第二百八十九話 リザードマンが乗っ取ったアインガル帝国は俺が貰った。この国も俺が貰ってやろうという話だ
「いいか、一週間だ!一週間以内に…………貴様、何者だ!?」
獅子獣人が剣を抜いたところで王我が現れそれを弾いた。
「敢えて言うなら、ここの王女が返ってきた。滅ぶのはお前達だ。嫌なら帰るんだな」
「お前は、何を言ってるんだ。王族の生き残りがいたとでも言うのか。だからと言って、我々に勝つつもりか?」
獅子獣人はあまりのことに困惑してしまう。
「リザードマンが乗っ取ったアインガル帝国は俺が貰った。この国も俺が貰ってやろうという話だ」
王我は剣を獅子獣人に向けた。
獅子獣人はこの男は本当に何を言ってるんだと思った。先日魔王軍の幹部率いる部隊を倒したという話を聞いたがこの男がやったのかと信じられない。
だがその男の顔から凄みを感じた。本当に魔王軍の一部隊を倒してのけたのではないかと思えてしまうのだ。
「ひいっ。覚えていろよ!」
そう思うと目の前の男が恐く見えてくる。そのまま街へ逃げていった。
「ふぅ…………」
王我は安心して息を吐く。
「まったく旦那様、無茶にもほどがある。相手の力量もわからず一人でやるとは」
フェイリーンが他の二人と共に追いつき注意した。
「あくまで牽制だ。本気でやるつもりはない」
「猪かお前は」
「相手が多勢ならどうするつもりだったにゃ」
十三とマオも言葉を続ける。
「ま、その時はその時だな」




