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バラバラ女【改稿版】  作者: ノコギリマン
27/159

8:「お前」ー①

 だから、


「神社に行ってみない?」


 という、奈緒子の提案に、慎吾は、思わず大きなゲップをしてしまった。


 給食後の昼休み。


 慎吾の席のとなり、バレーボールをしに外へ出た、吉乃の席に座る奈緒子が笑い、


「大丈夫?」


 と言って、また笑った。


 奈緒子と《秘密基地の約束》を交わしてから、もう一週間が過ぎようとしていて、毎日のようにあの廃病院へ通いつづけているうちに、気づくといつの間にか、奈緒子といちばんしゃべるようになっていた。


 当然のように突き刺さる、いくつものクラスメイトの視線。


 教室でも当たり前のようにしゃべりかけてくる奈緒子に、最初のうちは戸惑いもしたが、すぐに芽生えた優越感が、それを打ち消した。


「でもなんでさ?」

「え?」

「神社に行くって」

「チャー忘れたの? 昨日、チャーが神社にある都市伝説のこと言ってたからだよ」

「ああ……」


 確かにきのう廃病院で、『失恋大樹』という、神社にある、大きなご神木にまつわる都市伝説を奈緒子に話していた――


◆◆


『失恋大樹』

 その大きなご神木には、《恋愛と復讐の神様》が宿っていると言われている。


 好きな人に失恋した人が、その失恋大樹に、フった相手の名前か、フッた相手の好きな人の名前を五寸釘で彫り込むと、その日から十五日間は徐々に不運が訪れて、十五日目に、恨みの大きさに合わせて、その人へ《恋愛と復讐の神様》が、恐ろしい神罰を与えてくれる。


 もしも神罰が下るのをやめせさたいならば、書いた本人に、その名前の上から大きな×印をつけさせなければならず、それ以外に神罰を食い止める方法はない。


◆◆


 ――その都市伝説を奈緒子に話したことを、今さらながらに後悔していた。


 都市伝説が好きだという奈緒子の気を()くために、この町にあるいくつかの都市伝説の話をしたが、まさかよりにもよって『失恋大樹』に興味を持つとは思わなかった。


 ほかにも『金田鉄雄の家』だとか、『のいず川のドクロネズミ』や、『ハンマーおじさん』の話をしたってのに。


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