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プールにわかめ? 夢は見るものじゃない、叶えるものだ! ~自分の人生は普通だと思っていたけど、どうやら違った件~  作者: KAZUDONA
イングランド時代・夢をこの手に!

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第18話 昇格なるか? KAZUDONA誕生!?


 1週間後、ホームの試合は超満員御礼。敵のサポーターは僅か。味方サポーターから前回の僕へのファールに対してのブーイングが敵サポーターにまで飛びまくります。まあ当然だろ、反則する様なクソは引退しろ、そう思っていました。やはり大事を取って、監督からは試合が動くまでは温存すると言われてアップ後は監督の隣のベンチに座っていました。このまま逃げ切ってくれれば、多分出番はこないだろうな。監督が僕の怪我を一番心配していましたから。


 そしてキックオフ。昇格を懸けた試合が幕を開けました。勿論相手チームには大ブーイングです。ざまあみろって思ってましたね。バンテージの上からテーピングをガチガチに巻いた状態です。

 細かいタッチは厳しいかもなあと、ウォームアップの時点の足の感覚で覚悟してました。パスや突破で振り回してスルーパス、ドリブルでエリアの中まで相手を躱しまくって決める、遠距離からロング、味方を使って上げさせたクロスに突っ込んで決める、それが僕のプレーですが、普段よりは雑になる可能性が高い。恐らく守備に回る程は走れないだろうなと思っていました。


 1週間クラブハウスに滞在して、チームドクターの用意したリハビリメニューをこなしていましたけどね。ずっとアイシング。足の感覚なくなるじゃねーかよって程入念に、針治療とかも受けました。食事はアジア系のものを運んで貰ってました。痛みはもうあまりなかったですが、同じところを削られたら痛い。でも庇ってプレーできる程、そう甘くないだろうなー。ヤキモキしながら試合の日を待ってましたね。シーズンが終わった時期で、学校は休みだったので助かりました。上半身と足首に負担が掛からないメニューを黙々と、気持ちを高めながらやってましたね。これが良い集中に心を整える切っ掛けになったのかも知れないです。


 試合は前半にいきなり2点を先取されてしまいました。もう後がない相手はゴリゴリに放り込んで攻めて来てました。これでトータル1-2で負けの状態。その前半30分、


「KAZU、頼む。お前のプレーに懸ける。絶対に何とかしてきてくれ!」

「当然ですよ!」


 バチィーン!


 監督と手を合わせてから、ピッチに入る前に右足にグッと念を込めて、味方と交代です。


「すまない、KAZU。後は頼む!」

「ああ、任せとけ!」


 ピッチに入った僕が着いたポジションは2トップの1角。でももう一人のデカいFWがキープしたり、競り勝ったボールを保持して、高い位置からメイクにアシストやゴールを狙うシャドーという役割でした。僕の運動量が落ちてきたり、攻撃に厚みを持たせたり、一発が得点に繋がる様に工夫したJ監督の戦術です。でもここまではまだ公式戦では使っていなかったフォーメーションです。サッカーを始めた頃の僕のポジションはFW。ゴール近くでプレーすることは、良くも悪くも原点に近い。ここに入ったときは、兎に角「ゴールを決めろ」という監督からのメッセージ。そしてこの采配、このフォーメーションが火を噴きます。


 調子に乗った相手はガンガン攻めて来ていました。それを敢えて引いた位置で守り、囲い込んで奪ったボールを一気にそのデカいFWへ、こいつがスイスとオランダ人のハーフ、エリックです。こいつがキープしたボールを僕にすぐさま渡す。味方は引いているから人数は少ない。ほぼ僕の個人技で何とかしてくれというポジション。前回の恨みもあるし、僕は自分を見出してくれたこのチームを何としてでも上に上げたかった。最早アドレナリン全開で右足首の痛みは感じていませんでした。

 

 1点目。残っていた4バックの真ん中の2枚を緩急の鋭いドリブルで揺さ振って転がし、GKをシュートを撃つ振りをしてわざと空振りする、僕のオリジナルフェイントですけど、その空振りに引っ掛かって倒れたGKをちょいちょいっと抜き去り、無人のゴールにズドン! ここからが反撃開始です。ボールを持ってセンターアーク迄持って帰ります! ホームは大熱狂、学校の友人やホストファミリーも応援に来ていました。

 絶対に勝つ! トータル2-2の同点です。焦った相手はさすがに全体を引き気味にしてディフェンシブなシステムに変えて来ました。欧米のチームは兎に角対応が早い! ここが日本との大きな違いでしょうね。でももう完全にゾーンに入っていた僕は、何人来ようがドリブルで抜き去り、ファールされても倒れない、ラグビーのタックルでも来やがれっていうくらいキレキレで、フィジカルも負けませんでした。


「もう前回見たんだよ、お前らのプレーの質や強度は!」 


 シャドーの位置からトップ下へとポジションチェンジを繰り返し、相手はもう僕を捕まえられなくなっていました。そして僕のクロスとスルーパスからエリックが2得点。左サイドをオーバーラップして来たRを使って、ゴール前に飛んで来たボールを胸トラップでわざと上に浮かせてオーバーヘッド。5-2。

 最後はペナルティエリア内で僕を引っ張って倒した反則でPK。それをラボーナで一歩も動けないGKを嘲笑うかのように右隅に叩き込みました。ハットトリック+2アシスト! 6-2の圧勝でした。


 マンオブザマッチに選ばれ、終了後の大熱狂のスタジアムの中、インタビュワーからのこれぞヒーローインタビューってやつがスタジアムにあるモニターに映り出されながら始まりました。


「ヘイ、KAZU、今日は怪我をしていて途中からの出場だったけど、素晴らしい出来だったね? 今の感想はどうだい?」

「そうだね、何としてもこのチームを昇格させたい、させるって決めていたから、痛みなんて感じなかったよ。我ながら最高の出来だったと思う」

「誰の目から見てもMVPは君だ。新しいフォーメーションは決めていたのかい?」

「ああ、超攻撃的にするときにはFWのシャドーに入る様に、そしてトップ下とのポジションチェンジで相手を混乱させるようにという、監督からの指示だった。それを忠実にこなしただけだよ」

「KAZU、君のプレーはとてもジャパニーズとは思えない。ドリブルもパスも駆け引きもfantastic(※素晴らしいってこと)だ。そんな君にみんなが聞きたいと思っていた質問があるんだ。子供の頃からのアイドル選手はいるのかい?」

「ディエゴ・マラドーナ、僕は彼にサッカーの素晴らしさを学んだ。擦り切れる程ビデオテープを見たんだ」

「じゃあジャパニーズ・マラドーナだな、KAZUは! うん、これからは『KAZUDONA(カズドーナ)』って実況しよう!」

「ハハハ、じゃあよろしく。でも普段は『KAZU』でいいよ。双び立てるなんて思ってない。いくつになっても憧れでありヒーローだからね」

「Congratulation, KAZUDONA! 今日の試合は君の為のゲームだったね!」

「いや、みんなが一つの気持ちで闘ったからこその勝利だよ。ピッチの11人、そして監督に控えのメンバー、スタッフやサポーターみんなの御陰だよ。一人でフットボールはできないからね。これはみんなの力で勝ち取った勝利だ」

「当に模範的な返答だ。スタジアムのみんな! 彼に盛大な拍手と歓声を!」

「みんなありがとう!」

「「「「「おおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


 このときのスタジアムの『KAZUDONAコール』を忘れられませんね(笑)


 こうして4部への昇格を果たしたCC・FCは来シーズンへ向けて新たなスタートと、イングランド北西部の小さな街ではKAZUDONAブーム(笑)と朝までみんなが騒ぎ続ける、お祭りの様な状態がほぼ1週間ほど続きました。質問はちゃんと英語で答えましたよ。もう1年以上経っていましたからね(笑)


 さあ来シーズンが楽しみです。マラドーナのプレーは、

https://www.youtube.com/watch?v=WhC1_ZaP7S4

シーズン途中からの4部昇格!

次のシーズンはどうなるのか?

遂に始まったKAZUDONAストーリーはどうなっていくのか?

続きが気になる方はどうぞコメントを御願いします。

応援してくれると頑張れます!

当時のことを思い出すと、心に来るものがあって、今でも涙が出るんです。

皆様の応援が書き続ける気力になります。

よろしくお願いします。

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