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第百七十四話
「魔王軍、やめた方がいいんじゃないか?」
通信を終えると先代の族長でもあるマーダッドの父親は不安になった。
「父上。それは次の戦いで決めましょう。戦わなければ勝利も出世もありませんから」
「出世か。ほどほどでいい気がするがの」
父親は眉を潜める。
「なにを言うか先代!魔王軍で出世すれば栄光と富が手に入る!誉れ以外でもなんでもないですよ!」
別の同族が主張した。
「血気盛んじゃのう…………。若いもんは元気でいいのう」
マーダッドの父親はため息すらつく。
別にこの一族は決して虐げられたわけでも誰かとの戦争に敗北したわけでもない。だが魔王軍の栄光というのは欲しいものなのだ。
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クリム王女は兵士に命じ勇達と共に夕食を食べられる飲食店に向かう。
緑と赤の看板の木目調の建物のレストランだ。
「やっぱ洒落てるなこういうとこ、ひゅー」
勇は思わず見とれて口笛を吹いた。




