「光」
今でも覚えてる。あの人が僕を拾ってくれた日を……。
「この化け物がっ!」
パン屋の店主が少年を殴る。
「がはっ?!」
少年はボコボコにされていた。メアリーは少年と店主に歩み寄る。使用人達が止めた。
「お嬢様?!何をっ……!?」
「おやめなさい。」
「あ?なん……こ、公爵令嬢様?!」
「何をしているのですか?」
「この化け物が店の商品盗みやがるからちょっと懲らしめて……」
「化け物?」
「ええ、こいつの目を見ればわかりますよ。」
「……この店主に金貨を。」
メアリーは使用人にめいをくだす。
「……え?!」
「はい、は?」
「はい!」
店主には金貨が払われた。
「いやぁ、お嬢様、ありがとうございます。おい、ゴミ、もう盗みなんかすんじゃねーぞ!!あ?!」
店主は店に戻っていく。地面にソレは転がって震えていた。メアリーは顔を覗きこむ。ルイはとっさに顔を隠す。そこにはボコボコにされて腫れ上がってはいるが整った顔だちがあった。何より……
「綺麗なオッドアイ……。」
「…………へ?」
「こんなに綺麗なんだもの隠してたらもったいないわよ?」
ソレは、そんなこと言われたのは始めてだった。
「お、お、オレ、化け物で……」
「そんな美しい顔をして何をいっているの?胸をはりなさい!この私が美しいって言ってあげているのだから!!」
「!」
「貴方、私の執事になりなさい。」
「へ?」
手が差し伸べられる。戸惑いながら手を掴んだ。
差し伸べらた手は柔らかくて温かかった。
「オレ、……なにも……できな……」
温かい優しい笑顔がそこにあった。
「貴方は私の傍にいればいい!何も出来なくたっていい!それだけで生きている意味があるわ!この私に遣えることができるんだから!」
それは一筋の光だった。眩しくって温かい。生きる意味なんかないって思ってた。でも、それは違った。彼女の傍にいるだけで自分には意味がある。涙が溢れた。それを拭う。
「はい!!」
でも、屋敷に連れていかれる途中馬車が賊に捕まった。
「おいっ!公爵令嬢を連れてこい!!」
賊のリーダーがそう叫ぶ。
メアリーを連れて行こうとする。それをルイは止めた。賊の前に立ちはだかった。怖いのに、すっごく怖くて、震えていた。でも、本当に怖いのはお嬢様のはずである。だから彼女の前に両手を広げて立った。
「……やめろ!!」
「ああ?小僧1人でなんの真似だ?あ?」
その時、すぐに兵士達が来て賊は追い払われた。メアリーは彼にお礼を言った。
「ありがとう。」
「……はい。」
僕は泣きそうな顔をして笑いながら泣いていた。屋敷につくと名前を聞かれた。
「名前は?」
ルイは黙って首をふった。
「そう、じゃあ、ルイ。貴方はルイよ!」
「る、……ルイ?」
「そう、勇敢な人って意味があるの!貴方はとっても勇敢だから!ルイがいいと思うの!」
「へへ……。」
ルイは嬉しそうに笑った。