第三百十二話 ところでマオ、語尾のにゃはどこ行った?
「旦那さまぁ!?なにを考えてるんですかぁ!?」
フェイリーン皇女は困惑のあまり立ち上がってしまう。
「いずれな。一国も収めてもない内にさすがにそれはやらん」
王我は目を伏せると憂鬱気味に言った。
「ならいい」
フェイリーン皇女は軽く流すがマオは不機嫌になる。
マオは自分が国のおまけのように感じたのだ。
「言っとくけど、お前にも国はあげないし。まずはフェイリーン様を幸せにするんだね」
「わかっている。俺もそんな無理はしない」
王我はマオの突き放すような態度にも動じない。
「身の丈を弁えるのはいいことだけど複数の嫁を娶るのは勇者としての甲斐性ではないかしら」
目つきの鋭いマオの姉が言った。
「考えておこう」
王我は内心面倒な相手だと感じる。
あくまで自分がなるのは世界の王であってハーレム王ではないのだ。
マオはさも自分が王我と結婚する前提で話がされておりますます不機嫌になる。
「ところでマオ、語尾のにゃはどこ行った?」
十三はからかうようにマオに笑った。
「うるさいし!家族の前でわざわざそんな濃いキャラづけいらないの!!」
マオは不機嫌どころかプシャーと湯気がでたように顔を赤くして反論する。
「なるほどな」
十三はその分かりやすい反応にニヤニヤが止まらなかった。




