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第六話 婚約破棄の連鎖


「ところであなた、私の婚約者なのよね?」


「どう言う事だ」


エミリアの突拍子もない台詞に、普段冷静なルークが困惑する。


「だって私の婚約者と決闘で勝ったんだもの、当然じゃない」


その婚約者とは、いや元婚約者とは、ルークが異世界に来た時についでに降参させていたグエンの事だった。


「そうか・・・ならその婚約、破棄させて貰う」


「え?いいの?大変な事になると思うんだけどなぁ」


「???」


今一要領を得ないルークだが、数時間後その理由を思い知る事になる。



―数時間後、学園にて



「僕と婚約してください!」


「いいわよ」


「え!?いいの!?」


当然断られると期待していなかった貴族の青年は舞い上がる。


「じゃあ婚約破棄するわね。後はお願いね、ルーク」


「任務了解」


婚約破棄を迫られた場合、本人か守護騎士が戦い、勝てば婚約破棄できるのがこの世界のルールである。


「ぼ、僕は戦えない!頼んだぞ、守護騎士!」


「わ、わかりました」


動揺する相手側の守護騎士。

ルーク達の強さは守護騎士達の間で広まっているので、

戦いを躊躇するのも当然である。

ルークはゼクロスに、相手の守護騎士はリファレンスに乗っている。

別に相手の守護騎士は凄腕という訳でもなく、勝負は一瞬で決まった。

無論ルークの圧勝だ。


「任務完了」


「はい、お疲れ様~。今後こういうのが頻繁に続くからね。その時はよろしく~」


「・・・どういう事だ」


「あなたが婚約破棄したからよ」


これまでは貴族としての位も高く、ロードを持っているグエンが婚約者だったから、わざわざ仕掛けて来る貴族はいなかった。

そのグエンを破ったルークが婚約者になったのだから同じく仕掛けて来る輩はいない。

しかし婚約破棄したフリーな今、ルークが守護騎士と知らない貴族達はこぞってエミリアに婚約を迫って来る。

何故なら彼女の美貌は没落貴族である事を差し引いても非常に魅力的だからだ。


「この連鎖から逃れるには私と婚約するしかないけどどうする?」


ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべるエミリア。

しかしルークに精神的動揺はなかった。


「だが断る」


「え?」


「婚約希望者を全員倒せばいいだけだ」


―1週間後


「嘘・・・でしょ?」


なんとルークは宣言通り、学園内外の婚約希望者達全員倒したのだ。


「これでお前と婚約する必要はなくなった」


「そ、そんな~」


エミリアの完璧?な作戦が打ち砕かれたと思われた、その時である。


「この私を忘れて貰っては困る」


「お前は・・・!?」


彼の名はアニムス・フェザーン。

蒼いロード、ユニフェスを操るこの学園の生徒会長だ。


「お前も婚約希望者か」


「婚約等に興味は無い。貴様と戦いたいだけだ。しかし口実が必要ならば婚約でもなんでもしよう」


「(当事者を目の前に滅茶苦茶失礼な事言うわねこの人)」


ルークは華麗にスルーしようとしたが、腹が立ったエミリアは受ける気満々だった。


「中々言うじゃないの。その婚約受けるわ!そして破棄させて貰うわよ!」


「待っていたぞ、この時を!こい、ユニフェス!」


アニムスは蒼いロード、ユニフェスを呼ぶとそれに乗り込んだ。


「さあ、貴様も白金のSVFを呼ぶがいい」


「・・・こい、ゼクロス」


ルークは本当はもう戦いたくないという弱音を見せることなく自身のSVFを呼び出した。

そして白金のSVF、ゼクロスに乗り込む。

今回は練習用のウレタンソードとペイント弾を装填したライフルで行う模擬戦方式だ。

通常近年の決闘はこの様な形式で行われる。


「いくぞ!白金の騎士よ!」


アニムスの駆る蒼いロードタイプのSVFユニフェスは風の精霊の術式を施している。

空中浮遊は勿論の事、地上でも高い機動性を発揮するのだ。

加えてアニムスは剣の腕も一流である。

AIの補佐が無い場合、乗り手の技能がそのまま反映されるパワードスーツのSVFな以上、

ユニフェスの接近戦での実力は群を抜いていた。

ユニフェスはライフルを捨てると剣だけでゼクロスに立ち向かって来た。


「どうだ白金の騎士!この戦い、実に心が躍るだろう!」


「・・・接近戦は不利と判断。距離を取る」


ルークの駆るゼクロスはユニフェスと距離を取り、射撃戦に切り替えた。

ルークは接近戦よりもこちらの方が得意だからだ。

そしてゼクロスは巧みに一定の距離を取りつつライフルを撃った。

ゼクロスにはAIの補佐+ルークの射撃の腕もあり、ルークに圧倒的に有利な射撃戦が繰り広げられていた。

そしてついにユニフェスは頭部に数発被弾してしまう。


「おのれ!卑怯者!騎士ならば剣で勝負せんか!」


「これが戦場なら貴様は死んでいた」


ルークはSVFから降りるとエミリアに近付いた。


「これ以上の面倒はごめんだ・・・婚約させて貰う」


「(よっしゃ♪)」


エミリアは心の中でガッツポーズをした。

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