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第十四話



落ち着いたところでイサミは周囲を見渡すと負傷した兵士達に目を見開いた。


「動ける魔術師は負傷者を治療しろ!」


ハリーが指示を出し部下を動かす。


「…………と、大丈夫ですか!」


イサミも同じように治療を始める。兵士達は鎧に大きな傷はないが口から血が出ており内蔵が破裂していた。


「お疲れ様。まさかあんな短期間でサークルラッシュスピアーをものにするとは」


治療が終わったところでハリーは先ほどイサミが放った技に関心を示す。


ホーリー流サーベル術、それがハリーがイサミに伝えている兄弟で習っていた剣術である。


「いやー、勇者の力あってのものですよ。普通にやったらそこまで威力でませんて」


イサミは謙遜して頭の裏をかいた。


「で、君は今までなにをしてたんだい。ちょっと時間がかかってたけど」


ケイネスは抗議の目をイサミに向ける。


「いやほら、勇者の伝説て勇者がお姫様とまぐわうてあるからさ…………」


イサミは気まずさで目を細めた。


「まさか、本当に………」


ケイネスは衝撃に口を開けっ放しにしてしまう。


「いや、やろうとしただけでセーフらしい」


「そうか」


流石に結婚前にそういうことはしなかったのかとケイネスはほっとする。義兄弟がまさか自分より先に大人の階段を登ったとなると肝っ玉が冷えるのだ。


「うっ、く…………」


イサミとアステリア王女に途方もない記憶が流れて膝をつく。負荷が大きく合体が解けてしまう。


「大丈夫か!」


「勇者とは王女と合体する者のことなのか!」


ケイネスが視線を合わせハリーがシステムに驚愕する。


「ちょっと最初の合体で疲れただけだ。大したことじゃない」


イサミはややこしい話なので誤魔化して答えた。


「父上と母上に報告した後休めば大丈夫です」


アステリア王女もイサミの事情を慮り心配させまいとする。

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