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第2話: 「ゴブリンとしての順応」


彼は洞窟の出口を見つめながら、すぐに外に出ることをためらっていた。この未知の世界では何が起こるかわからない。まずは何か武器になりそうなものを探すべきだ。


洞窟の中を探しながら、彼は床に転がる太めの木片に目を止めた。それは乾燥しており、手に取ってみると意外にも軽く、強度がありそうだった。


「これなら、少なくとも何かあった時に身を守れるだろう」


彼はその木片を棍棒代わりにすることを決め、しっかりと握りしめた。その上で、改めて洞窟の外へ出ることを決意する。


準備を整えた彼が洞窟を歩いていると、近くで数体のゴブリンが何かを話していることに気づいた。最初はただの騒音のように聞こえたが、耳を澄ませると、次第にその内容が理解できることに驚いた。


「オマエ…ソコ…ジャマ…」


「オレ…メシ…ホシイ…」


彼はその会話を聞き、驚愕した。言葉が理解できる。ゴブリンの粗雑な言葉だが、自分もそれを理解できているのだ。


「どうやら、この体に合わせて…言葉も理解できるようになっているらしいな…」


彼は自分がゴブリンとしての知識や能力も無意識に得ていることに気づき、今までの自分とは異なる存在になっていることを改めて実感した。



洞窟の外に出た彼は、見慣れない景色を前にしても落ち着きを保ち、食料を探し始めた。木々の間を歩き、枝に実った果実を見つけ、躊躇なくそれをかじる。


「……美味い。」


小さく醜く非力な体だが、人間の頃より俊敏性があり、基本何でも食べれるようだ。川で魚を素手で捕まえるのも苦労せずそのままかぶりつく。これも美味い。虫も手に取り、ためらいなく食べることができる自分に驚いた。


「この体、思ったより順応性が高いな…」


今までなら考えられなかった食料にさえ、抵抗感がない。ゴブリンの体が持つ特性に自然に適応している自分を実感した。

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