第百六十八話
「いえ、明日の到着かと思われます!」
「ほっ、良かったー」
その返事にクリム王女は顔をへにゃへにゃーと崩し倒れそうになる。
「残念だったねえ、お父さんに会えなくて……………」
アステリア王女はニヤニヤしてクリム王女に肘をついた。
「うっせえよ。おい、はやめに飯屋に案内してくれ」
クリム王女はアステリア王女を睨みつけると兵士を急かす。
「へ、へいーーー!」
先ほどの怒号に気圧され兵士の声も震えた。
案内された場所に向かう途中でビービーというけたたましい警報が鳴る。
「みんな、おそらく敵襲だ!急いで外に戻ろう!」
ケイネスが気合いよく声を上げた。
「お、おう。て、妙にテンション高くない?」
勇はその声の大きさに違和感を抱く。
「いよいよ出番となるとそういうものさ」
ケイネスは髪をかきあげクールになった。
「喋るところなくて寂しかったんじゃない?」
「なんか、影薄そうだしな」
アステリア王女に耳打ちされるとクリム王女は納得する。
「ま、ともかく行きましょう」
「ええ、わたし達の守り、お願いね」
リンネが冷静に腕を組んで言うとエルハはケイネスにウインクして言った。
「ふっ、もちろんですよ」
ケイネスは髪をかきあげて答える。




