私だけのもの
エピローグ
貴方は、推しになりたいと思ったことはありますか?
これは、ある一人の女性が推しになるまでの1年を描いた物語。
------------2021年 11月某日
「ピッピッ」
無機質にレジの機械音が鳴る。
「お会計2点で520円になります」「ありがとうございました」
感情がないような表情で普段通り過ごす。苗子はこの何でもない日常が好きだった。
専門学校卒業して、看護師として働いていたが、肉体労働・残業などのストレスそれに加え、上司からのパワハラ。「あんたみたいに死んだ魚のような目をしてる人」「早く仕事辞めればいいのに」と言われ続けた。母には言わなかった。いや、言えなかった。
しかし、痩せ細っていく私をみて一緒に精神科に付いてきてくれて適応障害と診断されそのまま退職した。
母が必死に稼いでくれたお金で学校に行かせてくれて、やっと看護師になれたのに
こんな事で辞めるなんて、自分を責めた。半年くらいはそんな感じで暮らしそこからは徐々に精神を取り戻し普通に日常生活を送れるようになるまで復帰した。
そして、今駅前のコンビニで働いている。バイトの仲間はみんなよくしてくれる人ばかり。
これくらいが自分の身の丈に合っていていいなと思いながら日常を送っていた。
そんなある日。