第4話:成長の実感
展開遅いかな?
《弓術Lvが2に上がりました。》
「…!?」
頭の中で、あの声が再び響いた。レベルアップ時と同じ声だ。どうやら、スキルの練度が上がるとスキルレベルも上がるらしい。矢を放ってみると、さっきよりも僅かに威力が増し、狙いも定まっている。
「なるほど、こうやって技術も成長していくのか…。」
弓の手応えを感じつつ、俺はさらに自分の能力を向上させる方法を模索することにした。もともと自衛官として体力には自信があったが、このゴブリンの体でも同じように鍛えることができるのだろうか?試しに腕立て伏せをしてみた。
「よし、やってみるか。」
腕を地面につけて、ゆっくりと体を上下させる。数回こなすと、ゴブリンとしての筋力を再確認できた。続けて走ってみることにする。洞窟の周囲をぐるりと一周してみると、身体が軽く感じられ、全身に力がみなぎるのがわかった。
《敏捷が上昇しました。》《体力が上昇しました。》
「やっぱり…体を動かすことで能力が上がるんだ!」
鍛えれば鍛えるほど、このゴブリンの体もどんどん強くなっていく。その事が分かった次の日からは、腕立て伏せ、腹筋、ランニングなどを繰り返し、少しずつ能力値を伸ばしていく。
現役の時ほどは出来ないが、出来ないよりは出来た方が確実に良いはずだ。
《力が上昇しました。》
「これで、狩りももっと効率よくこなせるだろう。」
トレーニング後にメシを済ませると弓術と短剣の練習だ。弓術はLv3になってからはレベルアップに時間がかかるようになってしまった。
短剣は木刀を作り、暇そうなゴブリン相手に練習している。こちらは皆素人なのでLv2で止まったままだが演練は続ける。こういう日々の積み重ねが大事なのは前世で立証済みだ。
しばらく訓練に集中していると、ゴブリンの一体がこちらにやってきた。ゴブリンたちは基本的に俺に干渉してこないが、時々、狩りに出るときに仲間を誘っている。種族的に弱い者達の心理であり、今回はどうやらその同行を求められたようだ。
「オマエ…イッショ、コイ。」
「…わかった。」
俺はその誘いを受け入れ、一緒に狩りに出ることにした。ゴブリンたちは簡単な言葉でしか会話できないが、最低限の意思疎通は可能だ。弓の技術も少しは向上しているし、この機会に実戦で試してみようと思った。
洞窟の外に出て、狩りの現場に向かう。狙いは小動物や獲物となる鳥だ。俺はゴブリンスナイパーから教えられた技術を使い、遠距離から矢を放って一撃で仕留めることに挑戦した。
弓を練習して数日だが、3匹ほど仕留める事に成功した。他にもスライムや、フロッグを数体、仲間のゴブリンと倒したため、
《経験値を獲得しました。レベルが3にアップしました。》
またしても頭の中にアナウンスが響く。俺のレベルが3に上がったのだ。俺は着実に成長していくのを実感していた。
名前: 不明
種族: ゴブリン
レベル: 3
HP: 45/45
MP: 6/6
力: 16
敏捷: 13
知力: 9
スキル: [棍棒術 Lv1] [短剣Lv2] [弓術Lv3 [ゴブリン語 Lv1]