452/719
第四百五十二話 いや、ババアは呼んでねえし
「言ったはずだだだだ!娘に手を出すのは許さんとととと!」
兵が消えたことで国王は目が血走りはじめた。
だが娘に手をださせないことだけは揺るがない。
「おいおい、けっこう頑張るな親父さんよぉ。だが…………」
壊羅は首を上げてゆっくりと国王を睨みつけるとニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。
「だが……………だめだね」
「ごふっ!」
すると横からするどい蹴りを入れて飛ばしてやる。
「お待ちなさい!娘よりわたしを狙いなさい!」
だが次は女王が叫び標的を変えようとした。
「いや、ババアは呼んでねえし」
壊羅は首を振る。
あくまで標的は王女の方、女王は邪魔な人であった。
「ババアてなによ!わたしはまだ三十よ!」
女王は思わず叫ぶ。
が、三十と言えばこの世界でも高齢とはいかないまでも十分中年に達していた。




