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第26話 混戦

登場人物まとめ。


•シャドウ

ゴブリンへ転生した主人公。

ゴブリンからシャドウゴブリンへ進化。


•セリーナ

ルナリス神聖王国の姫


•フェリシア

セリーナ姫近衛隊の太ももが綺麗な女騎士

近衛隊のリーダー


•グリーダ

近衛隊の女トロール

ルナリス教聖職者兼任


•アクセル

近衛隊の狂戦士

白髪の青年


•イザルド

ルナリス神聖王国宰相

セリーナ暗殺の首謀者

近衛隊の待機室へ戻り、フェリシアとグリーダへ暗殺部隊を一掃に成功したと報告した。

2人とも俺とアクセルの帰還にホッとした様子だ。


「えっと…フェリシア…これはどういう事ですの?シャドウとアクセルはなぜ血だらけですの?」


暗殺者からの護衛の為、待機室に居たセリーナ姫は何も聞かされてないのか呆気に取られていた。まだ状況が掴めていないらしい。

俺とアクセルが捉えた暗殺者の猿轡を外している最中にフェリシアから事情を説明していた。

暗殺者が計画を白状すると、顔を真っ青にしていた。まだ年の若い娘には相当怖いだろうな。


「ですが姫様ご安心ください。

先程の報告にあった通り、奴らの計画は失敗し裏切り供も殆ど死に絶えました。

物的証拠も抑えてます。シャドウ、姫様に例の物を。」


「…御意。」


思わずニヤッとしてしまった。

あの女騎士が漸く俺の事を名前で呼んだのだ。

相変わらずゴミを見る様な目付きだが、一歩前進だな。


「これは…??」


渡した手紙の中身を確認すると更に姫の顔が青褪めた。だが事の真相をしっかり確認してもらわないといけない。


「ここまで証拠が揃えば問題無いでしょう。すぐに奴を捕らえるべきかと…。

更に部屋を隈なく探せば追加の証拠もあるでしょう。

姫の権限でイザルドを拘留し、明朝、王へ報告すれば問題無いはずです。」

 

「そう…です…わね。

分かりました。命懸けで私を守ってくれた皆様の為にも、暗殺を企てたイザルドを捉えましょう。フェリシアは私に付き従う兵を集めて下さい。他の3人は私と一緒にイザルドの元へ向かいましょう。

それにしても、国の宰相が犯人だなんて…。」




薄暗い廊下を進むにつれ、緊張が高まっていく。だが俺は落ち着いていた。奴の手駒は全て潰した。彼1人ではもう何も出来ないはずだ。

近衛隊のメンバーは全員、先を急ぐ。俺たちの目的地はイザルドの部屋。彼を拘束し、真実を明らかにするために。


イザルドの部屋は、王城の一角に位置している。煌びやかな装飾が施されたドアの前に立ったとき、俺が一歩前に出て、静かに扉に手をかけた。


「よし、行くぞ。」


俺の声が響く。グリーダとアクセルが頷き、全員が武器を構え、ドアを押し開けた。


「イザルド!貴様を拘束する!」


俺がそう言いながら部屋に入ると目の前に広がったのは、豪華な家具が並ぶ空間だった。しかし、その中には陰気な雰囲気が漂っている。イザルドはデスクに座り驚いた顔をした。


「なんだ!?貴様らは!!

ん?お前達……、近衛隊の連中がなぜこんな所に…!

まさか、しくじったのか?」


「あなたの暗殺計画が発覚し失敗しました。大人しく拘束されなさい!」


セリーナ姫の声は力強いが、イザルドは動じない様子で微笑んだ。


「これはこれは姫様。何を世迷言を…。

幾ら何でもお転婆が過ぎますぞ?

それとも、そこの魔物供に何か吹き込まれましたかな?」


イザルドが和かに話しかけるが、姫は顔色一つ変えない。


「イザルド、観念しろ。暗殺者は既に計画を吐いたぞ。

お前が首謀者という事もな。綿密な計画書も俺が入手した。そしてこの部屋の中を探せば更に色々出てくるだろうな。楽しみだ」


俺がそう言うと、イザルドはこちらを一瞬睨みつけるが、フッと笑った。


「忌々しいゴブリンめ…。まぁ良い。貴様らが本当にここに来るとは思わなかったからな。しかし、残念ながら計画はまだ進行中だ。」


その言葉が胸を刺す。まだ暗殺計画が進行しているだと……?

俺はその瞬間、焦りを感じた。


「…何を言っている。」


俺は問いかけながら、すぐに部屋を見渡した。アクセルはすでに辺りを警戒しており、グリーダも周囲を探る。


「実は貴様らの行動を見越し、再計画を立てた者が居ってな。まぁその者は姫ではなく貴様を狙っているようだが。姫諸共葬ってもらうがいい。」


イザルドの目は冷たく光っていた。彼の口から語られる言葉はまるで自信に満ちていた。俺は心の中で冷静さを保ち、彼の動きを見守った。


「紹介しよう。帝国から派遣された冒険者で、

【ゴブリンスレイヤー】の異名を持つ男だ。貴様らの計画を見破り始末する者じゃ。」


そう言うと、イザルドの後ろから1人の男が出てきた。薄汚れた頬当て付きの鉄兜と革鎧、鎖帷子を纏っている。短剣と盾を既に装備していた。

冒険者だと?それに帝国から派遣された?


イザルドの冷たい目が光り、口元が笑みを浮かべた。


「さあ、パーティーを始めようかの。

帝国に栄光あれ!!!」


そう叫ぶと同時に、部屋の物陰から一斉に暗殺者たちが現れた。恐らく帝国から送り込まれた暗殺者だ。彼らの気配は鋭く血の気を帯びている。

帝国の暗殺者は、一気に間合いを詰めてきた。グリーダとアクセルが咄嗟に姫を庇い、必死に応戦を始める。


「チッ、ふざけやがって!!俺たちをなめるんじゃねえ!」


アクセルが低く唸り、剣を振り回す。次々と押し寄せる敵の刃をかわしながら、反撃の隙を探るが、敵の動きは並の兵士と違い、非常に洗練されている。隙をつけば姫に迫られる恐れがある。


「姫様、どうかこちらに!」

グリーダが必死に防御の呪文を唱えながら、姫を守ろうとする。彼女の聖なる魔法が輝き、敵の攻撃を防ぐ盾となるが、それでも次から次へと暗殺者たちは追撃を止めない。


「フンッ、さすが帝国の兵じゃな。ワシもこの辺で失礼するかの。」

イザルドが扉の陰から一瞬振り返り、にやりと笑って逃げ出したのが見えた。


「くそ!!イザルドが逃げるぞ!」


と、俺が叫ぶがその時、背後で強烈な殺気を感じた。振り返った俺の目に映ったのは、先程の冒険者だった。何とか短剣を抜き応戦する。

ガキッと冒険者の一撃を受け止めるが、彼の目は俺に向けられ、暗く光る冷徹な視線が突き刺さった。


「ゴブリンは…俺が駆逐する。」


その男の声は低くまるで呪いのように響く。

彼は俺を睨みつけたまま再度剣を振りかざす。その眼差しに俺はただならぬ敵意を感じた。彼は俺にとって危険な存在だと、すぐに理解した。

連撃を受け流した隙を付き、俺は影に身を潜ませて彼の攻撃をかわす。だが影から現れるタイミングで次の一撃が迫る。休む暇がない!


「ほう、シャドウゴブリンなのか。

だが逃がすものか。貴様のような進化個体で、知恵のあるゴブリンを生かしておけない。」


ゴブリンの知識と、この強さといい、ゴブリンスレイヤーの異名は伊達ではないようだ。

彼はまるで無感情な機械のように、淡々と殺意を口にし、執拗に俺を追い詰める。その圧倒的な気迫と技量に、俺も焦りが増す。逃げ回るだけでは姫や仲間を守りきれないと、強く思い知らされる。


「くそ…!それなら、これでどうだ!」


俺は影に潜り込み、ゴブリンスレイヤーの視界をかく乱しつつ、応戦する。夜間のしかも、屋内だ。俺の隠れれる場所は自由自在だ。

だが、彼は決して動揺せず、俺の攻撃の隙を狙ってくる。その技術と集中力は常人のそれを遥かに超えていた。


後ろではアクセルとグリーダが暗殺者たちに必死に応戦している。アクセルが殺し屋を一刀両断するたび、鋭い殺気が部屋を包む。グリーダは聖なる魔法で仲間を守り、なんとか敵を押し返していたが、その表情には疲労の色が見え始めている。


「よそ見とは、良い度胸だな。」

その声が聞こえた瞬間、腹に衝撃が走った。


「!!…うぐっ!?」

俺は腹を蹴り上げられ、壁まで吹っ飛んだ。

その衝撃であらゆる家具が倒れる。


まずい、体が動かない。目の前がチカチカする。

ゴブリンスレイヤーはゆっくりと歩み寄ってくる。

ここ最近、自分より強者との戦闘は無かった。

久々の命の危機に体が強張る。

震えが止まらない、それでも体は動かない。

ゴブリンスレイヤーは俺の頭を掴み、尋問を始めた。


「お前の巣はどこだ。王国内の何処かなんだろう?それとも地下か?何故このような場所にいる?」


淡々と質問を続ける。いつもこの様に尋問し巣から根絶やしにするのだろう。  


「お、お前はなぜ…ゴブリンを…にく…む?」

そう言った瞬間、ガンッと頭を叩きつけられた。ゴブリンスレイヤーはゴブリンの頭を何度も何度も地面に叩きつける。


「ふざけた質問をするな。ゴブリンは殺す。弱いだろうが奴らの繁殖力は脅威だ。人間に害を為す者は早々に殺すだろう。」


「……。」


俺はろくに喋る事も出来なくなっていた。

これ以上の時間稼ぎは出来ないな。。


「…フム、お前から得られる情報は無さそうだな。せめて巣の在処は知りたかったが。」

そして俺の首元に短剣を添えた。


「これで終わりだな。」


その瞬間、俺は最後の力を振り絞り影へ逃げた。


「!? チッ、まだそんな力が残っていたか。」

と俺の影を探すゴブリンスレイヤーに、アクセルが斬りかかる。


「くっ、邪魔をするな。俺はゴブリンを殺しに来ただけだ。」

「アァ? テメェが何しに来たかなんて知らねえんだよ!!

それにアイツは近衛隊の一員だからなあ?

ああいう、チマチマした奴も姫の役に立ってんだろうがあ!?」


そのままアクセルとゴブリンスレイヤーの斬り合いが続く。だがゴブリンスレイヤーは短剣と盾だったので徐々に押されていた。


「はあ…はあ…、アクセルは凄いな。」


俺はグリーダの結界内で回復魔法を掛けて貰いつつ、戦闘を眺めていた。他の暗殺者もアクセルが葬ったらしい。後はゴブリンスレイヤーだけだ。

すると後ろのドアが開き、フェリシアと数人の兵士が増援にきた。


「すまない!遅れてしまった…って何この状況は…?

イザルドはどこに行ったの?」


「くっ…これでは流石に部が悪いな。

そこのゴブリンの始末は後回しにしてやろう。

運が良かったな。」

そう言い残し、ゴブリンスレイヤーは窓から逃げ出した。

なんとか助かった…。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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何卒宜しくお願いします!

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