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顕現・月氷刀

俺がこの世界に生まれて、だいたい6年が過ぎた。だが、あまりにこの6年は長かった。

まず、約200年ぶりに魔王、及び勇者が誕生した。これは世界のバランスを揺るがした。

魔王軍と人間による争いが激化し、最近では民間人の被害が増加していた。いままでは互いに干渉せずに過ごしてきたというのに、こんなにも簡単に崩れるのが平和である。やはり、人の命というものは脆弱だ。勝手に周りの争いに巻き込まれて死ぬのだ。最も自身も同じ人間であるが。

神というのは悪魔なんじゃないか、魔王と勇者を同じタイミングで生み出すとは。

これだけでもなかなかに大きな、いや歴史に残るほどの出来事なのだが。身近なこととして俺の訓練が始まった。小学生くらいの子供に何をやらせているんだ、と思うかもしれないが、前世でもこの頃は剣道をはじめ、鍛錬に励んでいたのであまり苦じゃない。なんでも、人間軍の人員が足りないから俺を使いたいんだと。なんとも悲しいな、子供を頼らなければいけないとは。

もちろん、両親は反対したが、そんな訴えは国に通じず、いまも訓練しているのだが、いまだ武器の顕現ができない、そのため国の教員は呆れた様子だった。他の子の育成に力を入れているらしい、ということは俺の将来は肉壁か、やなこった。そう思い、俺はおじさんの家を訪ねていた。

おじさんは昔から受け継いできた剣術を使う。そして、うちの家系で最も強い。それは、実際の訓練で実感した。前世の知識や動きをフル活用しても敵わなかった。


「どうした、まだ一撃も与えられていないが。」

「大人気ないなぁ。おじさん。」

息も絶え絶えで、そんな会話をする。

「ほれ、もう一回だ、刃。」

そう、俺のこっちでの名は刃、壊武 刃。

「それじゃ、いきますよ!っと!」

まずは一振り、当然のようにおじは避け、頭上へ飛び、反撃を繰り出してくる、俺はそれを刀で防ぎ、蹴りを入れる、これを読んでいるかのように、あたりまえにそこにおじさんの刀は置かれていた。

「どうした?その程度か?」

「っ!まだまだァ!」

おじさんの予測を超えるよう、予測を予測した。だか、おじさんのほうが一枚上手らしい、俺は吹き飛ばされた。

「惜しいな、少しはわかるようになってきたか?」

まだまだおじさんは余裕だ、どうせさらに先を読んでいるくせに。

「ふむ、少し休憩にしよう。先に戻っているぞ。」

そういっておじさんは勝手に去っていく。

悔しい、悔しくてたまらない。前世で全てを捧げて鍛えた剣技がまったく通用しないのだ。どうやったら勝てるのだろう。


そんなことを考えていたとき、刃に危機が迫る。

「ギーー!!」

機械のような姿をしたドラゴンが姿を現す。大きさはそこまでだが、放たれていた威圧感は本物だった。

「チッ、最悪のタイミングだ。」

機械竜を前に悪態をつく。最悪、そう最悪だ、この世界には魔法というものがある、そしていま目の前に現れたこのドラゴンは魔法以外ではあまりダメージを与えられない。俺は武器の顕現はおろか、魔法なんて全くだ、杖を持って生まれていれば魔法は楽々使えるだろう、だが、基礎的な魔法であっても杖を持たない者には相当な難易度、何も武器を持たない俺なら尚更だ。

「ガーー!」

目の前のドラゴンが姿を消したかと思うと背後に回っていた。俺は咄嗟にその突進を回避するが、頬に翼が掠る。

「っ!」

どうしようもない、助けもない、自分の力でどうにかしなきゃいけない。こうして本物の殺意と遭遇して痛感する、俺の本当に弱いところは心だと。

ならば今こそ乗り越えてみせる。

俺はこの手に握られていた刀をより一層強く握り、集中する……今!

見事にタイミングが一致してドラゴンに重い一撃を与えられた。このまま押し切る!

俺はこの手の刀にすべての魔力を込めて振りかぶり、ドラゴンの体を真っ二つに切り分けた。


「おい、起きんか、おい!」

「んぁ」

寝てた?じゃあさっきのは、夢?

「驚いたぞ、まさか機械竜を倒すとは、そんで顕現までできるようになるとはな!ガッハッハ。」

さっきまでのは夢じゃないらしい、じゃあ俺の武器は、この刀か。

「刃、せっかくだ、その刀に名をつけたらどうだ?」

そう言われて、少し考える。確か、この刀の攻撃には氷の魔法がついていた。そして、綺麗な月だな、

そうだな、この刀の名は

「月氷刀、これが俺の武器の名前だ。」

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