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第百五話
城に帰還し三人は先ほどのことを報告、翌日はより重点的にその周辺を探すことになった。だがテントは同じ場所になく闇雲に探す羽目になる。
「なんもないね」
「今日も空振りかしら」
勇が言うとエルハは
「ねえ、あれ見て!」
アステリア王女は路地裏を指した。
そこには怪しい緑の服の男が笛を吹き子供達の前にいるのだ。
「なんだあれ、あれが仮面伯爵が言ってたやつか」
「行こう!」
勇が二日前の記憶を辿るとアステリア王女が声を上げた。
「待って!今動くと子供達が人質になるかも。今は様子を見ましょう」
エルハが真剣な目で二人を腕で制する。
「は、はい…………」
「でも、あの子達に何かされてたら…………」
納得する勇に対しアステリア王女は不安が拭えなかった。
「後でどうにかします!だから、待ってください、お願いします」
エルハは動こうとするアステリア王女を必死に止める。
「う、うん…………」
必死な声にアステリア王女も頷くしかなかった。




