死の館と霊能少年 閑話① グランの体
「…あ?俺の体がどうした」
「どーなってんのかなって」
警察があたりを調べて回る間のこと。洋館の中でクロは何かもわからない実験の準備をする骨……グランに尋ねた。
「それを貴様に教えると?」
「別に中身を詳しく教えてくれなくても良いけどよ…ただ、そうしてる理由が分からないっつー話で」
「…何?」
グランの手が止まる。
「別にあんたのやってる事は難しい事じゃねぇだろ?骨の粒子が燃えたり凍ったりっつーのは、単に粒子を炎や氷に変換してるだけだ。それをどうやってんのかって言われたら…正確か分からねぇけど、骨の粒子一個一個に魔方陣でも書いて魔術を発動してるとかか?」
「……なぜそう思った?」
グランはクロの推察を否定も肯定もせずに聞き返す。
「それ以外に方法がないような気がしたんだよ。最後にやられた事、よく考えてみたけど、まず幻覚とかそういうんじゃねぇよな?それなら俺を攻撃すんのにあんな手間かける必要がねぇし…リアルな幻覚はそれを見る者に実際と同じダメージを……ってのもあるだろうけど、それはあくまで俺に対してはって話で現実に対して影響はないはずだろ?実際、吹っ飛んだ時に地面はちゃんと燃えてたし真のアニキの攻撃も見えてたから世界丸ごと幻覚だったってのはありえねぇ。ならあれは幻覚じゃないはずだ」
「………」
「そうなるとアンタは自分の体…つーか骨を燃やしたり凍らしたりしてたわけだろ?最初は魔術で魔力を炎とかに変換して纏ってんのかなと思ったけど、それだと粒子を広げて戦うアンタのやり方は効率が悪すぎる。せっかく見えにくい粒子を自由に動かせても、魔力の流れを見られたら意味ねぇしな。なんなら戦ってた時、アンタの魔力の流れはちゃんと読めなかった。だからアンタの動作に対して対応が遅れてたわけで…そうなるとアンタがやってたのは骨の粒子自体に細工したって所じゃねぇかなと」
「………」
グランはクロを睨む。
「悪かったよ。そんな怒らなくても良いじゃねぇか…」
「違う。少し感心していた。まさかあの一瞬にそこまで思考を巡らせるとは思わなかったからな。学者の才能あるぞ、貴様」
グランは素直な賞賛をクロに浴びせた。
「お、おう…」
「だが、そこまで考えたならなぜ俺に聞きに来た。答え合わせか?」
続けて照れるクロに問う。
「いや、今の話がしたかったんじゃなくて、もっと手前の話だよ。どうして骨なんだ?」
「言ったはずだ。ゾンビに近いと」
「そう、それだよ!」
クロはグランを指差した。
「さっき一階のユウハの入ってる装置見てきたけどよ、ありゃ治療装置なんかじゃねぇよな?」
「!!」
クロの思いがけない言葉にグランの顔が強張った…ように見えた。
「ありゃ復元装置だ。さすがに構造とか原理まではわかんねぇけど、緑は保存液、青が復元液だろ?ユウハの奴が事情を教えてくれたけど、緑を減らすと死ぬってのは復元が間に合わねぇからだ。今保存してる状態を解除したら、ユウハの体は復元が終わる前に死ぬ。だから復元…治療っていうべきか?が出来ない。元の星にも同じような奴があったから分かる」
「それが」
「どうしたとは言わせねぇよ。あんなモン表に出せねぇはずだ。だとすりゃあ、あれは学者の仕事としてなんかじゃなく、アンタが自分のために作ったモンだろ?骨の体で損傷なんてほぼ知らないアンタが人の皮被ったり体を復元する装置なんて作る理由はひとつしかねぇ、そうだよな?」
クロはそこで言葉を止めた。もう既に語る必要はなかった。
「…なるほど、よく出来た作り話だ」
「なっ」
グランは次の瞬間クロを蹴り飛ばして実験部屋から追い出す。
「オイ!」
「貴様の妄想だ、貴様の頭の中では好きにすればいいさ。だがそれをこっちに押し付けるな。迷惑だ」
グランはそういうと部屋のドアを閉じた。
「……ちょっと悪いことでも聞いたかな」
クロは最後、グランの表情が怒っているように見えた。
「…クソッ、俺らしくもない…」
グランは部屋で一人、先程の感情に任せた行動を後悔する。
実際、クロの推理はほとんど合っていた。一つ間違いがあるとすれば、グランが装置を作った理由は自分の為ではない、ということだ。だから、たとえ本来の姿が別にあってもグランが自身を復元することはない。
グランは、だが。
「フン…これも何かの縁、とお前なら言うのかもな」
グランは脳裏に誰かを思い浮かべるも、すぐさまその姿を封じ込め実験を始めるのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
閑話一つ目はグランの体に関する秘密でした。グランが戦闘中にしていた事と、なぜ骨の体なのかという部分に少しだけ触れましたね。
そんなところで、この作品における閑話の扱いを伝えておきます。
各章最後に書く閑話は本編の補完的な意味合いで書いています。基本的に書き忘れたものや書き足しておきたいものを入れているので、ここも割と大事な部分だったり…。
なのでこれからも是非読んでいただけますと幸いです。それではまた!




