初めての死と2度目の生
初投稿です。楽しんでいただけると幸いです。
俺はいま危機に陥っていた。
先程から俺を追ってくるのは知らない男、いや正直性別はわからない。というかどうでもいい。
とにかく走る、走る。追いつかれたらまずい。そう本能が告げていた。そいつの手には刀が握られていた。
走り続け、体力も限界だった俺は、その場に倒れてしまった。
追ってきたそいつは俺の顔を見つめている。いや、違う。そいつは俺にはわからない何かを見ていた。
そいつはついに刀を振り上げる。
何故?俺の頭にはそれしかなかった。不思議なことに、刀を持ったやつに殺される恐怖よりも、何故追われたのか、その疑問のほうが強かった。
そしてそいつの刀によって俺の人生は幕を閉じた。
そう思った。
「なんだ?まだ斬らないのか?」
わからない。だが、さっきは確実にあの刀は俺の人生を終わらせたはず、その証拠に痛みを感じた。あれは本物だ。
そんなことを考えていると、ずっと目を閉じていることに気づいた。結局、俺も恐かったのだろう。
とりあえずこの目を開く、そして。
目の前に広がる光景は明らかにおかしいと思った。
俺が逃走していたのは都会の路地裏だ、だが目の前には、美しいと思うような緑が広がっていた。
俺の身体はまるで自分の身体じゃないかのようで、まったく動かない。
斬られたダメージによるものかと思ったが、傷はなかった。
どうなっている?俺は確実に死んだはずだ。
そんなことを考えていると突然、
「あっあぁ、やっと...」
とそんな声が聞こえてくる。その声の主は俺の目の前にいた。
「やっと生まれたのね。」
産まれた、という言葉が引っかかる。視線から見て俺に言っているのは確実だろう。
「よく頑張ったな。俺も嬉しいぞ。」
という声の主はこちらに近づいてくる。そちらを見ると、男が1人、泣きっ面で目の前の女に寄り添っていた。
よくわからない。そんな光景。ただ何故か安心感を感じる。
少し状況を整理する。死んだと思ったら身体に傷はなく、そして景色も違う。何より産まれた、という発言。なるほど、理解してきた。つまり、
俺は転生したのだ。
転生なんてラノベでしか聞いたことのない話だが、いま現実にそれらしい現象が起きているのだ、受け入れるしかない。
ただ、別に転生したことに不満があるわけじゃない。あんな死に方は嫌だったし、ずっと剣道をやっていて、友達だとかもいなかった。前世に未練は、そうだな、強いて言うなら大会の決勝にでれなかったことと、復讐できなかったことか。
とにかく、転生については前向きに考えている。
せっかくの2度目の人生だ。友達を作って、両親と幸せに生きていこう。
そして、今世でも刀を振ろう。
前世より強くなってみせる。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




