「悪役令嬢メアリー」
いつもなら賑わいに満ちている舞踏会。だが、今は別の意味で騒がしかった。王子の後ろには可憐な1人の少女が腕を掴んで怯えていた。王子が元婚約者のメアリー・バートリーに言い放つ。
「そこまでだ!メアリー!!」
「ふんっ!何がそこまでなのかしら?!」
メアリーは王子に断罪された。メアリーは思う。断罪されるのは何度やり直しても私だった。だったらお望み通り、こんな世界壊してやる!
メアリー・バートリーはそう開きなおった。だから何回も主人公をどん底に突き落としてやった。いつも愛されるのは私じゃなかった。だから、この結果は不服である。
「どうせならもっと壊してやればよかった!!待っていろ!お前達を必ず地獄に落としてやる!!」
金切り声でそう叫んでナイフを振り回すメアリーはとても見ていられるものではなかった。
兵士達によって取り押さえされる自分を見てメアリーは笑った。ははっ、何度だってお前達を地獄に落としてやる!そう叫ぶ。そして、冷たい牢屋に入れられた。何度目かなんて忘れた。それでもこの憎しみの炎は消えなかった。私が冷たい牢屋に入れられてなんであいつらは何故、温かい布団で寝れるのだろうか?許さない。
そうブツブツと言っていると誰も面会に来なかったのに彼だけはきた。
「何しにきたの?分かった!私を笑いにきたんでしょ?いいわよ?笑いなさい!お前も地獄行きよ!!」
それを聞いて彼は涙を流した。
「は?」
メアリーは呆気に取られる。彼はこう続けた。
「皆君を悪女だって言うんだ。悪役令嬢だって……。」
「そう、私は悪役令嬢よ!そんなこと知ってる!何回転生したと思ってるのよ!?この世界は閉じたゲームの世界よ!!」
「違うよ……。」
「は?」
「悪役令嬢なんていない!いないんだ!!」
「私がいる!ここにいる!否定するなっ!!」
「君は間違ってるよ。」
「何がいいたい?!」
彼は涙を拭ってこう言った。
「君は、僕にとっては女神だった!悪役令嬢なんかじゃない!!」
「はっ!ばかね!あんたを助けたのだって利用する為に決まってるでしょ?」
「それでも!それでもだ!!君はっ!」
「黙れ!!お前も呪い殺す!!」
それを聞いて彼は泣きながら帰って行った。
「…………。」
牢屋は静寂につつまれる。彼女は笑った。火あぶりの日がきた。十字架に磔にされる。そんな時までメアリーは虚勢を張る。火が付けられた。だんだんと息が苦しくなる。煙に肺を焼かれる。意識が朦朧とするなか、彼女は叫ぶ。
「お前らを呪ってやる!!このメアリー・バートリーを殺したことを後悔するといい!!」
「最後まで、君は嘘つきだったね。」
そう言って彼は………笑っていた。それを朦朧としながら見た彼女は、やっぱりとしたり顔で笑った。お前も、私の死を、笑っていたのね。いいわよ。今度こそは皆、殺してやる!皆、あの世に送ってやるわ!!
そう誓って目を開ける。カレンダーの日付を確認する。そこは過去だった。
「ふふふっ!さぁ、地獄を再び始めましょう?」
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