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第百七十二話
「もしや殿下、オーラが使えないのでしょうか?」
ケイネスはすぱっと聞き辛いことを言った。
「そ、そそそそんなことありませんよ。おほほほほほ!」
アステリア王女は手を口元に当て派手に笑う。
「使えねえだろ。誤魔化してんじゃねえ、ちゃんと言えよ」
「ほふぇんなふぁい」
クリム王女は容赦なくアステリア王女の頬を掴み追求した。
「こいつはやべえな。今はいいけどまたマジックキャンセル食らったらやられるぜ」
クリム王女は眉を潜める。
「え、もしかしてみんな使えたりする?」
アステリア王女は苦笑いして問うた。
「勇の家で少し習ったから簡単なものなら行けるわ」
「騎士学校だと普通に習うわよ」
リンネとエルハが答える。
「え、ええ………。わたしだけ使えないの?」
アステリア王女はこの世の終わりのような顔をした。
「しょうがないからあたしが明日教えてやるよ」
「クリムちゃーん!」
クリム王女から肩に手を置かれるとアステリア王女は彼女に泣きつく。
勇はその光景になんだか以前と立場な逆な気がした。




