7:秘密基地ー②
慎吾と正次が読んだマンガは『実録 深夜のナースコール 朝まで巨乳ケア』というどうしようもないタイトルで、右足を骨折して動けない若い男性患者Aが、急にションベンをしたくなって、恥ずかしいながらもナースコールをし、そこへ若いナースがやって来たところから始まる。まさか若い方のナースがやって来るとは思わなかったAは、ドギマギとしながらも、しびんにションベンをするのを、そのナースに手伝ってもらう。「ウフフ、元気ですね」「え、なにが?」ナースに言われたAが自分のチンチンを見ると、大きくなっていた。「いや、これは、その、ちがうんです」「いいんですよ。若い患者さんは、みんなこうなりますから」「なんか、すいません」「いえ。でもなんだか寂しいな。Aさんもうすぐ退院ですよね。わたしもうAさんに会えなくなると思うと、なんだか……」「え、それって……」そうして二人はなぜか見つめあって、そのままチューをして、ベロとベロをからませて、おっぱいを出したナースが、Aのチンチンを挟んでこすったりして「もうガマンできないよ」と言ったAが、そのままいつのまにか裸になってて、ナースもいつのまにか裸になってて、そのままAがナースのアソコをベロベロして「ああ、ダメ……」とかナースが言って、「入れてもいい?」とかAが言って、ナースが顔を赤くしながら頷いて、Aがナースのアソコにチンチンを突っ込んで腰を振りまくって、ナースが「ああ、らめぇ、壊れちゃうぅぅぅ!」とか言って、「イクゥ!」とかAが言って、チンチンからなんか出して、それがナースの顔にいっぱいかかって、「ウフフ、ちがうのがいっぱい出ちゃいましたね」「エヘヘ」みたいなやりとりがあって、「これがぼくがつい先日、病院で本当に体験しちゃったエヘヘなできごとです。あなたも入院することがあったら、もしかしてカワイイナースとセックスできちゃうかもよ! ああ、それからあのかわいいナースは、今ぼくの彼女だったりします。バンザーイ」というAの言葉で締めくくられていた。
マンガを読み終えた二人は無言だった。
いったい何が何やら分からないうちに股間がむず痒くなってきて、慎吾は姿勢を色々と変えながら、わざとらしく咳払いをひとつした。
となりの正次も、おんなじ感じだった。
初めて読むエロ本は、二人には刺激が強すぎた。
慎吾は、ただおっぱいを揉んで気持ちよくなるんだ、くらいのことを想像していたから、その先にAとナースが進んだとき「あ、これ以上、読むのはまずいかもしれない」と思いながらも、ページをめくる手を止められない自分と、抑えがたい妙な興奮と、頭からつま先までを貫く背徳感とに、心底おどろいていた。
となりで「すげえ!」とか言いながら読んでいた正次も、その段になってからは急に黙り込み、荒くなりそうな鼻息を必死に抑えている様子だった。
読まなきゃよかったと慎吾は思い、また同時に、もっと読みたいし、もっともっと《セックス》というのがどういうものか知りたい、という衝動に駆られている自分が、自分でない気がしていた。
フワフワとクラクラとゾクゾクとドキドキ。それらがない交ぜとなる薄ぼやけた膜に、全身が包み込まれていた。




