魔法
初めましての少女の突きから唐突に戦いが始まった
この少女は何がしたいのだろうか。
いや、予想はつく、この刀を見たいのだろう。
なら、その望みを叶えてやるべきだ。
「顕現」
そう唱えると、月氷刀が、その美しい透き通った氷とともに現れる。
「へぇ、それが噂の魔法が使える刀、ね。」
少女は刀を見定めるように見ている。だがその間も攻撃の手を緩めてはくれないらしい。
だが、前世の経験がある俺からすれば隙だらけだ。
「っ!!」
隙をついて斬撃を飛ばす。普通に斬ると殺してしまう。やつのようにはならない。
あとから知ったことだが、この世界の武器は便利なもんで殺す意志がない限り殺さない程度の威力に抑えられるらしい。
さっきの斬撃で生まれた隙に畳み掛ける。距離を取り、斬撃を飛ばす。1、2、3。
そろそろいいか、と攻撃をやめる。だが、その油断が命取りだった。
「油断したわね!」
相手の剣による攻撃を刀で受け、そのまま刀の氷で凍らせる。少し刀を放し、相手の剣に蹴りを入れ、その刀身を破壊する。これにより、相手の攻撃手段はない。今度こそ俺の勝ちのはずだ。
ただ、そう簡単には諦めてくれないらしい。
「まだよ!」
手に握られていた、刀身を壊した剣には炎のような新たな刀身ができていた。
なんだ、あれ。おそらく魔法の類だろう。
本で読んだが、あのレベルの魔法を剣士が使うのは難しいらしい。
ただ刀身に魔力を纏わせるだけなら簡単だ。だが、これは違った。魔力を炎に変換し、それを剣の形にしてみせたのだ。
これが魔法、俺はまだ扱えない力、だった。
いまの攻撃で、イメージができた。
この月氷刀は魔法が使える、ただ、俺にはイメージがなかった。精々刀に触れているものを凍らせる程度だ。
ただ、魔法を剣の形にするのは、中々良いアイデアだ。そのアイデア、使わせてもらおう。
「氷の刀よ!!顕現せよ!」
俺は刀の力を使い、氷を刀の形に形成する。そうして5本の刀が完成した。次にそれを、少女の方に向ける。
「さあ、全力でいくぞ!」
「全部溶かしてやるわ!」
氷の刀と炎の剣がぶつかり合う。そして軽い爆発が起きる。さてどうなった。
「はぁ、はぁ」
少女はまだ立っていたがだいぶ疲れている様子だ。
「すまない、少しやりすぎた。」
「いいのよ、私も、熱くなりすぎ、た」
眠ってしまったらしい。そりゃあれだけの魔法を使っての長期戦、疲れないはずがない。
とりあえず、運ぶとしよう。
「すみません、眠ってしまったようで、どこに運べば良いでしょうか。」
そう、少女の父親に問う。
そして場所を聞き、少女をお姫様抱っこの形で部屋へ運び込むのだった。




