第百二十九話フランデンの復讐と進化
「なんとでも言え、復讐でも腹いせとでもな。だがお前達がここにいる以上素直に復讐するのみ。消えろぉぉぉ!」
フランデンは怒りと共に魔力を放出しその姿を変化させ腕と胴体を肥大に、腕からは牙が何本も生やしていた。目は血走り口からも牙が多く生えている。
同時に膨大な魔力を発しており勇達を圧倒する。そのおどろおどろしい姿も魔力も重なり勇達は言葉を失い脚がすくんだ。
一番早く冷静さを取り戻したのはエルハだ。このまま下手に戦えば真っ先に全滅だと認識し叫ぶ。
「ここは退くよ!早く!」
だが他の四人はそれでも動けないままだった。
次に正気になったのは勇だ。唇を噛み眉を上げて恐怖を飛ばした。アステリア王女と合体し他の四人を抱える。
すると一気にフランデンから距離を取る。森の一画にて木によりかかりつつ呼吸を荒くし状況を確かめた。まだ心臓はバクバクと高鳴っている。
「間違いない。あれは僕達が敵う相手じゃないよ…………」
ケイネスはガタガタと腕を抱える。
「なにが勇者パーティよ!あんなんと戦って勝てるわけないじゃない!」
リンネも絶望に彷徨する。
「あたしもこええ。調子乗ってたのが馬鹿みたいだぜ…………」
「あたしもなんかだるーい」
クリム王女とアステリア王女も顔を歪ませた。
そんな戦いにもならない怯えた仲間達を見て勇は意を決する。
「じゃ、俺一人で行ってくるわ」
「待って、それこそ無茶よ!わたしも行くわ」
エルハは勇を止めた。
「ならあたしも行く!エルハだけにいいかっこさせたくないもん!」
「お前こそかっこつけんなし、あたしも行くぜ」
少ない人数で行くと言ったことでアステリア王女とクリム王女は気合いが入る。
「そういう理屈はよくないわね。わたしも勇を放置する気はないけど」
リンネは二人の態度を否定しながらも前にでた。
「あーっもう!ここで出なかったら僕が馬鹿みたいじゃないか!僕も行くよ!」
ケイネスも思わず彷徨して自分を振るいたたせる。




