「貴方にだけ」
屋敷ではよく噂好きのメイド達がこそこそと噂していた。
「最近、ルイますますかっこよくなったわよね!」
「凛々しくなってきたわよね!」
「それに最近剣術習ってるんですって!」
「「ええー!?」」
なんて話が耳に入った。
★★★★
「最近ルイが剣術を習ってるって本当?」
メアリーは剣術の先生に聞いた。
「はい。どうしてもと言われたので仕方なく。」
「そう。」
「中々筋はいい方です。」
「へー、そう。」
どうしてだろうって思って聞いてみた。
「ルイ、剣術なんか習ってどういうこと?」
「え、いや、その……。」
「ハッキリいいなさいよ!」
「強く、なりたくて……。」
「?どうして?」
「それは……。」
ルイはもごもごとはっきり言わない。メアリーはその態度に苛立った。ルイを睨む。
「っ!あの、……まも、りたくて。」
「?守る?何を?」
「お嬢様を!守りたくて!」
「!」
「……」
「余計なおせわよ。まあいいんじゃない?メイド達からモテるし良かったじゃない!」
「メイド達にモテたって、意味ない、です。僕はっ!」
貴方を守る為に。貴方にモテたい。
その言葉は言葉になることはなかった。拒絶されるのが怖くて、避けられたくなくて。
「なん、でも、ありません。」
でも、言えば良かった。こんな事になるなら、言えばよかった!
愛してるんだ!メアリーお嬢様をっ!
処刑される刹那、見えたのは、彼女の首だった。