表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バラバラ女【改稿版】  作者: ノコギリマン
5/159

1:転校生ー①

 寝坊した宮瀬慎吾(みやせしんご)は、同年代男子児童の平均体重を大きく上回る巨体を揺らしながら、通学路を無我夢中で走っていた。


 体が重い。


 アスファルトにそのままズブズブとめり込んでしまいそうだ。


 きょう遅刻してしまえば六年生になって早くも四回目になってしまう。まだ新学期に入って二ヶ月と経たないうちに、担任の町山先生に目をつけられてはたまらない。


 もっとも、もうすでに目をつけられているのかもしれないけれど、慎吾は、そのことは深く考えないようにしていた。


◆◆◆


 予鈴が鳴りひびくなか、ようやく学校へとたどり着いた慎吾は、息も整わないうちにうわばきへと履き替え、三階の六年一組の教室へと向かった。


 町山先生はもうとっくに教室にいるかもしれないと思いながら恐る恐る中をのぞくと、


「チャー、ギリギリセーフ」


 と、おどけた声の林直人(はやしなおと)が気に入らないあだ名で呼びかけ、慎吾がいる教室の入り口へ、クラスメイトの視線が注がれた。


 直人はいつも人を小バカにする。美容師である母親に切ってもらっているという、およそ小学生には似つかわしくないオシャレな髪型が目障(めざわ)りだった。


「や、やめてよ……」


 恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら自分の席へと向かうと、


「おはよう、チャー」


 と、学級委員の澤田紀子(さわだのりこ)に微笑みかけられた。


「う、うん、おはよう」


 小麦色の肌の少女と目も合わせずに、つれなく挨拶を返して、ようやく自分の席に着くと、始業チャイムの音が鳴り響いた。


「チャー、やっぱり暑くて寝られなかったのか?」

「や、やっぱり、ってなんだよ。きのうは暑くなかったでしょ」


 前の席の、不良に憧れるけんかっ早い木村太一(きむらたいち)のイヤミな質問にムキになっていると、まだ教師になって二年目だという、若いジャージ姿の女教師、町山先生が意気揚々と入って来た。


 紀子の「起立!」という号令とともに皆が立ち上がり、続く、「礼!」「着席!」というお決まりの流れをすませふたたび席に着くと、


「今日は皆さんに新しいお友だちを紹介します」


 と、町山先生が笑みを浮かべた。


「やったー!」


 お調子者の冨田次郎(とみたじろう)が、骨折してギプスを巻いた左足なんかおかまいなしで立ち上がり、わざとらしく喚声(かんせい)を上げ、いくつかの笑い声がそれに応えた。


「富田くん、座りなさい。転んだらどうするの」


 町山先生に(いさ)められた次郎が渋々と席に着き、間の抜けたその顔を見て、直人だけが笑い声を上げた。


「じゃあいい? どうぞ入って」


 町山先生の声にうながされて、ひとりの少女が入ってきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ