバカさ加減に呆れました。夏休みですっかり頭が鈍っていたんですね。

で、話を戻します。スマホでそういう場所(・・・・・・)を調べたんですが、なんと本当にあったんです。名前は“清葉(きよば)病院”。一応産婦人科だったらしいんですが、今は廃病院みたいで。廃病院——もうこの響きだけでゾクゾクしません? 寝転がってスマホで調べていた僕も思わず飛び起きましたよ。そんな病院があるなんて知らなかったし。早速場所を調べてみたら、祖父母の家のある場所よりはほんのすこーしだけ“町”っぽくなってる地域にあるみたいでした。同じ市内であることは間違いないんですけどね。僕は祖父母の家に行くといつも同じように引きこもり生活をしていたので、あまり周囲のことは知らなかったんです。確か、その町の名前は霜月町(しもつきちょう)だったと思います。』」


07:37/13:02「『……んで、次の日に早速行ってきました。僕は霊感なんてまったくない人間なんですが、廃墟の中に一歩踏み入れた途端、背筋に寒気がしましたね。これは、絶対やばいところだって直感で思いました。あと、ほんの少しですが頭痛なんかもしてきて、心霊番組でよくやってるアレ、本当だったんだなぁって。まあその時は、そんなに呑気に考えられる余裕もなかったんですけど。

スマホで動画を撮りながら、ぐるりと周囲を見回しました。昼間だけど薄暗くて……産婦人科なんて男性が入れるところじゃないですからね、正直設備についてはあまりよく分かりませんでした。廃墟らしい廃墟で、受付に置かれていたような長椅子がひっくり返って(すす)を被っていたり、瓦礫が転がっていたり。注意しないと、尖ったものを踏んづけて怪我していたと思います。それぐらい、足場は悪くて空気もおどろおどろしさが満載でした。

でもまあ、昼間ですし、幽霊は出ないだろうと鷹を括ってちょっとずつ中へ進んでいったんですけど……出たんです、ソレが。

出たというか、“聞こえ”ました。


——ワタシ……ハ……ドコ……。


ってね。

「私はどこ?」とまるで自分がどこにいるのか探しているような、頓珍漢なセリフでした。しかもその声は子どものようで、でもめちゃくちゃ低い声で、唸り声のようにも呻き声のようにも聞こえました。当の僕はというと、声がした途端、もうパニックですよ。走ってその場から逃げました。でも、さっきも書いた通り、足元には瓦礫やらガラス片やらが散らかっていて、避けながら走るのはかなり大変でした。一度転んで実際膝に小さいガラスが刺さったんですけど、痛みより恐怖心の方が勝ってて、足を引き摺りながら逃げました。

ようやくもともと入ってきた入り口まで辿り着いて、やっと一息吐いて……。振り返ってももちろん、誰もいません。なのに、耳元ではずっとあの声が響いてる気がして。


——ワタシ……ハ……ドコ……。


寒気が止まらなくて、ひとけのある道まで一心不乱に走りました。足から血を流しながら走る僕を見て、通りすがりのひとたちがぎょっと目を見開くのが分かったんですけど、正直そんなことは気にならなかったですね。

あれから一週間が経ちますけど、今でもあの時のことが忘れられなくて、同じ夢を何度も見てますよ。もう二度と、あの清葉病院には近づかないと心に誓いました。この手紙をヤミコさんから聞いて気になる方がいても、もし行くなら自己責任でお願いしますよ』」


※この後、映像にノイズが入るため、撮影を中止。念のため、チャンネルに途中まで編集した動画を非公開でアップ。時間があればまた再編集しようと思う。


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