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かみなり落ちて創世期!  作者: ふふぐ
1/7

一話目 出会い

よろしくお願いします!

ーー雨音がする。


 冷たく流れる雨粒は私の頬をつたい、灰色のアスファルトに染み込んでいく。


「ーーちゃん……おねえちゃん…!」


 遠くに聞こえるのは、幼い妹の悲鳴だろうか。


 いつも尊敬される自分でありたかった。こんな無様な姿を見て、幻滅されないか心配だ。

 

「手を伸ばせ(たまき)!!もう……佳美奈(かみな)は助けられない!」


 兄貴の悲痛な声が聞こえる。

 私のことより環が大好きだもんね。私も環が大好きだ。


 全身に力が入らない。

 というより下半身の感覚がない。

 自分の目で見るのが怖いから、私はゆっくり環を見つめる。


「……心配、しないで。早く逃げなさい、環」


 私は二人が遠ざかるのを見て、安心して意識を閉ざした。



◇◇◇



 地面に落ちていくような感覚。


 それが死ぬということなんだろうか。


 あまり怖くはなかった。

 しかし、あれだけ必死に勉強し、大学に合格したことが無駄になったのが非常に残念だった。

 お母さんとお父さん、それと環と兄貴と一緒に合格祝いの旅行の最中だったが、雨でも強行したお父さんはさぞ後悔していることだろう。 


 私はもう、死んでいるのだろうが、こうも意識がはっきりしているのがなんとも不思議な感覚だ。


 すると、体がふわっと浮き上がった。

 なぜか水中からひっぱり上げられるような感覚になり、そのままハッと目が覚めた。


 目を開けると、夏のような青い空が広がっていた。


「わぁ……きれいなそら!」


 空は今まで見たことがないほど澄み渡った青空だった。

 仰向けで寝転んだまま、思いっきり深呼吸する。

 

「ん〜〜〜!」


 両手を空に向けての伸ばし、思い切り伸びをする。

 

 そこでふと気づいたことがある。

 18年連れ添った両手が、なぜか短いような印象をうける。


「あれ?」


 不思議に思い、声に出すと、あれそういえば声も普段よりかなり高い気がする。


「あーー、あっ、あー」


 やっぱりだ。自分の声は別に好きでも嫌いでもなかったが、今喉からでている声は聞いたこともない音だ。


「どうしたんだろ……やっぱりしんじゃったから生まれかわったとか?」


 私が生きている頃はそういう転生するようなアニメが流行っていた気がする。

 私もまさか、同じ状況に??


「……そんな、まさかね。……よっと」


 いつもの癖で、頭の横に手をついて、手を勢いよく押す反動で起き上がる。


 周りは見ていなかったが、背の高い樹木に囲まれており、大自然真っ只中のようだ。


 これじゃせっかく生まれ変わったのに、いきなりサバイバルゲームに参加したようなものだ。


「これからどーしようかな」


 私は自分の体を見下ろし、白い布製品の衣服を着ていることに気づいた。

 生地はふつうの麻のようなワンピースだ。

 これどこの服なんだろう。


 そんなふうに状況を把握しようとしていると、急に周りが暗くなったことに気づいた。まるで、太陽の光を遮る大きなテントの下に入ったみたいだ。

 そのまま見上げると、そこにはドラゴンがいた。


 え、ドラゴン?


「えー!!!!どらごん!?!」


 ドラゴンはどんどん近づいてくる。

 ここって日本じゃなかったのか。異世界ってやつ?


 大きさは頭から尻尾まで25mプールに収まりきれないくらいありそうだ。

 このままだと踏み潰されちゃうんじゃないの?

 日本語通じるんだろうか。


「おおーい、どらごんさーん!!気づいてーー!」


 私は必死に呼びかける。また死ぬなんて嫌だ。


『ん?』


 ドラゴンの低い唸り声が聞こえる。

 なんだか意思が感じられる声のようだ。


「あたしだよー!しただよー!」


 私は両手を振ってアピールする。やっぱり腕短いな。


『なんだぁ……?生き物なんてこの辺にいたか?』


 ドラゴンはホバリングしながら首を真下に向ける。


 あ、目が合った。


『ぉおわぁ!』


 ドラゴンがその大きな身体をのけぞらせて吃驚していた。

そのままドッシンっと大きな音を立てて地面に降り立つ。

 全身を硬そうな鱗で覆われた、某狩ゲーに出てきそうな迫力あるドラゴンだが。

 なんだか人間味があるドラゴンだ。


「ほっ……きづいてくれたのね!ごめんなさい、あなたのなわばりをあらす気はなくて。気づいたらここにいたの」


 私はドラゴンが鎌首をもたげるのを見ながら、敵意はないことをアピールする。


『何故こんな幼い人間種が雷鳴樹の麓にいるのだ』


 ドラゴンは私を見てそんなことを言う。


「おさない?」

『なんだ、そこまで言葉を喋ることができるのに、自分のことがわからないのか。我の目から見て3歳ごろか?その年頃の人間種に見えるが?』

「3さい……」


 私はそこまで幼くなっていたのか。

そりゃ不思議に思うよね、私も不思議なんだもの。


『我は雷神竜のローグァレグドだ。このあたりは我を怖がって生き物は近づいてこないから驚いたよ。それにしても……どうして我を怖がらないんだ?』


 怖がる、か。

 確かにここまで大きいと迫力あるが、私は兄貴に連れられて恐竜の映画や博物館で恐竜を見るのが好きだったし、よく変わってるねと言われることはあった。それに、


「ちゃんとことばがわかるから、はなせばこわくないの!」


 私は怖がってないよとわかってもらえるように思い切りニカっと笑顔を浮かべた。


『そうか……我の魔力にあてられると生きているモノはすぐにおびえてしまうからな』


 そういうとドラゴンは少し悲しそうな表情を浮かべた。

 なんだか、かわいそうだ。

 話せば優しそうな印象も伝わってくるし、ここは!


「ろーぐぁれぐどさん、わたしとおともだちになりませんか?」


 私は右手をドラゴンに向けて握手のようなポーズをとる。

 するとドラゴンはあっけに取られた表情を浮かべたかと思うと、呵呵と笑いだした。


『オマエ、おもしろいやつだな。名はなんという』


「もうしおくれました、わたしは佳美奈といいます」


 そういえば名前言ってなかったね。

 自己紹介すると、ローグァレグドは喜んでいるような表情を浮かべた。


『そうか、カミナというのか。もっと砕けてくれて構わない。我のことはローグと呼んでくれ』


「うん!ローグ!」


 そうして、1匹の大きなドラゴンと、幼い少女の物語は始まったのでした。


ありがとうございました!

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