いつだって彼女はそこにいた
初作品です。
暖かく見守ってください。
そこは小さく薄汚れてしまった神社でした。
そして、そこには幼くまだ生まれたばかりの神様がいました。
彼女は独りぼっちでした。
だから、悲しくて何年も何年も泣いていました。
幾年もの月日が流れ、そこに一人の人間の少年がやってきました。
彼の着ている小袖は古く所々が破けており、顔も少し痩せ細っているようでした。
しかし彼は、彼女のほうを見てほほ笑みました。
さらに月日は流れ、少年はお爺さんになってしまいました。
彼にはもう彼女を見ることも、聲を聴くこともできなくなってしまっていました。
しかし、もの悲しかった神社は小さくはありますが、鳥居も参道も手水舎も作られていました。
彼女からは笑顔と同時に涙もあふれていました。
けれども、彼はまた彼女のほうを向いてほほ笑みました。
そしてある時から、また誰もいなくなってしまいました。
彼女はまた独りぼっちになってしまったのです。
そして月日は流れていく。
ある時そこに、また一人の少年がやってきました。
パーカーのフードを被った彼は、手に持っている和紙に書かれている絵と彼女の顔を見て、驚いたような顔をしました。
彼女もまた、彼の顔を見て驚いたような顔をしました。
それから彼は毎日のようにそこに通い続けました。
そして時は流れ、無情にもその神社は取り潰されてしまいました。
神社という神域もなくなり、彼女は人の子たちにそして彼にも認識されることはなくなってしまたのです。
しかし、彼女も彼も決して泣くことはありませんでした。
なぜなら、いつだって彼女はそこにいて彼のことを見守っているのだから。
いつか、リメイクとして長編書きたいです。
それとファンタジー系も。